4月からスタート!?

桜満開の3月終わり、春休みの真っ只中、周りから一足も二足も出遅れてキンダーガーテンの申し込み手続きを終えたのは以前(第十九回)に記した通りです。ま、ともかく一つのゴールを迎えたかのような安堵感でいっぱいでしたが、その一週間後、早々にキンダーガーテンがスタートしました。といっても、親子で参加できるスタートダッシュのプログラムです。4月から5月にかけての週一回、キンダーの教室に9月からの新入生と親たちが集まって、顔合わせと様子見と心の準備をする場であるようです。9月スタートにもかかわらず4月から準備だなんて手厚い!まして手探りの留学生にとって新しい学校と接触できるだけでも心強い!と始まる前からじんわりとした感動がありました。
さてスタートダッシュのクラスは午後1時15分の始業で、プリスクールから飛んで帰って昼食を掻っ込み駆けつけるという余裕なしの時間設定でしたが、なんとか始業前に教室に滑り込みました。キンダーの先生はちょうど授業中のため、スタートダッシュを受け持ったのは、未就学児プログラムであるストロングスタートの先生ふたり。初回のテーマは「テディ・ベア」で、教室の至る所にテディ・ベアが飾られ、先生はふかふかの耳と足を身につけて子どもたちを魅惑します。読んでくれた絵本は、もちろんテディ・ベアが主人公。工作は、紙コップに顔や手足を貼り付けてテディ・ベア作り。サークルタイムの途中、ガラリと扉を開けて登場したのは、キャラクター的にも愛嬌たっぷりの熊さんのような校長先生。「ステレオタイプの校長先生じゃ全然ないわね」とママさんの間でも評判のフレンドリーなお方です。後半には授業を終えたらしきキンダーの担任先生たちも顔を出し、工作の様子を見回りがてら交流を図るなどして、私も「双子の娘を同じクラスにすべきか否か」といった相談を持ちかけるチャンスを得られたのでした。
スタートダッシュ数回目は学校ツアー。現キンダーの教室でお兄さんお姉さんに挨拶したり、体育館や雨天時の室内の遊び場やカフェテリアの位置を確認したりしました。この小学校、傍から見るより大規模校で、先生の後について階段を昇ったり地下へ降りたりドアから外に出たり入ったり……わざと混乱するルートを選んで通っているのかと思われるほどで、入学後、目的地に無事たどり着くのか逆に心配になったツアーでした。

親も子も予行演習

スタートダッシュ最終回を終えたさらに二週間後、キンダーの先生が教室に子どもだけを集めて1時間ほど遊びやら工作やらをさせ、クラス分けの参考にするという時間まで設けられていました。「娘たちは同じクラスに」という考慮の末の希望を前もって学校へも娘たちへも伝えてあったので、娘たちの目下の関心事はプリスクール友達Jくんと同じクラスになれるかという一点。この教室でJくんとはくっついて遊んでいたようなので、これが吉と出るかは9月の新学期のお楽しみです。
スタートダッシュクラスの後は、決まって校庭遊びです。体育教師のお父さんを持つ運動神経抜群のJくんと公園遊び命のお転婆な娘たちにとって、プリスクールの遊具より背の高い変化に富んだ小学校の遊具は遊び甲斐も十分のようで、興奮度が高いのは一目瞭然です。気づけば新しいお兄ちゃんお姉ちゃん友達も加わり、遊具を駆け上っては連なって滑り台を滑るというのを目が回るほど繰り返しています。一方の私はママさんたちとの会話中、いつもなら肝心なポイントで「お母さ〜ん」と中断が入るのが常ですが、この時ばかりは娘たちと目が合うこともなく会話に没頭できました。紅茶でもほしいような稀に見る穏やかな午後……。キンダースタートダッシュのプログラムは、放課後の風景までしっかりシミュレーションさせてくれました。

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2013年8月29日 第35号 掲載

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