2017年8月10日 第32号

バンクーバー市・イーストサイドにあるオッペンハイマー公園を中心に41回を迎えるパウエル祭が8月5日、6日の2日間にわたり開催された。昨年の入場者数1万6千人を超えるとみられる人出があり、今年も大いに賑わった。

パウエル・ストリート・フェスティバル協会(PSFS)が主催するパウエル祭は、オッペンハイマー公園と、その周辺道路、そしてファイアーホール・シアター、バンクーバー日本語学校、バンクーバー仏教会にて食べ物屋台、クラフト販売、ダンス、武術デモンストレーション、文学、シアター、そして音楽などが2日間にわたって繰り広げられる盛りだくさんのイベント。バンクーバーでの大きな日系カナダ人の祭りであると共に、最長の文化コミュニティイベントでもある。

 

鬼花太鼓の演奏で花傘音頭(写真 中村みゆき)

 

 山火事の影響によって青空がのぞかない空模様ではあるが、雨も降らず穏やかな初日の午前、スコーミッシュ先住民代表のビル・ウィリアムズ氏による祝福の儀式から始まった開会式は、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事、バンクーバー・マウントプレザント地区MLA のメラニー・マーク氏、バンクーバー九条の会の落合栄一郎氏とバンクーバー市議会議員ティム・スティーブンソン氏、建築家の本間志のぶ氏、パウエル祭会長エドワード・タカヤナギ氏、カナダ議会議員及びLGBTQ 2問題におけるトルドー首相の特別顧問のランディ・ボイスナルト氏が壇上に上がり挨拶を行った。

 その中で、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事は「41 回目を迎えるこのパウエル祭に戻って来れて大変うれしく思います。毎年規模を拡大しているこの祭りは、昨年の入場者数が1万6千人を超えたということで、素晴らしい偉業を達成されています。日本文化がここバンクーバーで繁栄し、成長し続けていることは大事なことで、これを次の世代にもぜひ残していきたいものです」と挨拶した。

 またパウエル祭会長のエドワード・タカヤナギ氏は「今日はご来場いただきありがとうございます。この祭りは、運営委員会や祭りを受け入れてくれているコミュニティ、出店者、そして、ここに来られている来場者の皆さんの力なしでは、なし得ません。ですから、ここにいる全ての皆様に感謝申し上げます」と挨拶した。

 最後にボイスナルト氏が、トルドー首相からのメッセージを読み上げた。『パウエル祭は、活気あふれる日系カナダ人コミュニティと豊かな文化が今も残る場所にて開催されます。第二次大戦中、日系カナダ人は強制退去させられました。カナダのこの悲しい過去を忘れずにいることはとても大切です。本日会場へ足を運ばれた皆様、素晴らしい食べ物とステージをお楽しみ下さい。パウエル祭の成功を心よりお祈りします。ジャスティン・トルドーカナダ首相より」。

 ことしも食べ物屋台は大賑わい。サーモン定食、唐揚げ、スパムむすびにトルネードポテト、どこも、祭り開始前から夕方過ぎても人の列。その中でも、根強い人気のたこ焼きと、最近人気の抹茶ブースには、終日長い列が続いていた。

 山火事の影響での曇り空のため、気温はそれほど上がらず過ごしやすい天候となったが、乾燥しているので、水分補給は必須。ウォーターファウンテンの設置や、容器を持参すれば給水できるブースがあるのは素晴らしい配慮。そして、国際色豊かで質の高いパフォーマンスや実演、参加型アクティビティが全て無料というのもパウエル祭の大きな魅力。

 鮮やかな浴衣や甚平を着ている子供たちや家族連れ、カップルが目を引いた。「去年ここ(パウエル祭)で買った」という浴衣を、子供と自身も身にまとって来場しているカナダ人家族に出会った。実際、ことしも浴衣や着物の生地を使った洋服のブースでは、真剣に品物を物色する来場者で1日中混み合っていたようだ。多くの人が「日本風」なおしゃれを自由な感覚で楽しみ、夏祭りの雰囲気をさらに盛り上げていた。

 もうひとつ、ことし盛り上がりをみせていたのは、本年度のデザイン・コンペの受賞作品「マクロ巻き」。1メートル程のマグロやエビといった「寿司ネタ」から好きなネタを体に乗せて大きなプレートに乗り、上から写真を撮るという楽しいもの。『建築界における歴史上最も楽しいインスタレーション(体験型アート)』と、建築家の本間志のぶ氏が形容したように、自分が「寿司」になれるというユニークさから、多くの人たちが参加しようと列をつくり賑わいを見せていた。

 日本の文化とアートを通して、日本人や日系カナダ人だけではなく、コミュニティ全体が楽しめる祭りに成長しているパウエル祭。各種イベントを楽しむ多くの人たちで、両日とも日が暮れるまでお祭りの興奮は続いた。

(取材 福安 恵子)

 

鬼花太鼓の演奏(写真 中村みゆき)

 

メンソーレの演奏で踊りだす観客たち(写真 中村みゆき)

 

VAJC Dance による元気なダンス

 

熱唱したさくらシンガーズ(Photo by Patrick Li)

 

浴衣と甚平がキマってます

 

浴衣姿の愛らしい子供たち

 

スコーミッシュ・ファースト・ネーション代表のビル・ウィリアムズ氏(右)による祝福の儀式

 

岡井朝子在バンクーバー日本国総領事

 

バンクーバー・マウント・プレザント地区MLAのメラニー・マーク氏

 

バンクーバー九条の会の落合栄一郎氏(左)とバンクーバー市議会議員ティム・スティーブンソン氏(右)

 

建築家の本間志のぶ氏

 

パウエル祭会長エドワード・タカヤナギ氏

 

カナダ議会議員及びLGBTQ2問題におけるトルドー首相の特別顧問のランディ・ボイスナルト氏

 

スパムむすび

 

サーモンBBQ 定食

 

沖縄からやって来た獅子舞(写真 中村みゆき)

 

日系文化センター・博物館のブースで。理事長の五明明子さん(左)(写真 中村みゆき)

 

カヨ・クルツトリオの演奏(写真 中村みゆき)

 

隣組の着物販売ブース(写真 中村みゆき)

 

書道家の姫洲さんによる大筆の書道デモンストレーション

 

女性の担ぎ手による「お神輿」も登場で華やかに

 

バンクーバー沖縄太鼓(写真 中村みゆき)

 

語り太鼓の演奏(写真 中村みゆき)

 

香取神道流剣術(写真 中村みゆき)

 

バンクーバー居合道

 

少林寺拳法のデモンストレーション(写真 中村みゆき)

 

カナダ合気道 祥平塾のデモンストレーション

 

子供たちによる綱引き

 

これが「マクロ巻き」。面白いお寿司たちに大人も子供も興味津々

 

今年も相撲大会で圧勝した松本さん(左)(写真 中村みゆき)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。