親として最大の試練

双子の娘は生まれてこの方、ざっと見積もって100回は小児科通いをしたのではと思います。特に1歳2歳時は、言葉を覚えるような頻度で風邪を引き、冬場は咳や鼻の音がしない時期なんてあったかしら。高熱が出ると痙攣を起こすこともあり、何度か救急車にコールしたこともあります。子育ての大変さを実感するのはこうした体調不良の時ですね。世の中のお母さんお父さんの多くがこの試練を経験していると思うと、本当に頭が下がります。
真夜中に双子を抱えて病院へ向かうとか、一人が入院したがもう一人が気になって早々に強行退院するとか、こういった類のこと=不便さは重労働ではありますが、子育ての大変さにおいては二の次という気がします。大変さのトップは、高熱を出したり痛みや苦しみを訴えたりするわが子を見守っている時の、断崖につま先で立っているような精神状態でしょう。私はこれを「心配疲れ」と呼んでいるのですが、病気の子どもの看病は大きな不安と隣り合わせで、寝食も忘れ、おろおろあたふた…疲労困憊に陥ってしまいます。娘たちも5歳、そろそろどーんと構えたマザーになりたいものですが。
そんな「心配疲れ」の種である娘たち、ありがたいことにバンクーバーの冬を病気知らずで乗り切りました。雨が空気をキレイに洗濯してくれたこと、「freezing」な寒さにならなかったことなど気候や環境が味方してくれたかなと理由を分析してみています。車ナシ生活のため二足歩行を大活用したことも体作りに役立ったでしょう。夥しい病原菌との闘いを経て免疫や抗体が形成されつつあることも大きな理由のはず。「ずいぶん健康になったものだ……」と感慨に浸っていた頃、前触れもなく高熱を出しました。

ファミリー・ドクター

カナダの医療システムに当初ピンと来なかった私ですが、多くの家庭がファミリー・ドクターを持ち、より精密な検査や処置の必要な場合はそのドクターから総合病院の専門医を紹介されるシステムは、病気の子を抱えて右往左往せずに済み、安心ではありますね。ゆえに信頼できるドクターと出会うことが鍵となるでしょう。日本で加入した海外旅行保険でキャッシュレスの支払いの可能な医院はバンクーバーに1件だったので、「ファミリー・ドクター」の項目欄には必然とその医院を記入することになりました。でもその医院、家から遥か遠いダウンタウンに位置するため「元気でなければ通えない」そんな悲しき存在でした。新たに加入した現地の留学生保険もキャッシュレス可能な医院はこれまたダウンタウンに1件のみ。こうなったらキャッシュレスへのこだわりはさっぱり捨て、「もし病気になったら近所のウォークイン・クリニックに診てもらおう。もし週末や夜中に緊急事態があったらタクシーを呼んで総合病院に駆け込もう」とシミュレーションしていました。
そんな折に発生した娘たちの高熱騒ぎ(騒いでいるのは私一人ですが)。双子の一人は39℃の熱と原因不明の腹痛、もう一人は2日遅れて40℃の熱が複数回。私は「心配疲れ」の山頂を数日間彷徨ったあげく、初のウォークイン・クリニックへ足を踏み入れました。アポなしだったものの待ち時間は短く、感じのいい先生に診てもらえました(診察1回につき一人$100現金払い)。2回の診察でその都度、先生が変わるのはファミリー・ドクターでないため仕方のないことでしょう。ただ今回、先生が変わる=セカンド・オピニオンを得られたことが結果としてよかったと感じています。診察・検査方法が変わったことで、診断が「風邪」から「膀胱炎」へと切り替わって抗生剤が処方され、治療につなげることができたので。
でも不思議、膀胱炎って感染する病気ではないんですよね。なぜ双子が同時期に発症したのか……これは医者でも解明できないそうです。

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2013年5月2日 第18号 掲載

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