2020年3月19日 第12号

チームカナダが銅メダルを獲得した。今年で第5回となるカナダセブンズ。毎年地元ファンの期待を一身に背負いながら、本領を発揮できずにいたが今年は一味違った。カナダセブンズは毎年世界10都市で開催されるセブンズラグビーシリーズの北米大会の一つ。バンクーバーでの開催が5回目となる今年は、3月7日・8日に開催された。チームカナダは毎年コアチームとして参加、チームジャパンは今年は招待枠での参加となった。

 

︎チームカナダ銅メダル(Photo by World Rugby Sevens Series)

 

チームカナダ、3位決定戦で南アフリカを下し3位

 キャプテンのネイサン・ヒラヤマは大会終了後、「今日はいけるという感覚が最初からあった」と語ったほど、チームの調子はよかった。「違うメダルの色を狙っていたが」と銅メダルで残念だったと語り、今大会は1試合1試合調子を上げていく中で「優勝のチャンスがあると思っていた」と約5万人が詰めかけたファンの前での優勝を逃して悔しそうだった。

 今年のチームカナダは第1日の初戦から違っていた。第1試合は対フランス。試合開始2分でヒラヤマのトライで先制すると5トライを決め快勝。まずは1勝でグループ最大の難敵フィジーとの対戦となった。しかし、今大会のカナダにとってはフィジーも敵ではなかった。カナダが常にリードする展開で、昨年覇者フィジーを倒し波に乗ると、この日最後のウェールズ戦ではヒラヤマの先制トライも含めて5トライを決めて圧勝した。

 3戦全勝した後、ヒラヤマが「まずは初日を乗り切って最初のミッションをやり終えた」と語ると、ベテランのハリー・ジョーンズは、今はチームに深みができていると自信を見せ、「明日に向かっていい感触で入っていける」と語った。その言葉通りとなった。

 2日目の第1試合準々決勝は、スペインとの対戦。楽勝かと思われたが、意外にも前半は苦戦。それでも快勝して準決勝に進んだ。次はオーストラリア。昨年までは苦戦していたオーストラリアだが、やはりオリンピックを前に調子をあげてきた。先制はカナダ。ジョーンズがトライを決めるも、その後立て続けに3トライを取られる。それでも13分にトライを決め、最終プレーでの同点トライで歓声が会場を揺らした。しかし、結果はわずか5センチメートルほど足らず、ビデオ判定でノートライが告げられると、ため息と拍手が会場を包んだ。

 3位決定戦は南アフリカ。前週のアメリカ大会で優勝している強敵。先制はやはりカナダ。ジャスティン・ダグラスが開始早々1分にトライ。しかし同点に追いつかれる。それでも後半は、またしてもダグラスのトライでリードし、最後にヒラヤマが左隅にダメ押しのトライを決めると、会場はメープルリーフがはためき大歓声に包まれた。

 ヒラヤマは「2日間ファンの応援がすごくて」と語った。今大会で初めてチームカナダの試合では、ハーフタイムにカナダ国歌を全員で大合唱するというサプライズがあった。これには「鳥肌が立った」とヒラヤマ。「とにかくこの大観衆の中でいい試合を見せたかった。ほんとにファンが後押ししてくれた結果だと思う」と5万人のファンに感謝した。

次の目標は初出場となるオリンピック、東京だ

 カナダは昨年、東京オリンピックへの切符を手に入れた。厳しい道のりだったが初の五輪出場を決め、昨年夏から東京を標準に準備をしている。今季のセブンズシリーズはまさに五輪出場チームにとっては前哨戦となる。今大会でフィジー、南アフリカ、オーストラリアというメダル候補に勝利し互角に戦えたことで「前回大会といい、今回といい、自分たちが取り組んでいることがいい方向に向かっていることが分かる大きなステップとなった」とキャプテンは自信をみせた。

 新型コロナウイルスの影響で、予定されていた香港、シンガポール大会は秋に延期となったが、5月にロンドン、パリ大会が控えている。「最後の2大会でさらに大きく飛躍して東京に向かっていい状態で入りたい」とこの夏を見据えた。

東京五輪に向け課題と収穫を得たチームジャパン

 日本代表は招待枠での参加となった。1日目は3試合目で今大会調子を落としているアルゼンチンと対戦。ミスが多いアルゼンチンに対して、「惜しい試合はしたけど勝ち切れてなかった」と引き分けたのが悔やまれるとキャプテン吉澤太一が振り返った。今大会でキャプテンを任された。「小澤さんもいて、桑水流さんもいて、自分らしいプレーをしてくれればいいって言われているので」と、ベテランの背中を見ながら自分らしいセブンズジャパンを見せるよう心がけていると語った。

 昨年はバンクーバー大会でキャプテンを務めていた小澤大は今大会を振り返り、やはり「(南アフリカ戦、アルゼンチン戦の)勝てるところで勝ちきれなかったというのが正直な感想です」と語った。ただ、今回は7人制の経験が浅い選手もいた中で強敵相手に互角の試合をするなどの収穫もあったと振り返る。標準はあくまでも東京五輪。前回の五輪では4位で表彰台を逃した。しかしあれから4年、世界のレベルが確実に上がっていることも感じている。7人制でずっとやってきた小澤だから、ひしひしと感じるセブンズ世界の現実だ。しかし「日本も成長していると思っているので、どれだけ結果を残せるかだと思います」と語った。

 そして、来年のカナダセブンズに向けても動いている。バンクーバーのスタジアムの雰囲気も街の感じも好きだという。「そういう中でプレーできるのは正直うれしいですし、しっかりもう1回昇格してコアでここに来年来たいと思います」と笑った。

 

第5回カナダセブンズ試合結果

優勝 ニュージーランド
準優勝 オーストラリア
3位 カナダ

カナダの結果
3月7日
31-21 フランス
26-21 フィジー
29-7  ウェールズ

3月8日
準々決勝
21-0  スペイン
準決勝
14-19 オーストラリア
3位決定戦
26-19 南アフリカ

日本の結果
3月7日
0-12  南アフリカ
0-29  イングランド
14-14 アルゼンチン

3月8日
9位-16位決定戦
19-50 サモア
12-21 アイルランド

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

 

︎ヒラヤマのコンバージョン。ウェールズ戦。3月7日

 

︎チームジャパンの唯一の引き分け試合となったアルゼンチン戦。3月7日

 

︎南アフリカ戦でのチームカナダ。3月8日

 

︎チームジャパン、キャプテン吉澤(手前)と小澤。サモア戦。3月8日

 

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は今号をもちまして終了いたします。

しかし、日系コミュニティーに支援されて41 年余り続いてきた新報を存続させたいとの思いから、オンラインによるウェブサイトでの情報発信を継続することになりました。

SNS を含むオンラインは、弊紙で記者をしておりました三島直美と西川桂子が、責任者として引き継ぎ新体制で再出発する予定です。

今後も引き続き、ウェブサイトの閲覧をよろしくお願いいたします。