バンクーバー日本語学校で和やかに開催

 

5月3日、JALTA日本語教育振興会の創立40周年記念式典がバンクーバー日本語学校で開催された。式典には在バンクーバー日本国総領事の岡田誠司氏、領事の富義之氏、JALTA元名誉会員の曽我松男氏、JICA(国際協力機構)アメリカ合衆国事務所所長の竹内元氏らが来賓として出席。長年にわたりBC州で日本語教育に携わってきた教師への表彰状贈呈などが行われた。和やかな雰囲気の中、約60人の出席者は40周年という大きな節目を共に祝い、交流を深めた。

 

 

功労賞受賞者と勤続10年から40年以上の表彰を受けた日本語教師の皆さん

  

振興会発足の経緯

 記念式典では、まずJALTA会長の馬目広三氏から、振興会発足の経緯について説明があった。契機となったのは、1973年に開かれたBC州政府主催のMulticultural Conferenceだった。Ethnic Languageに携わる教育者を対象とした、この会議の決議事項の一つとして、BC州政府との連絡機関の設置が勧告されたのだ。そのため当時UBCの准教授だった曽我松男氏の号令の下、グレーターバンクーバーの日本語学校の校長による話し合いが持たれ、1974年、横山赳夫氏を初代会長として『BC州日本語教育振興会』が設立された。その後1989年に、名称『JALTA - Japanese Language Teachers Association』をカナダ政府に登録。同会の目的を、日本語教育の振興、日本語教材の開発、日本語教師の育成、関係機関・団体との連絡・情報交換、これらの目的のための必要事項の実施と定め、現在に至る。今回の式典には、多大な功績をたたえられつつ昨年亡くなった初代会長の横山氏に代わり、迪子夫人が出席した。馬目氏は、「私たちJALTAは、BC州における日本語教育の振興と発展に、役員一同、力を合わせて尽力していく所存であります」と決意を述べた。

 

 

振興会発足の経緯について語る JALTA会長の馬目広三氏

 

祝辞を述べる在バンクーバー日本国総領事の岡田誠司氏

 

日本語教育の重要性

 在バンクーバー日本国総領事の岡田誠司氏は祝辞の中で、当地における日系人の歩みを振り返り、子どもの教育は日系人にとって常に重要な問題であったと語った。時代を経ても、教育の必要性は変わることがない。現在はグローバリゼーションが進む中、日本政府も留学生を増やすための取り組みに力を入れているが、BC州で日本語を学習している生徒たちは、いわばこの地にいながら留学しているも同じだ。日本語を学ぶということは、単に言葉を学ぶだけではなく、その言葉の背景にある文化や伝統を学ぶことでもある。JALTA会員の日本語教師が教えている生徒たちは、グローバリゼーションの先駆者のような存在であり、日本とカナダ両国にとって必要不可欠な人材になるだろう。岡田氏は「JALTAの歴史がこれから40年、50年、60年と続いていくことを切に希望しています」とエールを送った。

 

JICAによる 日本語教育支援

 ワシントンDCから今回の式典に駆けつけたJICAアメリカ合衆国事務所所長の竹内元氏は、これまで中南米諸国などでも、日系人の間で日本の文化や価値観が受け継がれているのを目の当たりにしてきた。そして、その基礎となっているのが日本語教育だった。JICAは移住者支援事業の一環として、1977年からカナダの日本語教育を支援してきた。具体的には、日本語教育関係者の研修会や、次世代の日系社会を担う少年少女を対象とした日系社会次世代育成研修を実施している。「今後もカナダの日本語学校の方々とのつながりを大切にし、お手伝いをすることができればと考えております」と竹内氏は語った。

 

 

JALTA元名誉会員の曽我松男氏。JALTAには発足時から携わり、BC州における日本語教育に大きく貢献した

 

JICAアメリカ合衆国事務所所長の竹内元氏

 

功労賞と 日本語教育者表彰

 式典では、功労賞受賞者と勤続10年から40年以上の日本語教育者の表彰が行われた。長年にわたりBC州における日本語の普及と振興に大きく貢献してきた16人に対して、JALTAの馬目会長から表彰状と記念品が贈呈された。

 

日本語教師 代表のスピーチ

 表彰を受けた日本語教師の代表によるスピーチからは、日本語を教えることの難しさや、JALTAの存在の大きさが伝わってきた。岡村香織先生は、さまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちに日本語を教えることにプレッシャーを感じていた時、JALTAで出会った他の教師たちがその重い心を軽くしてくれたと語った。樫原博子先生は、支えてくれる人々に感謝すると共に、「教師とは子どもたちに常に夢と希望を与える探検家」という言葉を紹介した。本間真理先生は、何度も話し合いを重ねながらJALTA日本語能力検定試験の問題を作成した思い出などを振り返り、JALTAがあったからこそ今まで日本語教師を続けてこられたと語った。

 

生徒への愛情と 教育への情熱

 勤続40年以上の唯一の日本語教育者として表彰された村上陽子先生は、短歌を詠みながらJALTAと共に歩んだ日々への思いを表現した。日本語教師研修会や勉強会などの活動を通して、横山赳夫氏や曽我松男氏らから学んだことは人生の宝になっているという。さらに村上先生は、教育を行う上で大切なことは「生徒への愛情と教育への情熱」だと強調し、現役の教師たちに「素敵な思い出が待っています。どうか長く続けて下さい」と語りかけた。

 

サプライズで 『乾杯』を合唱

 その後、JALTA発足当時から多大な貢献をしてきた曽我松男氏と、47年間の長きにわたり日本語教育に情熱を傾けてきた村上陽子先生への深い感謝の思いを込めて、他の教師らがサプライズで長渕剛の『乾杯』を合唱した。客席からは手拍子も起き、会場は温かい雰囲気に包まれた。村上先生は「急なことで感激し、感慨無量です」と語った。

 

曽我松男氏と村上陽子先生への感謝の気持ちを込めて、日本語教師らがサプライズで「乾杯」を合唱。会場は温かい雰囲気に包まれた

 

和やかな 交流の時間

 40周年記念のケーキカットと記念撮影終了後は、歓談の時間となった。多くの出席者が久しぶりの再会を喜び合いながら、思い出話に花を咲かせていた。また式典には、日本語教師として歩み始めたばかりの若い教師も参加しており、先輩たちの話に感銘を受けたようだった。最後はサマーヴィル美保子先生が、「記念すべき40周年というこの時に携われ、立ち会えたことを心より光栄に思います。私自身、JALTAを通して、初めて他の地域の日本語学校の先生方、そして日本語教育に携わる多くの方にお会いすることができました。このように人と人とが出会い、同じ目的のために協力し、紡ぎ出せるものがここJALTAにあります。今後とも、JALTAの活動に対しまして、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」と挨拶し、式典を和やかに締めくくった。

 

JALTA創立40周年を記念し、ケーキカットが行われた。(左から)岡田総領事、曽我松男氏、村上陽子先生、JICA代表の竹内元氏

(取材 高橋百合)

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