ステイ先をどう探す?

「夏休み、親子3人でホームステイさせてください」 インターネットのある日系掲示板にそんな「お願い」を載せたのは、親子留学を思い立って動き始めた頃でした。ほどなくして二人の方から返事があり、メールのやりとりをするうち、両方の家にひと月ずつお世話になる運びとなりました。
カナダに伝手なし、エージェントも通さないことにしたので、ネット情報が頼みの綱でした。顔の見えない掲示板で大事なわが子と住む場所を探してだいじょうぶ?と不安もありました。が、ホームステイ受け入れの情報を検索する限りでは希望に合うステイ先が見当たらず、ならばと勇気を奮って自ら募集をかけることにしたのです。
安全策を考えた末、ホームステイ先として「小さいお子さんのいる家庭」を条件に加えました。小さいお子さんを持つ親なら怪しい人ではないはずだし、娘たちも一緒に遊ぶお友達ができるし、騒ぐなど多少の「無礼」があっても理解してもらえるだろうと……。結果的にいいホストファミリーに出会いましたが、予想通りというか、怪しいメールも1件来ました。機械翻訳したようなぎこちない日本語で、素性は書かれておらず、「子どもは男か女か」と質問してくる。丁重に断ったらそれ以上のメールはなく、ホッとしましたが。ネット世界はやはりこうしたことと隣り合わせですね。
さて、日本人奥さんのいる家庭に受け入れてもらえたことは、出発前の大きな心の支えになりました。持ち物のアドバイスをもらったり、プリスクールやサマースクールの様子を教えてもらったりとありがたい限りでした。人柄の伝わってくるメールによって、カナダ行きがどんなに楽しみとなったでしょう。

子連れならではの体験

娘たちにとってホームステイはひたすら心躍るものでした。夏休み中ずっと友達の家に泊まって遊んでいるのと同じです。年下のホストブラザー、シスターとは徒党を組んでじゃれ合い、時に悪巧みをし、欧米流のチューやハグも身についたようでした。年上のホストシスターたちは歌やスポーツの上手い憧れのお姉さんで、よく友達仲間に入れてもらって学校探検をしました。また一緒にプールで泳いだり、PNEの夏祭りに行ったり、ブルーベリー狩りをしたり、いつまでも日が暮れない中、夕食は庭でバーベキューをしたり……。ホテルに宿泊したり、アパートを借りたりしたのでは体験できなかったであろう夏のイベントをまとめて体験させてもらった感じです。
娘たちの笑顔が常にあるのは大変喜ばしいことですが、保護者としてはラクなことばかりではありません。二十歳の頃、アメリカでホームステイの経験があるので、ホストファミリーのルールに従って生活する、個室はクリーンに保つ、留守時は個室のドアを開放するなど「ホームステイ心得」は承知しているつもりでしたが、子連れとなると話は別!!!を実感しました。いつも目を光らせて、「静かに」「走らないで」「それ触らないで」「あ、手を洗って」「丁寧に使って」と注意することも多く、その点では気が休まりません。
そして子連れホームステイをするなら、ぜひ海外旅行保険に「賠償責任」の項目を付加しておくことをおすすめします。「賠償責任」とは人や物に対して損傷・損害を出してしまった場合の保障ですが、二つのホームステイを経て、いずれの家庭でも物を壊してしまい、ホストの方々にその賠償の支払いをした経緯があります。ホストの方々には申し訳なく思うのと同時に、賠償の保険に入っていて正解だったとつくづく感じました。

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2013年3月28日 第13号 掲載

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