2019年4月18日 第16号

 カナダの造幣局、ロイヤルカナディアンミントが今月23日に発表する1ドル硬貨の新しい記念デザインをめぐって論争が勃発している。

 記念デザイン1ドル硬貨は、同性愛への非犯罪化のきっかけとなった1969年から50周年を迎えることを記念したデザインで、そこに「平等」という文字も英語とフランス語で刻印されているという。

 しかしLGBTコミュニティでは1969年にカナダで同性愛が非犯罪化したとするのは「神話」であって事実ではないと反論する声が上がっている。

 1969年は、1967年から国会で議論されていた刑法改定法案が可決された年で、その中に同性愛者に対する改定も含まれていた。67年当時法務相だった現ジャスティン・トルドー首相の父ピエール・トルドー議員が「国が国民の寝室にまで口を出す権利はない」と発言して有名になった。

 しかしヨーク大学のトム・フーパー氏によると、それ以降も同性愛者に対する警察の介入は続いたという。1969年を記念の年とするのは間違っているとCBCでのインタビューで語り、これで得をするのは自由党であり、姓がトルドーという人物だけだと痛烈に批判した。

 一方で今回のデザインに貢献したLGBTコミュニティ支援団体は、1969年がカナダのLGBTコミュニティにとって大きな転換点となったと今回の記念硬貨発行を支持している。

 保守系団体は硬貨を「政治的に」利用していると批判。これはトルドー首相が自分で、どちらが正しいかをすでに決めた完全な越権行為であり、同性愛を認めるだけでは物足らず、国民に記念硬貨を持たせたがっていると激しく非難している。

 硬貨デザインの詳細は23日に発表され、約300万枚が発行される予定になっている。

 

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