プリスクール卒業間近で

いつものようにお絵描きしている時のこと、娘の一人がプリンセスらしき少女を描いた横に「まいねみづるび。わちょねむ」という吹き出しを付けました。んん?と思い訊いてみると、「My name is Ruby. What’s your name?」という意味だそう。なるほど、子どもの耳にはそう聞こえるのか!とexciteしてしまいました。
昨年7月にカナダへ到着、10月にプリスクールがスタートして、今月晴れて卒業式を迎えます。プリスクールの思い出は語り尽くせないほどですが、英語力に限定して言えば、ここ2〜3ヶ月で飛躍的に伸びた印象です。
娘たちの通うプリスクールの先生は、カナダ在住30数年の日系のH先生です。日本語の話せる先生を求めて選んだわけではなく、10あまりのスクールを真剣検討した中でベストと考え決めたスクールです。入学にあたって先生とは「英語と日本語」について話しました。私はできれば禁日本語にし「英語漬け」にしたいという希望がありましたが、先生は「(当時)4歳児が周りの状況が理解できない、言いたいことを表現できないのは大きなストレスを感じるに違いない」という考えでした。そういう考えもあるのかと先生に任せることにし、様子を見ていました。先生は娘たちの「英語の壁」のみならず、父親と同居していない現在の家庭環境についても心配してくれ、精神的なフォローの意味を込めて日本語でのフォローをしてくれました。英語で全体指示を出した後、日本語で娘たちの背中を押してくれたり、サークルタイムで読んだ絵本を放課後、改めて日本語で読んでくれたり……。おしゃべりな娘たちのことですから、先生にはバンバン日本語で話しかけていたようです。
また双子であるため、朝から晩まで小鳥のようにおしゃべりし続け、プリスクールでも二人くっついて遊んでいることもあり、どう考えても「英語漬け」でない状況にこれでいいのかと疑問に感じたこともありますが、娘たちを見ているう ち、大丈夫という安心に変わりました。プリスクール通いを一度だって嫌がったことがないばかりか、お友達を大好きになり、プレイデートもするようになり、ムリのない形で英語にアプローチできたかなと感じるからです。私が一人焦っていたなと気づかされると共に(子育てに焦りは禁物ですね、何時も)、H先生には感謝してやみません。

コミュニケーションありき

そっと耳を澄まし、つかず離れずの場所からお友達と遊ぶ様子を眺めるのは楽しいものです。おままごとの配役で「I wanna be a mother」「No, I wanna be a mother」と揉めていたり、「It’s mine」「No, It’s mine」と物の取り合いになったりする様子に、英語でケンカなんて上等!と感心しています。「She eats」と三単現のsを使えていたり、「the youngest」と冠詞を忘れていなかったり、「Oopsy」「Move back」「Another time」といった日本の英語教科書にはないだろう表現をしていたり……。ある時、やんちゃボーイのママさんが「Be gentle」と注意しているのを聞いて、娘が「gentleって気をつけてって意味?」と私に確認してきましたが、ああそうやってシチュエーションで英語を学んでいくんだと興味深く感じ入ったのでした。
最近は、娘たち同士でも「Here, you are」「Is that right?」などと言い合っています。そのやりとりはまるで心地よいメロディーのよう。日本語より英語のほうが口に出しやすい、意思を伝えやすいものってけっこうありますよね。「Can I 〜?」「Can you〜?」「Please〜」は親子で多用している便利な言葉です。命令でもへりくだりでもなく、互いに敬意と対等さを持ってモノを頼めるから。また「share」も秀逸です。娘にはことあるたびに「shareしてね」と声掛けしていますが、日本語の「分かち合ってね」ではわかりにくいし、「仲良くね」ともニュアンスが違う、受け止めやすい言葉として大変重宝しています。そんなコミュニケーションのための英語を親子一緒に学ぶ毎日です。

ご意見・ご感想・筆者へのメッセージは、バンクーバー新報編集部This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.までお寄せ下さい

 

2013年6月27日 第26号 掲載

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。