呼び方を統一

日系センターは2000年9月22日、世界的に著名なカナダ人建築家レイモンド・モリヤマ氏のデザインで、地域社会に基づいた多目的施設としてオープン。敷地内にはシニア向け住宅である日系ホームや新さくら荘がある。
「今まで人によって違う呼び方をしていたため、統一することになりました。今後は『日系センター』を通常のアクティビティや施設全体、『日系博物館』を博物館独自のアクティビティの呼称とするのが目的です」と会長の林光夫氏。
4月の年次総会で採決し、政府に登録する。


幅広くサービスを提供

日系博物館では毎年数件の展示を開催し、その内容は伝統芸術と現代芸術のバランスを考慮した歴史的なものが中心。今後はより多くの人の目に留まるよう、同センター2階の廊下にもその一部を展示予定という。
現在、写真4500点以上、歴史証言口述テープ350点以上、25メートル以上にも及ぶ古文書の原文、物品2000点以上を所蔵。これらのコレクションは、学者やコミュニティ研究者によって定期的に研究されている。同館の教育プログラムにも毎年1000人以上の生徒が参加している。
日系センターは週間プログラム、サービスの提供ほか、大ホールや玄関ロビーでのイベント開催など多くの利用がある。「結婚式やパーティー、会議、選挙投票場、献血場所などレンタル施設としても使っていただいていますが、今後はほかのコミュニティの方々など幅広くこの施設を紹介するよう力を入れていきます」と林氏。

 

思い出に残るご訪問

この12年間で印象に残る出来事は、2009年の天皇皇后両陛下のご訪問だ。「その年の3月から準備を始めてまいりました。玄関ロビーで日系各団体代表者、イベントホールで日系ホームと新さくら荘入居者とのご接見がありましたが、ひとりひとりに声をかけられ、とてもやさしい方で感激しました」
また2004年6月の高円宮妃久子さまのカナダご訪問の際にもこんなエピソードがある。「日本・カナダ外交関係樹立75周年にあたるカナダ政府からの招待で親善訪問されたのですが、当初バンクーバーはご予定に入っていませんでした。そこで東宮御所に伺い、バンクーバーの日系人の歴史、日系の組織、日系プレースなどのご説明をさせていただくと、翌日バンクーバーも予定に入れてくださいました」
久子さまは林氏と当時のBC州首相ゴードン・キャンベル氏の案内で日系博物館を視察されたあと、画家テッド・コリアー氏のパステル画除幕式に出席された。コリアー氏は日本で絵の修行をしたことから、故高円宮殿下とも交流があったという。

 

日系の歴史・芸術・文化を守る

大学卒業後に渡ったニューヨークで、日系人合同教会の人びとの世話になった林氏。だが恩返しをしようとしたとき、すでに彼らは亡くなっていたという。「アメリカよりもカナダの日系人のほうがつらい経験をしていることを知り、少しでも皆さんのお役に立てればと思っていたところ、日系センター創設のプロジェクトに誘われ参加しました」と当時を振り返る。
プログラムや展示を通じて異なる世代を結びつけ、日系カナダ人の歴史・芸術・文化を守り、広めるという同センターの目的は、スタッフ、理事に加え、多くのボランティアにより運営されている。
(取材 ルイーズ阿久沢)

 

日系文化センター・博物館
6688 Southoaks Crescent, Burnaby, BC V5E 4M7
電話(604) 777-7000

http://www.nikkeiplace.org
日系センター開館時間:火〜金曜日10am-9:30pm  土曜日9am-4:30pm
日系博物館開館時間:火〜土曜日11am - 5pm  日曜・月曜・祭日は閉館

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。