サマーキャンプ再開

夏休みに入る前、娘たちと名作『若草物語』を読みました。4人姉妹が夢を語り合ったり悩みを解決したりしながら成長していく物語です。その中に、日がな一日、好きなことだけをして暮らす「なまけものごっこ」というエピソードがありました。だらだら過ごすと一日が長ったらしく感じられ、部屋は散らかり果て、4人姉妹は次第にイライラし始め、ついに小鳥の餌やりまで忘れて死なせてしまうのです。4人姉妹のお母さんが「みんな、よくわかったようねーーまい日きちんとおしごとをして、そしてたのしくあそぶのが、時間のじょうずなつかいかただってことが。こうした人生は、やがてうつくしく花さくことでしょう」(原文ママ)と話すのが印象的でした。「なまけものごっこ」は娘たちにとってわかりやすい表現だったようで、夏休み中、私もこの言葉を活用させてもらいました。
多忙な7月を過ごした後、8月のカレンダーはほぼ白紙でしたが、「なまけものごっこ」を怖れた私は2週間のスイミングレッスンを入れました。娘たちはカナダに来てプール好きになり、雪の降る中、プールに泳ぎに行ったこともありますが、スイミングレッスンは初めて。3人の子どもに対して一人の先生がつくスタイルで、娘たちは別々の先生が担当。一人の先生はエンターテイナーでプールサイドまで女の子3人の笑い声が響いてきます。もう一人の先生は日本語が少し話せるらしく娘に対してのみ日本語で丁寧に教えてくれます。娘たちはお互いの様子が気になるようで、しきりにチェックしては名前を呼び合っています。30分のレッスンのために1時間かけて通うのはそれだけで遠足でしたが、道中のウィンドーショッピングと最終日のアイスクリームも楽しみに、嬉々として通いました。

集中力と過ごし方

ラストスパートの一週間は、バスケットボールのクラスに参加しました。娘たちはバスケも初、ボール遊びにすら慣れていませんが、スイミングでお兄さんお姉さんが水中バスケをしていたのを見て楽しいイメージができており、さらにPCでマイケル・ジョーダンの映像を見せ、イメージ強化してクラスに臨みました。私は高校からバスケ部に入った超スロースターターですが、ああ、こんなに小さいうちからやっておけば、万年補欠の青春時代を送っていなかったろうに……と感傷がこみ上げるほど楽しい練習内容でした。子どもたちの目が輝くような鬼ごっこやボール遊びをしながら、いつの間にかダッシュ、フェイント、ドリブル、シュートの基礎練習をしています。バンクーバーの公園遊びで汗をかくことなど稀でしたが、バスケの練習では吹き出るように汗をかき、15分おきに水分補給し、休憩時間もなく、2時間走り続けるといった様子でした。ピッと笛が鳴ったら素早く集合(遅いとやり直し)、一列に並ぶ、先生の説明をよく聞いて理解するなど、キンダーの予行演習にもなったかしら。最初は転がったボールを追いかけるばかりの娘たちでしたが、2日目には5回ほど連続してボールをつけるようになり、3日目にはシュートも決めることができました。
お友達もできてエキサイティングな5日間でしたが、もう一つの発見は、これだけ動き回った後、さらに公園遊びをして家に帰ると、ピアノを弾いたり日記を書いたりビーズをしたりと静かに座って作業していたことです。体をめいっぱい動かし(動)、その後、座って作業する(静)、この流れが娘たちの体内リズムに合っていたようです。夕方のレッスンだったスイミング(動)の期間は、プールでこそ夢中になっていましたが、午前中は家で「静」の時間を持とうにもじっとしてはおらず……。また以前、週末の夕方にピアノレッスン(静)に通っていた時期は、一日動き回った後のレッスンで明らかに集中力を欠いており、娘自身も「疲れちゃって……」と認めていました。できれば一日の前半に外出や習い事をし、早めに帰宅して落ち着いた時間を持つのが、長いバケーション中、娘たちが「なまけものごっこ」せずに済む方法かと感じたのでした。
皆さんはどんな夏休みを過ごしましたか?

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2013年9月5日 第36号 掲載

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