ブリティッシュ・コロンビア州サレー市のリバーサイド・ゴルフコースが24日、営業を終了した。市による土地収用がその理由。
同コースは9ホールのコースと打ちっ放し練習場、そしてプロ・ショップを備えたゴルフ場。サレー市はキング・ジョージ大通りとウィンター・クレセントを結ぶクレセント・ロードの延伸のため、この土地の一部が必要になるとして、16エーカーのこの土地を昨年300万ドル弱で収用した。また市は、『生物学的多様性の保護を目的とした公園用地を確保し、受動的リクリエーション、自然動物観察や景観を楽しむ場所』としてもこの土地が必要だったとしている。
家族経営のゴルフ場として約50年の歴史を持つ同ゴルフコース。閉鎖決定のニュースを知った常連客らが、市の不当な土地収用に憤りつつ別れを惜しみに続々とゴルフ場を訪れてくれたと、経営者ケン・ポワリエさんは取材に答えていた。彼は市の決定を「たとえて言うならば、自分が50年間住み慣れた家にある日突然、市の土地計画課の職員が来て『この家は現状にふさわしくなくなったので、市が買い取る』と一方的に言い放ち、近所に移転することもできないようなわずかな金だけを置いていったようなもの」だと形容している。
ポワリエさんにはゴルフ場を他の場所に移して継続するだけの資金的余裕はない。唯一プロ・ショップだけはバンクーバー市のサウス・ウェスト・マリン・ドライブにある、同ゴルフ場のアウトレット・ストアに移転し営業を再開する予定だ。
閉鎖に追い込まれたものの、市が決定を見直して何がしかの解決策を提示することもあるかも知れないと、ポワリエさんは望みを捨ててはいない。「たとえば2年前に私が、ジャスティン・トルドーが多数派政権の首相になると言ったら、笑われていただろう。時代が変われば、物事も変わるものだ」とポワリエさんは語っていた。