車のないわが家の場合

わが家の食生活は、外国暮らしだからといって、日本でのそれとほとんど変わりません。外食もしないため、手に入る食材を私なりにアレンジするだけ。しいて言えば、魚より肉、そして乳製品の摂取量が増えたかな。時々無性に恋しくなるものと言ったら生卵ともずくとハマチくらいで特段不便は感じていません。ただ買い物となると車なしライフのため、一度に大量調達するわけにもいかず、ネットスーパーという選択肢も見当たらず、マメなスーパーマーケット通いこそ命綱です。さて、わが家から徒歩5分に中規模の中国系スーパーが、徒歩15分にチェーン店の大型スーパーマーケットがあります。この2店舗を行ったり来たりして食生活を成り立たせているわけですが、それぞれに特徴があって大変興味深いのです。

それぞれの魅力光る2店舗

近所の中国系スーパーは一歩入るや異国の香りがする、そこはまさしく中国。客も店員もほぼ中国人で占められ、中国語が威勢よく飛び交います。豚の丸焼きが一匹、鶏に至っては10羽以上ずらりと吊り下がっているコーナーは、娘たちの最大関心エリアです。そこで購入する勇気はまだ持てないものの物珍しさに3人で見とれていたりします。精肉コーナーの充実ぶりもさすがで、「これ何の肉?」「何ていう部位?」と目を丸くするような未知なる肉との出会いがあります。その中で私がアプローチできるのは挽き肉、鶏もも肉、牛・豚・鴨の薄切り肉といった一部のビギナー向けに限られるのですが。また、ドリアンやスターフルーツなどのトロピカルフルーツ、ミニ青梗菜や空心菜などの青菜類、色も形もとりどりの芋類とエキゾチック食材が次から次へ視界に飛び込んできます。ちなみに私のお気に入りは肉まん。トマト風味、スパイスの効いたもの、野菜入りのヘルシーなものと種類も幅広く、蒸してお弁当にするのに重宝しています。
一方、チェーン店の大型スーパーマーケットは、あまりの巨大空間にゆっくり吟味したい気持ちを抑え、巨大カートに娘たちを乗せて目的地まで直行します。さすがカナダのマーケット、国際色豊かで魚介類もアジア食品もカバーしており、上の中国系スーパーと比較して安価の場合はこちらで購入。チーズやソーセージやパンは売り場の広さの分、品揃えも豊富で「安くて美味しいもの」にたどり着くべく端からテイスティング中です。娘たちの最大関心エリアは、ザ・量り売りコーナー。チョコレートやドライフルーツや調味料のカラフルな陳列は目を楽しませてくれ、気まぐれなお菓子作りに役立っています。魚介コーナーの大きな水槽も娘たちの足を引き留めます。水中から立派な甲羅を誇示するエビやカニを飽きることなく眺めては、私も時々その魅力に負け、わが家へカニを連れ帰ることになります。

スーパーが教えてくれること

カナダ以前の暮らしでは、双子ベビーカーが店内を走行しづらいとか元気あり余る双子が制御不能という理由で、スーパーには極力連れて行かない子育てをしていました。が、今スーパーへ娘たちを伴って行くことのメリットを実感しています。スーパーには食生活の縮図があります(畑や田んぼにはかないませんが)。玉ねぎは外皮があるから内部の傷みが判断しづらいねとか、りんごやオレンジには白い農薬らしきものが見えるねとか、卵の殻は割れやすいからチェックして買おうとか、牛乳は少量パックより大型パックを選んだほうが割安だとか、できれば何でもお得なサイズで買いたいが持ち運びに限度があるから妥協も必要だねとか、食や経済のしくみをわかりやすく教えてくれます。娘たちは売り物にパッと手を触れたがるので、私はいまだ買い物をエンジョイできたためしはありませんが。

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2013年7月25日 第30号 掲載

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