2019年2月7日 第6号

日本に10年滞在し、その間、東京の有名なクラブでDJとして活躍したレニー・フォスターさん。バンクーバーに戻ってからもナイトクラブでDJを務めるほか、独自のレーベル『RFレコード』の制作、ミュージック・フェスティバルやライブなどで活動を続けている。

このたびダンサーの今夢子さんとのコラボで、ミュージックビデオ『Vista』を制作発表。「カナダと日本のアーティストやクリエイティブな人たちとの友情を表現したものです」と話す。

 

レニー・フォスターさん

 

ハウスミュージック

 レニーさんが作る音楽はハウスミュージックとかテクノと呼ばれ、レイブというダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベントやパーティーなどで好まれているジャンルだ。

 DJを始めたきっかけは、家でレコード収集や曲をミックスしていた90年代の始め、アートギャラリーでのパーティーだった。「ハウスミュージックのDJをする人はそのころあまりいなくて、(ブリティッシュ・コロンビア州)ビクトリア市にあるナイトクラブでDJをするようになりました」

 次第に、音楽のプロデュースも手がけることになる。

 

日本で人気のDJに

 2004年に日本へ進出。「東京にはレコード店やナイトクラブがたくさんあり、私の扱う電子ミュージックが好評でした」

 東京では、ageHa、Air、Unit、Womb、Yellowなどの有名なクラブでDJとして活躍。日本各地のクラブからも声がかかり、京都や静岡、またゲストとして九州南部や沖縄までも網羅。当時発行されていたクラブ・ミュージックの専門誌『LOUD(ラウド)』の読者投票で日本のトップ50のDJに選ばれるなど、一躍その名を轟かせる存在に。メディアやレコード会社など、日本の音楽業界とも関わるようになった。

 「私がDJをしていたのは六本木の社交クラブと違い、音楽に関わりのあるクラブでした。踊りやテクノのミックスサウンドが好きなお客さんが、朝まで踊っていました。渋谷の大きなクラブでは客層も広く、外国人も日本人もいました」

 

バンクーバーのナイトライフ

 2011年にカナダに戻ってからはバンクーバーのナイトライフには欠かせない存在となり、フリーペーパー『ジョージア・ストレイト』で『アングラの世界を制覇するレニー・フォスター』と言わせるほどの目覚ましい活躍をみせている。

 過去5年間、『Gorg-­O-­Mish』『After-­hours』などのナイトクラブでDJをしながら独自の『RFレコード』というレーベルを立ち上げ、地元のアーティストと契約。日本で学んだビジネス・センスを生かし、現在『UNKNOWN Season』というレコード・レーベルとも仕事をしている。

 日本文化を知ってから、カナダの文化に新たな見解を持つようになったという。

 

真似したくなるような振り付け

 ダンサーで振り付け師の今夢子さんとは、日系センターで毎年開催される日系祭りの『祭りスター・タレントサーチ(バンクーバー新報提供)』の審査員として知り合った。

 「日本のクラブや音楽業界のことなど、共通の話題がたくさんありました。このビデオでは私のオリジナル曲『Vista』の音楽に合わせて夢子が振り付けを考え、生徒と踊りました」

 今夢子さんは、このコラボについて「土着系だけど日本の祭りに近いような掛け声にも聞こえてきて、なんとなくこのような振り付けになりました。基本はストリート・ダンスです。手の振りはみんなが真似したくなるような簡単な動き、派手な感じを意識して作りました」と話す。

 テクノとキモノ。「ギャップがあるほうがおもしろいかなと思いました」

 撮影は日系文化センター・博物館で行われ、背景には和室や日本庭園とともに躍動感ある書が映し出される。『自然』『我』『喜』『奏』など約20点。これらはカナダに滞在していた奥田真弓さんの作品。

 「Vistaを聴きながら頭の中でイメージする言葉や文字を選びました。この機会をいただいたことで、改めて日本文化の奥深さや、それがひとつに縛られるものではないのだということを実感できました」

 奥田さんは作品を完成させて、帰国の途についた。

 

アーティストとの友情

 「ミュージックビデオ『Vista』は、カナダと日本のカルチャーやアートシーンを共有するクリエイティブアートの20年間の集大成です。そしてカナダと日本のアーティストやクリエイティブな人たちとの友情を表現したものです」とレニーさんは話している。

 

レニー・フォスター:DJ,音楽プロデューサー、『RFレコード』オーナー。ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア市出身。東京で10年間過ごし、その期間、ageHa、Air、Unit、Womb、Yellowなどの有名なクラブほか、日本各地でDJとして活躍。2011年にカナダBC州に戻ってからはバンクーバーのナイトライフには欠かせない存在となり、独自のレーベル『RFレコード』を立ち上げた。ミュージックビデオ『Vista』はユーチューブで配信中だ。

https://www.youtube.com/watch?v=oI_xXRUg4Iw

(取材 ルイーズ阿久沢 / 写真提供 レニー・フォスターさん)

 

自宅のスタジオにて。『Vista』は主にシンセサイザーを用いて作られた

 

ダンサーで振り付け師の今夢子さん率いるチームが『Vista』に合わせてストリートダンス、奥田真弓さんが書を担当

 

撮影に1日、編集にはたくさん時間をかけたとレニー・フォスターさん

 

「みんなが真似したくなるような手の振りを考えた」と今夢子さん

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。