夏休み中に決めたい!

日本の7倍という強力な紫外線を浴びながら夏のイベントを満喫する一方で、あらかじめ予約していたプリスクール見学に勤しみました。夏休み中に6件、9月に入ってから3件ほど。だんだん見学が夏の主要なイベントと化してきました。
ところで、双子の娘たちは当時4歳じきに5歳で、本来ならキンダーガーテンに通う年齢です。なぜプリスクールかと言えば、ビザや学費の壁がありました。キンダーへ通うには親である私の何かしらのビザか、子ども自身の学生ビザが必要ですが、9月スタートを考えたらフィリピンへ郵送しての手続きはどう考えても間に合わない!とビジター入国をすでに決めていました。そして公立キンダーへ通うには留学生の場合、年間一人1万3000ドルの学費がかかります。親子留学をプランしている1年半の間、その金額×2人分を出し続けるのは懐が痛すぎるというわけで……。同じく年末生まれのカナダのお子さんでも学年を下げることがあるそうで、プリスクールの先生たちもごく自然に受け止めてくれました。
バンクーバー周辺のプリスクールを調べると、その多くが半日コース、週2や週3のスクールもあります。全日制が当たり前の日本の幼稚園の考え方から、大きな発想の転換が求められました。見学したプリスクールのうち、半数がモンテッソーリ教育のスクールです。これまでモンテッソーリ教育と接点はありませんでしたが、以前手にした一冊の本をきっかけに大変気になる存在でした。手を使うことに重点を置いたオリジナル教具によって集中力や論理的思考を培っていく教育のようです。モンテッソーリのプリスクールは言語、算数、科学、アートなどアカデミックな内容を掲げており、フレンチやマンダリン、ヨガの時間を加えているところもあってカリキュラム充実という印象です。おてんばタイプの娘たちがもっと落ち着いた行動をとるようになれば、とすがるような気持ちもありました。

親の教育観が問われる

モンテッソーリを中心としたアカデミックなプリスクールが第一候補でしたが、念のためプレイベイストのスクールも見学しました。その中間に位置するスクールも見学してきました。
モンテッソーリのA校は、ABCからしっかり教えてくれるとのことで、英語初心者の娘たちが自分のペースで学習できる環境が好ましいと感じましたが、「外遊び一切なし」と聞いて躊躇してしまいました。このでっかいカナダまでやって来て、何も部屋に閉じこもっていることはないと…。プレイベイストのB校は、始めと終わりに数分のサークルタイムがある他は自由遊びとのことで、それはそれで不安に…。外遊びもするモンテッソーリC校は先生が大変厳しく、不真面目な態度には段階的な罰を用意しており、見学中の娘たちは思わず泣き出し、そんな娘の態度に私まで叱られるといった容赦なさでした。
「申込料を払わないと見学できないし質問にも答えられません!」と宣言されたD校や、日本語で言うところのクール過ぎる対応のE校もありましたが、大方のプリスクールは大変ウェルカムな対応で、実りあるスクールツアーとなりました。
バンクーバーの東へ西へノースバンクーバーへと足を運んだおかげで、各地域の特徴が見え、徐々に地図が読めるようになってきました。先生たちの出身地もさまざま、言葉のなまりもいろいろで、これがバンクーバーなのだと見学を通じて知りました。学校環境も、周囲を森が囲む広々した校庭にプールまで完備したのびのび型から、大通りに面したビルの一室で塾さながらに教材・教具を充実させた学習専念型まで。いずれのプリスクールも大変個性的ゆえに一長一短があり、私自身が何を重視するかを問われることになりました。
その中で一校、当初希望していたモンテッソーリとはタイプが異なるものの、メールのやりとりや実際の見学を通して、じんわりあたたかく心に残ったスクールがありました。

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2013年4月4日 第14号 掲載

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