何を準備すればいい?

親子留学準備の2か月間は、怒涛の日々と言っていい目まぐるしさでした。カナダ生活始動に向けた手続きに加え、引っ越し作業があったからです。毎日「やることリスト」とにらめっこし、同時進行的にこなしていくのみでした。「やることリスト」にリストアップされた主な例を挙げると、
・当面のステイ先の確保
・航空券の手配
・海外旅行保険への加入
・プリスクールの見学予約
・トランクルーム業者の選定、決定、荷造り
・幼稚園、習い事への退会の連絡
・友人・知人への挨拶
などがあります。最初にすべきは、到着した日からのステイ先の確保でした。ある日系サイトの掲示板で募ったところ、心ある方から返事があり、夏休みの間ホームステイさせてもらうことが決まりました。ひとまず胸をなで下ろし、夏休み中にプリスクールと新居を決め、9月に新生活のスタートを切るぞ!という目標を掲げられるようになりました。
プリスクールは早ければ6月半ばに夏休みに突入します。その前に何校か候補を絞り見学&面会の旨のメールを送らねばとネットに釘づけになっていると、航空券安めのシーズンが終わっていたり、引っ越し関係に走り回っていると、義理の両親への報告が遅くなり、この突飛な計画に理解を求めるのに腐心したりと、スケジュールは思い通りに運ばないもの。毎日何度もカレンダーをチェックしているのに、日にちは飛ぶように過ぎていきました。

子どもにどう伝える?

7月を迎えムシムシした梅雨が明けた頃、双子の娘たちに「カナダ行き」を伝えることになりました。幼稚園の先生や親しいママさんにはすでに話してありましたが、その際「まだ娘たちには伝えていない」と言うと皆さん理解してくれ、他の子どもたちに漏れることはありませんでした。お友達から急に「カナダに行くの?」と聞かれたら、娘たちは驚き惑うことでしょう。かと言ってやたら早い時期に伝えても、貴重な日々を「お友達と別れる悲しい日々」にしてしまうと思い、伝えるタイミングを待っていたのです。
伝える際に心がけたのは、「楽しいところに行くよ、楽しいこといっぱいしようね」というわくわくした調子でした。「大きな国」「美しい国」「いろんな人に会える」という前向きな言葉に終始すること。そして、「大好きなおばあちゃんも一緒に行く」というおまけ付きでした。双子の4歳児を連れての長時間飛行が懸案だった私に、実家の母が2週間だけ付き添ってくれることになったのです。旅好きで英語好きの母ですから、心強さ100倍でした。母のサポートのおかげで親子留学に飛び込めたと言ってもいいでしょう。
さて当の娘たちの反応は……驚きはしましたが、抵抗を感じることなく受けとめたようです。転勤族の父のもと生まれた娘たちは、「その時期が来たか」と諦観しているのかもしれません。仲良くなったお友達と離れ離れにしてしまうのは、何とも心が痛むのですが。
出発前一週間は、寝る間を惜しむというより、どう考えても寝られない状況になりました。引っ越し日から中一日空けてカナダ出発という超人スケジュールをなぜ組んでしまったのか……ハイになった人間の暴走としか言いようがありません。やはり無理がたたったのでしょう、娘たちが交互に熱を出し、ついに私もダウン。今思い出しても息切れするような「ありえない」一時期でした。

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2013年2月28日 第9号 掲載

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