2018年5月10日 第19号

4月11 日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館でコスモス・セミナーが開かれ、会員ほかゲストを含む75 人が参加。会員の青山清志さん・青山敦子さん夫妻が、9年過ごしたプリンスエドワード島(PEI)の魅力について語った。

 

美しい写真を見せながらPEIでの日々を解説した青山清志さん・青山敦子さん夫妻

 

早期退職とカナダ移住

 茨城県水戸市で30年以上、地方公務員をしていた青山清志さん、青山敦子さん夫妻は同い年。55歳になったら早期退職して海外で生活してみたいと考え、医療制度や政治などに好印象を持ち、カナダを選んだ。大都市を避けたいと考えていた夫妻は、インターネットを通してハリファックス在住の日本人女性と知り合った。その後1回下見に訪れ、2度目にビジタービザで入国したが2007年11月11日。リメンバランス・デーだった。 「雪が多くて寒い年でした。英語がわからない上、車もなく日常生活は大変で、日本に帰りたいとさえ思いました」と清志さん。

 3月。春の息吹を感じた日にプリンス・エドワード島を訪れるとひとめぼれした。翌月に引越し、夫婦で1年間英語学校に通い、清志さんは永住権取得のためにカレッジに入学するなどして2年を過ごした。

 

赤毛のアン

 PEIを「世界一美しい島」と呼んだのは、『赤毛のアン』の著者、ルーシー・モード・モンゴメリである。モンゴメリは1874生まれ。1908年に『Anne of Green Gables』を発表するとベストセラーになった。

 日本では1952年に村岡花子訳の『赤毛のアン』が発売されブームに。1979年にアニメ『赤毛のアン』が放映され、高畑勲・宮崎駿コンビが第2ブームを築いた。年間平均して5千から1万人が日本からPEIを訪れるようになった。

 カナダではCBC(カナダ国営放送)が1986年にモンゴメリの小説に基づいたテレビシリーズ『Anne ofGreen Gables』を放映した。

 2014年にNHKで『花子とアン』が放送された年、PEIには日本から2万人の観光客が訪れた。赤毛のアンファンにとってPEIは『死ぬ前に一度は行ってみたいところ』で、空港に降り立ったとたん、泣き崩れる人も。毎年来るというファンもいて、連続18回PEIを訪れた人もいるという。

 村岡花子さん以外に、モンゴメリの研究家である松本侑子さんも翻訳本を出している。

 

ジェントル・アイランド

 島の面積は5660平方キロメートルで、愛媛県とほぼ同じである。先住民族ミックマック族は『波間に浮かぶ揺りかご』と呼んだ。

 人口は15万人。山がなく、どこでも暮らせるという意味では面積に対して人口密度が高い。第一産業は農業で、カナダのジャガイモ生産の3分の1を占める。続いて漁業、観光業、航空宇宙、製薬、IT産業などがある。

 島のキャッチフレーズはジェントル・アイランド。赤土とローリングヒルが織り成す穏やかで牧歌的な自然が訪れた人の心を癒す。

 首都シャーロット・タウンで市民の憩いの広場となっているビクトリア・パーク。青山さん夫妻は海沿いのボードウォークで散歩を楽しんだ。 ブライトン灯台と夕日。島を代表する景色であるフレンチリバーでは2010年にじゃがいもの白い花とカノーラ(菜の花)の黄色い花の景色が美しかった。夏には上り藤(ルピナス)の花が島中に咲き、雑草として嫌がられるたんぽぽの群生もみごとだ。

 

食の宝庫

 「お待たせしました」。まるでニュースキャスターを思わせる安定した声がマイクから流れる。敦子さんがロブスターを代表とするPEIの食材を紹介した。

 ロブスター漁の期間は5月、6月、8月中旬から10月中旬まで。

 「最初は3ポンドのロブスターをふたりで食べましたが、外側の殻や内臓など食べられない部分があるので、1・5ポンドのメス、やや小ぶりのものをひとり1匹食べるのをお勧めします。溶かしバターで食べますが、わさび醤油でもおいしいです」と主婦ならではの解説も。ほかにマルペク湾産のオイスターは島で養殖。ムール貝(マッスル)やホタテ貝はワインで蒸して、スープはパスタソースに利用する。

 敦子さんはPEI発祥のCOWs ショップのハードチーズが好きで、よく日本へのお土産にしているという。この日のコスモス・セミナーでは茶菓の時間にPEI産の甘酸っぱい生はちみつがクラッカーとともに振舞われた。

 

セカンドライフでB&B経営

 2011年、シャーロットタウン市に家を購入し、日本人が好きな深めのお風呂を入れるなど改築を経て、『B&Bブライトンハウス』をオープンした。島で唯一日本人夫婦経営のB&Bとして、2部屋、専用バス、リーズナブルな料金と充実した朝食、旅行相談などを提供。後半3年くらいは連日満室だったが、日本に住む高齢の母のことを考慮し、2016年に6年営業したB&Bを閉鎖。昨年、日本に近いBC州に移ってきた。

 「『おとぎの国』と呼びたくなるほど、島の人々は穏やかで善意にあふれた人たちばかりです。ゲストでいらしたお客さまとは今でもメールなどでやりとりしています」と話す青山さん夫妻。

 以前コスモス・セミナーからの旅行でPEIを訪れた人たちは旅の思い出と重ねながら、ほかの人たちは青山さんの話に聞き入り数々の写真を眺めながら、美しい島への思いをはせたことだろう。

 

青山さん夫妻の島巡りお勧めコース

(1日め):バンクーバー発(朝7時半)モントリオール経由でPEI着(16時34分)
(2日め):赤毛のアンの舞台へ。
(3日め):島の東側、灯台巡り。
(4日め):島の南側、コンフェデレーションブリッジ。
(5日め):島の西側、アカディアン文化。
(6日め):シャーロットタウン散策。
(7日め):PEI〜ハリファックス(要2泊)もしくはバンクーバーへ。

 

青山清志(あおやま きよし)/ 青山敦子(あつこ)
夫婦とも茨城県水戸市で30 年以上の地方公務員生活を経て2007 年に早期退職。その年カナダに移住し翌2008 年からプリンス・エドワード島で暮らし始める。2011 年から州都シャーロットタウン市で島唯一の日本人夫婦によるB&B「ブライトンハウス」を開業。6年間経営の後2016 年に閉鎖。昨年BC 州に転居し、現在サレー市に居住。両氏とも、社会貢献としてサレー日本語学校でボランティア教師を務めている。両氏ともにコスモス会員。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

島を代表する景色フレンチリバー(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

ブライトン灯台と夕日(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

夏の風物詩ルピナスの花の群生(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

ダルベイ・バイ・ザ・シーホテル。CBC テレビシリーズではホワイトサンド・ホテルとして登場した(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

ビデフォード・ミュージアムはかつてモンゴメリが下宿していた建物。モンゴメリーが小説を書きながら眺めていたであろう2階からの景色(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

島と大陸を結ぶ全長13km のコンフェデレーションブリッジ(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

ロッキーポイントのブロックハウス灯台(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

ビデフォード・ミュージアムはかつてモンゴメリが下宿していた建物。モンゴメリーが小説を書きながら眺めていたであろう2階からの景色(写真提供:青山清志さん・青山敦子さん)

 

単行本『花子とアン』とPEI 産の生はちみつを持参した青山敦子さん、青山清志さん。右はコスモス・セミナー主宰の大河内南穂子さん

 

 

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