2019年6月6日 第23号

日本の女性の間でおしゃれな習い事として話題のポーセラーツ。真っ白な器に、好きな絵柄を貼り付け、世界に一つしかない自分だけのオリジナルテーブルウェアが作れてしまうと人気上昇中だ。本紙では、首都オタワで、カナダ初のポーセラーツサロンを始めた大地恵巳さんにポーセラーツの魅力について話を聞いた。

 

「生徒さんの満足度に焦点をあて、サービスの点でも今後チャレンジしたい」と話す恵巳さん(Photo 大地恵巳さん)

 

ポーセラーツとは?

 「百貨店などに行くと、ヨーロッパや日本などからの有名ブランド食器が手軽に購入できます。それは、大量生産を目的として作られた転写紙(様々な色や柄が印刷されたシールのような紙)が開発されたお陰なのですが、この転写紙を、ハンドクラフトに導入したのが日本ヴォーグ社のポーセラーツ(ポーセリンとアートを組み合わせた造語)です。真っ白な器に、シール感覚で使える転写紙を切り貼りして、あなただけのテーブルウェアを作るといったコンセプトで、ヴォーグ社の登録商標です。絵に自信はないけど何か作りたいという人には、お勧めのホビーです」

日本では人気上昇中だと聞きましたが

 「ポーセラーツは、20年以上前に誕生したのですが、ここ10年ほどで、特に若い女性の間で人気が出てきました。今では、OLさんから子育て中のママさんや子育てがひと段落したママさんの間に、とても人気があります」

ポーセラーツの魅力とは?

 「転写紙は、すでにデザインが印刷されているので、自分のテイストを出したり、創造的な作品はできないと思われている方が多いと思うのですが、そんなことはなく、転写紙の組み合わせ方や配置によって、同じ転写紙を使っても、全く違う個性ある作品が生まれるのが魅力的です。また、転写紙を使って手軽に絵付けができるわりには、仕上がりに関しても、お店で買えるような完成度の高い白磁ができるのがうれしいですね。実際に作ったテーブルウェアを使って食卓に並べたりなど実用性があるので、作品を作る際には食べ物をのせたらどんな見栄えになるのかも意識しています。転写紙をうまく伸ばし形通りに合わせて貼れた時には、『あ〜綺麗に貼れた!』という達成感を感じます。あと、ポーセラーツサロンの空間も好きです。日本でサロンに通っていた時は、他の生徒さんたちとお話したり、互いの作品にアドバイスをしあったり、またサロンの先生からも刺激を受け、エネルギーをもらい、充実したひとときを過ごすことができました」

作品、作る作業、サロンの空間と、ポーセラーツに関わる全てに魅力を感じられているのですね。

サロンを始めるきっかけは?

 「下の子供が小学校に上がって子育てに少し余裕ができた頃です。雑誌の習い事特集でポーセラーツを見かけて興味をもち、すぐに体験レッスンの予約をしました。『自分が作ったものが、売り物みたいにできるんだ』という、今までの趣味で得られなかった完成度の高さと、新しい事を学べるというワクワク感から、体験レッスンの時点でインストラクターの資格を目指すことに決めました」

ご主人さまの反応はどうでしたか?

 「もともとお皿が好きで集めていたので、夫は『もうこれ以上お皿は買わないでくれ』と言ってたぐらいなのですが…今度はそれが、お皿にデザインするホビーに変わってしまったので、彼は、もう諦めるしかないと言う感じで(笑)でも、私が、うれしそうに作ってるのを見て、応援してくれていますよ!」

恵巳さんのオタワの教室/サロンはどんな感じですか?

 「4名までの予約・少人数制で、ポーセラーツの作品づくりをした後、手作りのベーグルとお菓子とお茶・コーヒーで、くつろいでいただいています。お友達同士で参加される方も、お一人でいらっしゃる方も、みんな和気藹々とした雰囲気で、楽しくレッスンをしています。ポーセラーツのレッスンをする教室でありながら、お茶とおしゃべりを楽しんでいただけるサロンのような存在でありたいと思っています」

ポーセラーツはどんな方にお勧めですか?

 「日本でポーセラーツサロンをしていた頃、ある生徒さんが、『自分に熱中できることが見つかってイライラすることが減り、家庭の雰囲気も良くなった』と話してくださいました。この言葉を聞いて、ポーセラーツサロンを始めて本当に良かったと思いました。忙しい毎日を過ごす女性の方に、ポーセラーツで自分のための時間をゆったりと過ごしていただきたいと思っています」

 

ポーセラーツ体験

1.白磁と転写紙を選ぶ。

  

2.デザイン・配置を考え、作品づくりへ。転写紙を切る。

 

3.転写紙を水に濡らす。

 

 

4.好きな場所に貼り付ける。(失敗しても、再度、直接水をつけたら、配置場所を変えることが可能)

 

5.その後、恵巳さんが、白磁を一晩乾燥させた後、陶芸用の電気炉に入れて800℃で焼成。入れて出すまでの一通りの作業に15〜16時間かかる。

 

6.完成

 

 

●大地恵巳(おおちえみ)さんプロフィール
大学卒業後、米サンフランシスコの短期大学へ留学。コンピュータプログラミングを学び、ソフトウェア会社に就職。10年間勤めた後、家族と共に日本へ帰国。器、アート、ペイントに昔から興味があり、絵や陶器の上絵付、ポーセラーツを学ぶ。2016年6月、日本ヴォーグ社ポーセラーツグリーンライセンスを取得。2016年8月 川崎市麻生区はるひ野にポーセラーツサロンをオープン。2018年8月 移転先のカナダ・オタワにポーセラーツサロンをオープン。 猫、お菓子・パン作りが好き。​2児の母。

Sienna Porcelarts & Porcelain Art ポーセラーツ・陶器絵付け教室
ウェブサイトhttps://www.sienna-porcelain.com/
ブログhttps://ameblo.jp/sienna-porcelain/

(取材 小林昌子)

 

 

選ぶのが楽しい転写紙。日本製なので質が良いという(Photo 大地恵巳さん)

 

日本ならではの小さくてかわいい白磁を毎年入荷している

 

毎回手作りのベーグルとデザートと飲み物でおもてなし。桜緑茶、よもぎベーグル餡バターサンド、マンゴーババロアと贅沢なひと時

 

完成度が高い作品ができると人気なポーセラーツ(Photo 大地恵巳さん)

 

有田焼風の転写紙も(Photo 大地恵巳さん)

 

生徒さんの作品(Photo 大地恵巳)

 

サロンの白磁棚(Photo 大地恵巳さん)

 

読者の皆様へ

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