4月9日、10日の2日間にわたって、バンデューセン植物園で恒例のSakura Days Japan Fair(SDJF)が開催された。両日合わせて、約一万人もの入場者が訪れ、日本の文化、芸能、食べ物を楽しんだ。

 

ゲストスピーカーによる鏡割り。(左から)バンクーバー・パーク・ボード委員のキャサリン・エバンズさん、在バンクーバー日本国総領事代理の内田晃首席領事、VCBFエグゼクティブディレクターのリンダ・プールさん、ジャパンフェア実行委員長の塚本隆志さん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

多くの人が楽しみにするイベントへ

 午前10時の開場に合わせて、バンデューセン植物園に続々と人が集まってきた。ことしで7回目を迎えるSDJFは、日系コミュニティ最大級のイベントだ。これは、ジャパンフェア実行委員会(JFAV)とVancouver Cherry Blossom Festival(VCBF)の共催で行われており、バンクーバー各所で桜を楽しむ企画を運営するVCBFの中でもメインイベントの一つといえるだろう。

 9日午後12時からオープニングセレモニーが行われた。司会は大和奈緒美さんが務め、VCBFエグゼクティブディレクターのリンダ・プールさん、バンクーバー・パーク・ボード委員のキャサリン・エバンズさん、在バンクーバー日本国総領事代理の内田晃首席領事、ジャパンフェア実行委員長の塚本隆志さんが挨拶に立った。続いてゲストスピーカーによる鏡割りが行われた。

 ことしのジャパンフェアについて、内田首席領事と塚本さんに話を聞いた。「日本人だけでなく他の人種的バックグラウンドを持つ方々に、日本の文化などへの親しみを持ってもらえるのが、このイベントの目的だと思います。今回、バンクーバー・パーク・ボードにも多大な協力をいただいており、認知度が高まっているのを感じます。これからも恒例の祭りとしてみなさんが楽しめるものであってほしいです」(内田首席領事)

「ことしは和太鼓、津軽三味線、奄美の島唄の方に出演していただきます。昨年から始めた『和の音楽』を紹介する企画は、これからも続けていきたいです。また、和太鼓と先住民のアーティストたちとのコラボ、書道と和楽器のコラボなど、多文化が共生するバンクーバーならではの取り組みを私たちも目指したいと思っています」(塚本さん)

 

多彩なラインナップのパフォーマンス

 桜並木の近くに設置されたチェリーステージでは、終日パフォーマンスが行われた。武道のデモンストレーション、コーラス、日本舞踊、巫女神楽、書道と和楽器のコラボ、詩吟、沖縄太鼓など、多彩な内容で見る人を楽しませた。特に注目は2つのコラボレーションだ。テツ太鼓とツォカム・アボリジナル・グループによる、和太鼓と先住民の太鼓と歌のコラボは、昨年バンクーバーと横浜市の姉妹都市提携50周年の記念レセプションで演奏したのが始まり。異なる文化的バックグラウンドの音の融合は多文化共生都市バンクーバーを象徴するようだ。もう一つは、日本から参加したTsumugu プロジェクト。和太鼓の金刺敬大さん、奄美の島唄を歌う里アンナさん、津軽三味線のはなわちえさんという、それぞれ別々にプロとして活躍している3人が、今回のカナダツアーのために結成したグループだ。どちらのパフォーマンスにも、観客から熱い声援が送られステージも大いに盛り上がった。

 

たくさんの笑顔の花が咲いた会場

 ビジターセンター内では、バンクーバー生け花協会による生け花の展示や、20以上のベンダーや団体が出すテーブルが並んだ。また、芝生の広場には、たこ焼き、焼き鳥、ラーメン、ハンバーガーなど12のフードベンダーが出店。どこにも長い行列ができ、イベント終了時間よりも早く売り切れになってしまった店も出ていたようだ。

 毎年人気の裏千家淡交会による茶道のデモンストレーションは、日に5回行われた。無料のチケットを求める長い列ができており、関心の高さがうかがわれる。その隣の部屋では、酒テイスティングが開催されていた。アクシスプランニング、CMC酒+ワイン・マーチャンツ、アーティサン・サケ・メーカーが提供する日本酒とワインの試飲ができるとあって、こちらにもたくさんの人が訪れていた。

