初めてのプレイデート

二十歳の頃、アメリカで半年ほど語学留学していましたが、「Play Date」なんて単語、聞いたことがありませんでした。要は「子ども同士で遊ぶ」という意味のようですが、ただの「Play」よりセッティングされた感が漂ってわくわくする響きがありますね。
娘たちの通うペアレント・パーティシペーション・プリスクールは、親たちが「participate」し「involve」しようという性格が濃いせいか、いや単純に週3回午前中のみという短時間スケジュールのためか、プレイデートがとても盛んです。私も「火・木はどうやって過ごそう? 月・水・金の午後だって家でおとなしくしてるわけにいかないし……」と心配していたクチなので、「プレイデート大歓迎!」のムードは非常にありがたい。しとしと雨の続く季節も家に呼んだり呼ばれたり、連れ立って室内で楽しめる場所に出掛けたりすれば「どんよりした寒空もまた愛し」という気分にさせてくれます。
昨年10月、遅ればせながら新学期をスタートさせた私たち親子。右も左もわからない入学早々、クラスメイトママLさんが家に招いてくれました。日本と韓国で英語講師の経験もあるLさん。今は私のヨガの先生でもあり、寛容さとユーモアに溢れた人です。お子さんはスポーツ万能で心やさしいJくん。子ども同士は会話こそしないものの、一緒に駆け回ってみたり、犬になりきって吠え合ったり、かと思えば背を向けて各々おもちゃに夢中になっていたり、帰りがけにはギュッとハグしたりと、ひとまず楽しそうで安心。手土産に持って行ったプルーンをわが娘が完全征服しようとしている!という冷や汗の場面もありましたが……。私もカナダ人同士のディスカッションに飛び入り参加はできないものの、1対1や2対1のコミュニケーションなら、ゆっくりゆっくり心だけは通わせられます。

暗黙のママルール!?

プリスクールの終業後、天気のいい日は最低1時間(最長2時間。冬場はfreezing寸前!)傍らの公園へ移動してわいわい遊ぶのが日常です。プレイデートの約束はよく公園遊びを監視中にママたちの間で交わされます。何気ない会話の中で「今度、一緒に出掛けましょうよ」とか「一度うちに遊びに来ない?」というフレーズが出たら、社交辞令では終わらせないという印象。気軽な口約束の後、日時や場所など詳細は追ってメールでという流れです。今ここで決めちゃってもいいんだけど?と思うのですが、「家に帰ってスケジュール帳を確認」した上で「プレイデートへのお誘い」という手順を踏むのがこのスクールのママルールのようです。
友達の家にお邪魔する場合、あまり長居することはありません。長くて3時間程度。もし2組が訪問して、うち1組が早めに帰ることになったら、もう1組も一緒に帰るのがマナーのよう。バースデーパーティーでも招待状に12時〜14時という記載があったら、どんなに盛り上がっていても14時に近づくにつれて1組また1組と退散していきます。プレイデートもするけれど他の用事もするし、夕飯の時間に影響することはない、そんな姿勢がうかがえます。
思いのほか長かった春休みは「エネルギー溢れんばかりの子どもを毎日どうやって楽しませるか」という課題はママたちの一致を見ており、じつにプレイデートラッシュ。ぽかぽか陽気、桜はほぼ満開の中、Trout湖でピクニックしたり、アイススケートしたり、サイエンスワールドを見学したり、バースデーパーティーに参加したり……楽しい思い出が1ページ1ページと増えていきました。

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2013年5月9日 第19号 掲載

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