横浜市使節団、バンクーバー市を表敬訪問

 

バンクーバー市・横浜市姉妹都市提携50周年記念プロジェクトの一環として6月21日からバンクーバーを訪問していた横浜市の林文子市長率いる使節団は、4日間にわたる各種公式行事を精力的にこなした。23日午前は、バンクーバー市庁舎を訪れ、グレゴール・ロバートソン市長らと会談。その後、バンクーバー市教育委員会で両市の高校間の新たな提携に署名した。

 

 

会談終了後、(左から)横浜市教育委員会の岡田優子教育長、グレゴール・ロバートソン市長、林文子市長、 アンドレア・レイマー副市長、横浜市国際局の関山誠局長

  

提携目標実践への話し合い

 バンクーバー市庁舎周辺の緑が爽やかな微風に揺れる6月23日午前8時50分、林文子横浜市長らを乗せた車が庁舎北玄関に着いた。玄関の外で市職員らと共に待っていたグレゴール・ロバートソン市長、アンドレア・レイマー副市長は、車から降りた林市長に歩み寄り歓迎。林市長も満面の笑顔で挨拶の言葉を交わした。

 その後、一行は2階の公式行事室へと進み、テーブルを囲み30分ほど和やかに会談。この中で両市長は、今後も、学校提携などの教育面や、低炭素をはじめとする環境問題への取り組みなど、テーマを絞り具体的な活動を目標に据えて提携を深めていくことに合意した。  

 

『バンクーバーの朝日』

 林市長は、ロバートソン市長やレイマー副市長に、「ご存知ですか?」と雑誌を開き、昨年バンクーバーでプレミア上映があった映画『バンクーバーの朝日』で主演した妻夫木聡さんの写真を見せた。そして、妻夫木さんが横浜市出身であることや、新朝日軍のメンバーが今年3月、日本遠征の際に横浜市を訪れ、林市長と面会したことなどを語った。

 ロバートソン市長は、バンクーバーが誇る多様な文化の例として、毎年8月の日系最大の祭り「パウエル祭」を挙げた。レイマー副市長は、朝日軍が厳しい状況の中で野球に取り組んだことへの感動を述べた。

 

共に21世紀の まちづくり

 午前9時30分、林市長らは市議会場に移った。すでに着席してこの日の議会の開始を待っていた市議らに、ロバートソン市長が林市長を紹介。その後、林市長は次のような内容を含むスピーチを英語で行った。

 「バンクーバー市と横浜市は共に、19世紀中頃から海外との貿易を通して栄えてきた。

 1887年、太平洋航路の開始で両市が結ばれ関係が深まっていくと、多くの日本人がバンクーバーやカナダの他の都市に向けて横浜から船出していった」。 

 林市長は再び朝日軍の話を交え、「これら日系人は懸命に努力し、ここでの生活とバンクーバー市民との友情を築いていった」と述べ、「1965年には両市の姉妹都市提携が成り、この50年間さまざまな交流が行われてきた」と説明した。

 50周年という記念すべき今年、両市間で4番目の学校提携も実現する。林市長は明日を担う若者たちの交流に、さらに力を入れていきたいと抱負を語った。

 スピーチの後半は、環境問題への取り組みに焦点が当てられた。

 「バンクーバー市も横浜市も、持続可能なまちづくりに力を入れている。ロバートソン市長の主導でバンクーバー市が進めている『世界で一番緑にあふれたまちづくり』にたいへん共感している」と林市長は言う。一方、横浜市も日本政府から『将来のまち』として指定されている。

 「両市では、次世代の交通・エネルギー管理システムを導入し、環境にやさしい生活スタイルを率先して実行、啓発している。昨年3月、両市は、C40世界大都市気候先導グループ(*1)のなかで、『国際カーボンニュートラル都市ネットワーク』(*2)参加都市に選ばれた」。

 21世紀は、まちづくりが重要な課題。両市が協力して世界を牽引していこうと、林市長は議場に呼びかけた。

 林市長によるスピーチの後、ロバートソン市長が両市の姉妹都市提携50周年の宣言を読み上げ、その額を林市長に手渡した。 *1・2:横浜市記者発表資料、平成27年3月31日、温暖化対策統括本部調整課、「温暖化対策に取り組む国際的ネットワークへ参加します」参照。

 

学校間の提携推進

 バンクーバー市庁舎を後にした林市長らは、午前10時30分、バンクーバー市教育委員会に到着。玄関に並んだ職員から温かい出迎えを受けた。

 会議室でのセレモニーは、スコット・ロビンソン教育長の司会で、ジャネット・フレーザー委員長の歓迎の言葉から始まった。次に、教師に引率された20人のカナダ人学生が一人ずつ起立し、横浜や日本とのかかわりを手短に述べながら自己紹介。その後、林市長がスピーチを行った。

 引き続き、このセレモニーのハイライトであるバンクーバー市立サー・ウィンストン・チャーチル・セカンダリースクールと横浜市立横浜商業高等学校との姉妹校提携の署名式が執り行われた。

 両市教育委員会や提携校の間でのプレゼント交換もあった。

 セレモニー終了後、姉妹都市提携50周年を祝う特製ケーキが用意されたレセプション会場では、出席者がリラックスした雰囲気の中で会話を弾ませ、友好を深めていた。

 

バンクーバー市庁舎に到着後、グレゴール・ロバートソン市長と握手を交わす林文子市長

『バンクーバーの朝日』主演の妻夫木聡さんの写真を見るグレゴール・ロバートソン市長とアンドレア・レイマー副市長

会談終了後、握手を交わすグレゴール・ロバートソン市長と林文子市長

アンドレア・レイマー副市長から贈呈された弊紙に見入る林文子市長とグレゴール・ロバートソン市長

バンクーバー市議会場でスピーチを行う林文子市長

バンクーバー市・横浜市姉妹都市提携50周年の宣言の額を掲げるグレゴール・ロバートソン市長と林文子市長

姉妹校提携の署名を行ったサー・ウィンストン・チャーチル・セカンダリースクールのジャック・ベイリー校長(左)と横浜商業高等学校の冨地正博校長(中央)、林文子市長

プレゼント交換を行ったバンクーバー教育委員会のジャネット・フレーザー委員長と林文子市長

バンクーバー市教育委員会のレセプション会場に用意された姉妹都市提携50周年を祝うケーキ

バンクーバー市教育委員会のレセプション会場で、姉妹都市提携50周年を祝うケーキに入刀する林文子市長とスコット・ロビンソン教育長

 

(取材 高橋百合)

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