2020年4月30日 第14号

雑誌や漫画など出版物に携わる人たちを描いた日本の小説やドラマは、続々と作品が発表されている。出版不況といわれる今日も、こういったテーマが人気であることは変わらないようだ。またスマートフォンを操作している時も、結局は文字を読んでいる場合が多いことを考えると、日本人の活字好きは文化といえるのではないだろうか。では、その文化を築いてきたひとつである新聞を作るにあたっては、どんな仕事があるのだろうか。また他の出版物との発行にあたっての作業の違いはなんだろう? 今回はバンクーバー新報で働くスタッフに、それぞれの業務についてインタビューを行った。

 

新聞制作の流れ
記事の納品 → 編集 → デザイン(DTPデザイナー)→ 校正 → 下版・印刷所への入稿(DTPオペレーター)→ 印刷 → 配送

用語の確認
DTPデザイナー/オペレーターとは
DTP(DeskTop Publishing)は、コンピューターでデータを作成し印刷工程に進めることを意味します。原稿のレイアウトから下版、入稿までを机の上で行うため、日本語では卓上出版とも呼ばれます。バンクーバー新報では、この運用に2007年ごろから切り替えています。
DTPデザイナーは記事のレイアウトを作成し、DTPオペレーターはそれを受けて、データを印刷所に入稿できる状態に修正します。

制作統括 DTP オペレーター

・仕事の流れを簡単に教えてください。

 まず新聞全ページの構成の決定。どのページにどの記事・広告を掲載するかを考えます。次に、デザイナーが作成した記事や広告は一つ一つバラバラの状態なので、決定した構成に沿って新聞の形に並べて貼り付けます。

 また各データに異常がないかチェックし、制作から印刷までの進捗状況を大まかに把握して、締め切りに間に合うよう作業を進めていきます。

 完成した印刷データを最終確認して、印刷所に入稿するところまでが仕事になります。

・入社当初から制作統括をしていたのでしょうか?

 ワーキングホリデービザでバンクーバーに滞在していた間、デザイナーとして1年間勤めました。その後、制作統括として再び入社しました。

 作業の内容は異なりますが、デザイナーとしての経験があることで、制作から入稿までの作業の流れが把握しやすくなったと思います。

・週刊ということで気をつけていることはありますか。また新聞ならではの難しさはありますか。

 締め切りに間に合わせることと、間違いがないように細かくチェックすることを両立させるのを常に意識しています。

 印刷当日にどうしても掲載しなければならないニュースが入ることもあるので、それに対応できるように臨機応変な判断も必要になります。難しいことは周りの人に助けてもらいます。

DTP デザイナー

・仕事の内容、流れを教えてください。

 記事に合わせてデザインを考えて、記事をそのデザインに流し込みます。そして、だいたいのデザインを作ってから、校正に回して校正から返ってきたら直して最終として提出します。

・デザインを担当した中で、とくに印象に残っている記事があれば教えてください。

 VIFFと毎週の映画の記事です。個人的に映画が好きなので毎週のオススメ映画とかVIFFの特集はいつも楽しみにしています。そのほかに楽しいのは、メープルの特集です。そのトピックに合わせてデザインを考えるので、見出しとかフォントを選んだり自由にデザインできることが楽しいです。

・どういったところにやりがいを感じますか。

 その記事の内容と読者のことを考えてデザインするので、自分の好みのデザインを追求するというよりも、読者にとって読みやすさを考えたり、期限内に印刷所に送るので、それに間に合うように記事を作っていくことを一番に考えています。

・デザイン自体は個々人の仕事(作業)であっても、他部門との連携もあるかと思います。そういったコミュニケーションはデザインにおいてどのように大切だと感じますか?

 デザイナーということよりも、どんな職業にも共通していると思うのは、チームワーク、コミュニケーションとエモーショナルコントロールは大切だと思います。どのくらいの仕事を与えられた時間の中でやれるかは人によって違うし、どんなにストレスフルな状況であっても人間は完璧じゃないから間違えはあって当り前で、チームであるからにはその違いをサポートし必要以上に責めすぎない。許し合うことは大切なことだと思います。その経験を通して感謝の気持ちが生まれて、信頼関係が生まれて、それが仕事のやりやすさに繋がるから、いい仕事ができる条件では一番必要だと思います。

校 正

・校正とはどういった仕事になりますか?

 原稿と校正刷りを照らし合わせて、間違いがないかチェックをする仕事です。 文字の大きさ、書体、組方を含めた誤植などの文字校正のほか、「てにをは」、漢字の誤用、カタカナの表記、文法、文章のチェックも行っています。

・業務において気をつけていることはなんですか。

 新聞なので、文章が分かりやすいか読みやすいかという点を意識して校正するように心がけています。人物名や団体名、固有名詞については細心の注意を払うようにしています。

・新聞の校正は、媒体の性質上、他の印刷物とは違うと思う点はありますか。どういったところに難しさを感じますか。

 新聞校正では共同通信社のハンドブックを基に校正をします。原稿と校正刷りに相違点がないかというチェック以外にも、文字の表記が共同ハンドブックの表記ルール(たとえば、漢字で書くのが一般的な場合でもひらがな書きが基準となっていることもある)に則っているかなどを確認します。そこが難しいというか手間がかかるという感じです。

・やりがいを感じるのはどういったところですか。

 毎週新聞が発行されるときに、やりがいを感じます。ほかのスタッフと一緒に新聞というひとつのものをみんなで作り上げているという実感。地味な作業ですが、自分の仕事がすこしでも読者の方の役に立てればいいなと思って仕事をしています。

 

 今回紹介できたのはすべての部門ではなく、実際はさらに広告や配送などさまざまな担当者が関わっており、また当然ながら、従業員のほかにも、連載の執筆者や、実際に記事を書いている記者がいる。ただこうして実際の仕事の内容を一部でものぞいてみると、新聞にまた新しい見え方が生まれるのではないだろうか。

 新聞の使命は、ニュースを公平な立場で、わかりやすく伝えるところにある。表に出ることはないが、新聞を陰ながら支える立場として、スタッフ一同励んできた。

 

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は今号をもちまして終了いたします。

しかし、日系コミュニティーに支援されて41 年余り続いてきた新報を存続させたいとの思いから、オンラインによるウェブサイトでの情報発信を継続することになりました。

SNS を含むオンラインは、弊紙で記者をしておりました三島直美と西川桂子が、責任者として引き継ぎ新体制で再出発する予定です。

今後も引き続き、ウェブサイトの閲覧をよろしくお願いいたします。