経由便か直行便か

5歳(カナダ到着時4歳)の娘たちは、夫の転勤で韓国へ行ったり来たりしたことがあるので、飛行機が初めてではありません。1歳時の飛行機は夫と二人がかりでも、永遠にソウルに着かないのではと思うほど重労働だったのを思い出します。その上で寝させたり座らせたりできればいいなと用意してもらったバシネットには、動き回って危ないと乗せられず、結局バシネットの向こう岸に機内食を置いて食事もままならない状況でした。
それから数年、娘たちもだいぶ成長しました。話せば理解できるようになり、だからこそ親子留学を決断できたとも言えます。昨年7月の出発時から今現在まで、計3回の飛行機を経験しています。1、2回目の往復チケットは予算の都合で直行便が叶わず、大韓航空のソウル経由便に、3回目は成田からバンクーバーのエアカナダ直行便です。
普通に考えたら、直行便のほうがはるかにラクと思われるでしょう。けれど、私にとっては3回目の直行便が、一番きつい便となってしまいました……。

時差ボケは気分次第?

「親子留学へ出発!」と乗り込んだ1回目の飛行機には、強力な助っ人、母が同乗してくれました。続き席がとれず母のみ遠方になってしまいましたが、娘たちが横になって眠り始めた頃、母が私たちの座席に出張し、大人二人で子どもの体を支えながら約12時間の飛行を乗り切りました。到着後、娘たちはしばらく時差ボケがあったものの、ショッピングモールのベンチで思わず昼寝しちゃうといったかわいいレベルでした。さわやかな空の下、大好きなおばあちゃんも一緒にうきうきの旅行気分が続いていたに違いありません。
2回目の飛行機は、ビジターでの滞在が終わり、年末に帰国した時です。午後1時のバンクーバー発、日本時間午後6時手前にソウル着、空港内を走って乗り継ぎ、8時半に成田着、つまりバンクーバー時間深夜3時半着というハードスケジュールでした。がしかし、お父さんをはじめ大好きな家族親戚が総動員で待つ帰省は、酔いも時差ボケも吹っ飛ばしたようです。次の日から通常通りの元気さで、跳ね回っていました。

子どもへのケアが大切

親子留学中、子どもに「かわいそう」という意識を持たないようにしていますが、3回目に直行便でバンクーバーに戻って来た際は、本当に「かわいそう」でした。午後8時の成田発、およそ8時間半の飛行でしたが、娘たちはうまく寝つけず、ようやく眠り始めて3時間ほど経つともう朝食タイム。二人ともすっかり酔ってしまい、何度もトイレを往復するはめに。正午のバンクーバー空港では入国審査に時間がかかり、その間もベンチでぐったり。家に向かうタクシーでまた酔ってしまい……。その後一週間は真夜中にパチッと目を覚まし、日中うとうとするリズムを正すことができず、親子3人、体調も気持ちもなかなか上向きませんでした。
以前、夫が娘に「楽しいと酔わないんだよ」なんて言っていたのですが、なるほど、3度の長時間飛行を通して、その意味を納得したのでした。乗り物酔いは一般に楽しい楽しくないでなく三半規管のアンバランスで起こるわけですが、それだけではない、心と体は深く深く結びついているのだと。
小さな子どもにとって飛行機はやはり大きな負担です。乗り物酔いは薬で鎮めることもできますが、バッチリ効く保証はないし、時差ボケは体調を崩すきっかけにもなり侮れません。飛行機の時間や回数や時期を親がしっかりコントロールしてあげなくては、と大いなる反省を込めて思うのです。

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2013年3月7日 第10号 掲載

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