 ビジターセンター屋外では建友会による木工作品の製作デモンストレーションが行われた。そこで製作された木製の時計などがサイレントオークションにかけられた。同時に、風車を作るワークショップも行っており、子供たちだけでなく大人も興味津々で取り組んでいた。また、北の家Guuによるクッキングクラスも大盛況だった。9日は味噌について解説し、みそ汁などの作り方を説明。味噌汁や味噌チーズの試食もあって参加者を喜ばせていた。コスモスセミナーが開催する浴衣の着付けコーナーは、毎年大人気で順番待ちの列ができる。華やかな柄の浴衣を着た参加者は、園内をそぞろ歩いたり桜の花をバックに写真を撮って楽しんでいた。

 園内の桜は遅咲きのものをわずかに残してほぼ終わってしまっていたが、チューリップなど見どころを迎えた花々を楽しむことができた。会場内の芝生の上に敷物を敷いてピクニック気分を楽しむ姿も多数見られ、だれもが春の日差しを楽しんでいる様子だった。

(取材 大島 多紀子)

 

糸東流空手道正晃会による、迫力あふれる空手デモンストレーション

 

さくらシンガーズのステージ(Photo by Patrick Li)

 

トモエアーツのパフォーマンス(Photo by Patrick Li)

 

オープニングセレモニーで挨拶をする、在バンクーバー日本国総領事代理・内田晃首席領事(Photo by Miyuki Nakamura)

 

内田晃首席領事(左)とジャパンフェア実行委員長の塚本隆志さん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

Tsumuguプロジェクト、奄美の島唄のシンガー、里 アンナさん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

Tsumuguプロジェクト、津軽三味線奏者の、はなわ ちえさん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

Tsumuguプロジェクト、和太鼓・篠笛奏者の金刺 敬太さん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

沖縄太鼓の勇壮で迫力ある踊りとリズムにひきこまれる(Photo by Miyuki Nakamura)

 

色鮮やかな沖縄の民族衣装を身にまとったバンクーバー沖縄太鼓のメンバー(Photo by Miyuki Nakamura)

 

着物姿の女性が会場に花を添える(Photo by Miyuki Nakamura)

 

AKB48のバンクーバー版VAN48のステージ(Photo by Miyuki Nakamura)

 

AKB48のバンクーバー版VAN48のステージ(Photo by Miyuki Nakamura)

 

尺八と事の演奏に合わせて書をしたためたエツコ・エッセンス・イノウエさん(Photo by Miyuki Nakamura)

 

エツコ・エッセンス・イノウエさん(右)。書き上げた書は観客の希望者にプレゼントされた(Photo by Miyuki Nakamura)

 

フードベンダーはどこも大入り。暖かな日差しの中くつろぐ姿が

 

いつも人気があるたこ焼き(Photo by Miyuki Nakamura)

 

北の家Guuによるクッキングクラス。30人分の席はすぐにいっぱいに

 

平野弥生さんとホランふみこさんによる巫女神楽「浦安の舞」(Photo by Miyuki Nakamura)

 

平野弥生さんとホランふみこさんによる巫女神楽「浦安の舞」(Photo by Miyuki Nakamura)

 

アニメエボリューションによるコス・カフェではアニメのコスプレをした出演者が歌と踊りを披露(Photo by Miyuki Nakamura)

 

アニメエボリューションによるコス・カフェではアニメのコスプレをした出演者が歌と踊りを披露(Photo by Miyuki Nakamura)

 

テツ太鼓とツォカム・アボリジナル・グループによるコラボ演奏。伝統がまじりあう瞬間(Photo by Miyuki Nakamura)

 

テツ太鼓とツォカム・アボリジナル・グループによるコラボ演奏。伝統がまじりあう瞬間(Photo by Miyuki Nakamura)

 

テツ太鼓とツォカム・アボリジナル・グループによるコラボ演奏。伝統がまじりあう瞬間(Photo by Miyuki Nakamura)

 

音羽流のみなさんによる日本舞踊(Photo by Miyuki Nakamura)

 

ビジターセンター内に並んだベンダーにもたくさんの人が訪れていた

 

酒テイスティングの様子。試飲の他、日本酒の基礎知識や食べ物との合わせ方のトークタイムも

 

建友会による風車づくり体験コーナー。大人のほうが真剣に取り組んでしまいそう!

 

ひそかに人気の俳句ワークショップ。英語の俳句もなかなか奥深い

 

バンクーバー日系ガーデナーズ協会では日本式庭園を紹介

 

バンクーバー日系ガーデナーズ協会によるヨーヨーつりが子供たちに人気

 

コスモスセミナーによる浴衣着付け体験コーナーは大人気

 

多くの家族連れでにぎわったチルドレンズテント。カブト折り、あやとり、けん玉、折り紙などたくさんのアクティビティを用意

 

美しい歌声を披露するNAVコーラス

 

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読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。