日本の4大公害病のひとつ、イタイイタイ病の原因としても知られる重金属カドミウムが、子供向け装飾品に多量に含まれていることが、メディアの独自調査からわかった。

 女性向けファッション・チェーン店で売られている、中国で製造されたネックレスやブレスレットなどから最大で、カナダ保健省が定める規制値の7000倍もの濃度のカドミウムが検出された。

 発がん性物質としても知られるカドミウムは、肝臓機能障害を引き起こしたり、骨をもろくして関節痛や骨折のリスクを高めたりする。

 カドミウムが含まれる装飾品を飲み込んだりかんだりした場合、それが体内に吸収・蓄積される恐れがある。特に子供の体はより吸収しやすいため、15歳以下の子供向け装飾品には微量であっても含まれるべきではないと、カナダ保健省の消費者安全課は指摘している。

 メディアが行なった独自調査は、12歳になる少女らに街中の店から気に入った装飾品を購入してもらうなどして集めた50点あまりについて、その分析をトロント大学とモントリオール理工科学校に依頼したもの。

 ネックレスやイヤリング、ブレスレットなどが分析された結果、アルド(ALDO)と、アルデン(Ardene)で購入した商品から、保健省が定める子供向け装飾品の許容値を15倍から最大で7000倍上回る濃度のカドミウムが検出された。

 アルデンが販売していた鮮やかな青い金属のペンダントには、ほぼ100パーセントという高濃度のカドミウムが使用されていた。またアルドが販売していたビーズのブレスレットは、許容値を6000倍上回るカドミウム濃度を示したという。

 この結果には、分析に当たった専門家も驚きを隠せないでいる。アルドはカドミウムが検出された商品は販売を中止するとともに、サプライヤーと協力して社内基準を満たすよう努力していくと、電子メールで回答している。またアルデンは調査を進めるとしながらも、今回指摘された商品は子供用に作られたものではないと弁明している。

 保健省が定める許容値はあくまでガイドラインだが、人体に害を及ぼすと判断した場合は販売の差し止めを命令できる。アルデンは2007年以降5回にわたり、カドミウムや鉛といった重金属が含まれた商品のリコールを求められてきた経緯がある。

 カドミウムは低価格であり加工しやすいことから、人体に害があってもコストを抑えるために利用されるケースが後をたたない。欧州委員会は、カドミウムが含まれる全ての装飾品の販売を禁止している。

 中国も同様の規制を設けているが、メディアが中国本土で同時期に行った調査では、いとも簡単にカドミウムを含む装飾品を見つけられたという。

 

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