2017年8月24日 第34号

毎日欠かせないお味噌汁。長年おいしい味噌を求めて、あらゆるブランドを試したが、いまいち自分のテイストのツボにはまる味噌に出会えなかった。

そんなある日、毎年自家製の味噌を作るという友達のお母さんにインスピレーションを受けて、「そうだ!自分で作ってみよう!」と思い立った。

昔ながらの発酵食品である味噌について調べているうちに、この素晴らしい食品の奥深さを改めて知り、そして自分の好きな味を試行錯誤で見つけていけるという楽しみもあることを発見した。そこで3年前から私の味噌づくりは始まった。

『手前味噌』とはよく言ったもので、自分や家族の好む甘さや色などに合わせた味噌を自分のものにしていけるのである。

思った以上に簡単にできる、我が家の味噌をご紹介したい。

 

我が家の2年熟成して食べごろになった味噌

 

味噌の仕込みは寒い時期に!

 味噌の熟成は夏を越したものが発酵具合もよく、味も良いといわれているため、仕込みは冬が理想。我が家も2月くらいに仕込む。食べられる頃合いの熟成期間は最短で6か月くらいから。味見をしておいしいと思ったときが食べごろ。熟成すればするほど、味噌らしい茶色になり3年もすればコクのある、色の濃い味噌に仕上がる。好みで食べる時期を決めればよい、そして若い味噌を少し試食してみてからまた残りを寝かせることだってできる。一番うれしいのは、自分が食べたい味を探せることだ。熟成を待つ楽しみこそ、味噌づくりの醍醐味。

 

自家製味噌

<材料(作りやすい量)>
大豆 500g、米麹 500g、塩(天塩など必ず天然の塩を使うこと) 250g
※仕上がり量を4 ㎏くらいにしたければ、大豆 1 ㎏、米麹 1 ㎏、塩 450gくらいがおすすめ。塩は11% 以下の分量になると腐ってしまうので注意。
※余った麹は後日、塩麹や醤油麹にするとよい。
※私は必ず大豆はオーガニック系スーパーでオーガニックのものを買う。米麹はFujiya などで手に入れることが可能。日本から麹を持ち帰ることもある。麹はすぐ使わない場合、冷凍して半年くらいは充分にもつ。

<作り方>
1)大豆をしっかり洗い、大豆の3〜4倍の水に一晩つける。(しっかりと豆が膨らむまで冬場は13 〜15 時間くらい)
2)浸した水をそのまま使い大豆を大鍋に入れて煮る。沸騰したら上の泡を取り除いて常に大豆が水にかぶっている状態で約4〜5時間、圧力鍋だと加圧後30 分ほど煮る。( 圧力鍋を使う時は豆の皮が通気口をふさがないように落し蓋などを使い、分量の最高ライン以上は入れないこと)
 一粒の豆をとって親指と小指ではさみ、簡単につぶれるくらいの固さまで煮る。煮汁は捨てずにとっておくこと。
3)豆を煮ている間、麹を大きなボウルに入れ、分量の塩を入れて麹と塩をこすり合わせるように、しっかり手のひらでもむようにしながら混ぜる。(これを『塩切り』という)だんだん甘酒のようなかぐわしい香りがしてくるので、心を込めてもみ込む。手のひらで握って固まりができるくらいのしっとり感がでてきたらOK。
4)煮えた大豆を温かいうちにつぶす。すりこぎでつぶしてもよいが、大きい保冷用のプラスチックバッグに入れて、上から麺棒やワインボトルでごろごろしてつぶすとよい。家にミンチをする機械があれば、大量の大豆も簡単につぶせる。我が家ではキッチンエイドのミンチ用のアタッチメントを使ってつぶす。
5)つぶした大豆を人肌くらいに冷ましてから塩切りした麹を混ぜる。まんべんなく混ざるように、手のひらでむぎゅっと握りながらしっかり混ぜていく。
 かたいようなら、ぬるくさました煮汁を足しながら調節する。(握ってしっとり水分が出る程度。耳たぶくらいにやわらかくなったらOK)
6)手のひらにのる程度の味噌玉を作る。ハンバーグを作るときのように、手のひらに打ち付け味噌玉の空気を抜きながら丸めていく。
7)ガラスやプラスチックの大きな容器を用意し、中を焼酎やウォッカなどでよくふいて消毒しておき、そこへ味噌玉を投げ入れていく。容器の底に打ち付けたら、手でしっかりと空気が入らないように押し付けて底を覆う。さらに上から味噌玉を投げ入れて一つ入れるごとにしっかり空気を抜く。最後は表面を平らにして、容器と味噌の間に空気の隙間がないか確認。(空気が入るとカビのもとになる)
8)容器の内側についた味噌をもう一度アルコールできれいにふき取り、味噌表面にラップをぴったりとして、上から塩をかぶる程度にのせる。重石は仕上がり量の30 〜40%くらいの重さで。私は大きめのビニール袋に塩を1㎏くらいいれてのせて、隙間なくふたできるようにしている。
9)容器を新聞紙などで覆って冷暗所で保管。容器の上に分量や作った日付を貼っておくとわかりやすい。6カ月くらいから食べられるが、私の好みは2年くらい熟成させたもの。ちょうどよい具合に熟成したら、後は小さめの容器に移して冷蔵庫で保管しながら使っていく。

 

 残った麹を使って、醤油麹。残った麹が少しなら、ガラス容器に入れて麹がかぶる程度に醤油をいれる。毎日醤油が減っていればまたひたひたのところまで入れながら混ぜて、1週間ほどでできあがり。納豆のたれにしてみたり、塩麹と同じように使い道はたくさんある。

 麹の量が多ければ多いほど、甘いめの味噌ができる。慣れてくれば、いろいろな分量のレシピをネットで検索し、試して、自分に合った味を探してみよう。

 愛情をこめて作った味噌の味は格別においしい。難しいことを考えることなく、ぜひ一度挑戦してみて!

(記事 八重 和子)

 

親指と小指でつまんでつぶして柔らかさをチェック

 

手のひらでもむように混ぜ込んでいく

 

手のひらで握って固まりができるようになると塩切りができた証拠

 

麺棒やワインボトルなどでつぶす

 

むぎゅっとまぜる

 

ぬるくなった煮汁を加えて柔らかさを調節

 

 

容器をアルコールで消毒

 

味噌玉をひとつずつ投げ入れる

 

味噌玉を入れるごとに手で空気をしっかり抜いていく。特に容器のコーナーに空気が残らないように

 

容器についた味噌をきれいにふき取る

 

新聞紙で軽くふたをし、作った日付を明記

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。