Sakura Days ジャパンフェア

 

4月11日と12日、バンクーバーのバンデューセン植物園にて、恒例のSakura Daysジャパンフェアが開催された。雨が降ったり止んだりする日もあり、やや肌寒い気候の中ではあったが、約9000人が訪れて楽しい時を過ごした。

  

   

春のお祭りとしてお馴染み

 Sakura Daysジャパンフェアは、ジャパンフェア実行委員会(JFAV)とバンクーバー・チェリー・ブロッサム・フェスティバル(VCBF)との共催で、バンデューセン植物園の協力で開催された。11日の開会式には、VCBFの創始者でもあるディレクターのリンダ・プール氏、バンクーバー公園管理局理事長のジョン・クーパー氏、在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏、JFAVの実行委員長である塚本隆志氏がそれぞれ挨拶をした。続いての鏡割りでは、会場の人たちも「よいしょ!」と掛け声をかけて盛り上げていた。その後、楽一のみなさんによる獅子舞が披露された。

 

日本の文化を紹介する多彩なラインナップ

 入り口を入ってすぐのビジターセンターではバンクーバー生け花協会による生け花の展示とセミナー、裏千家淡交会による茶道のデモンストレーション、BC州日本酒協会による酒セミナーが行われた。建物内や外の遊歩道には、30近い企業や団体がブースを出し、さまざまな商品やサービスを提供、多くの人が訪れていた。今年初めて参加したという建友会のテントでは、木のテーブルの制作が行われていた。建友会の伊藤公久会長によると、「4点のテーブルを、なるべく日本の技能を使って作っています。このテーブルはサイレントオークションで販売し、売上金を今後の活動資金などとして役立てる予定です」とのこと。同時に、風車づくりのコーナーもあり、子どもだけでなく大人も夢中になって作っている様子が見られた。

 屋外に設置されたチェリーステージでは、尺八、太鼓、日本舞踊、コーラス、少林寺拳法、コスプレショーなど、両日ともパフォーマンスが目白押しだった。日本の静岡から参加したリトル・ステップ・ファクトリーは、3歳から18歳までが通うダンススクール。今回は小学生から高校生、約20人のグループが『Terakoya』という演目を披露した。指導にあたっている六条康司さんは、「この演目は寺子屋を題材としていて、勉強したり掃除をしたりする日本の学校の様子が描かれるほか、夏祭りの様子も盛り込まれています。セリフや歌はなく、ほぼダンスだけで構成されており激しい動きも多いです」と言う。将来的には芸能界へ進むお子さんも多いというだけに完成度も高く、観客の歓声を浴びていた。前日と前々日にはラングレー市の高校で同じ演目をおこない、学校見学や現地の高校生たちとカルタ遊びをするなどの交流も楽しんだという。

 また、北米ツアーの一環として日系センターでも公演を行った、津軽三味線奏者の山口晃司さんと、和太鼓奏者の笛木良彦さんは、伝統的な民謡だけでなく、山口さんのオリジナル曲も含む構成のパフォーマンスで会場を沸かせた。演奏後、山口さんに話を聞いた。演奏がロックのようですねという感想に対して、「自分自身、ロック少年で今でも好きなんです。伝統的な曲だけでなく、ロックやポップスといったみなさんに受け入れられやすいような曲作りをしたいと思っています」と答えた。笛木さんの太鼓も、シンバルを入れたりと、まるでドラムの演奏のようだった。「ロック、ファンク、バラードなどさまざまな要素を取り入れていこうと思っていますが、基本的にロックが好きなので、笛木さんがそれに合わせてそういう感じで演奏してくれるんですよ」と山口さん。和の楽器の演奏という枠を超えた若い演奏家たちに新しい可能性を感じる公演だった。

 

さまざまな体験コーナーを楽しむ

 エクスペリエンスジャパンのコーナーでは、尺八のワークショップ、書道体験、けん玉のデモンストレーションなどが行われた。また、チルドレンズテントでは、折り紙や凧を作る体験ができ、家族連れでにぎわっていた。コスモスセミナー主催のゆかた着付け体験コーナーは大人気で、2時間近い待ち時間になっている時も。ゆかたを着て庭園をバックに写真を撮るなど、参加者は思い思いに楽しんでいる様子だった。毎年大人気のフードセクションでは、たこ焼き、ラーメン、おでん、お好み焼き、クレープなど17のベンダーが出店。行列ができるところも多く、大盛況だった。

 今年は桜の開花が早く、園内の桜もほとんどが散ってしまった後だったが、イベント内容の多彩さがそれを十分に補っていた。200人を超えるボランティアに支えられたジャパンフェアは、今年も楽しい思い出をたくさん残して幕を閉じた。

 

リトル・ステップ・ファクトリーのパフォーマンス

 

リトル・ステップ・ファクトリーのパフォーマンス

 

音羽流日本舞踊

 

開会式での鏡割り。左から、在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏、VCBFディレクターのリンダ・プール氏、バンクーバー公園管理局理事長のジョン・クーパー氏、ジャパンフェア実行委員長の塚本隆志氏

 

裏千家淡交会による茶道のデモストレーション

 

獅子舞い

 

フードベンダーはどこも大盛況

 

やっぱり人気のあったたこ焼き

 

日系ガーデナーズ協会による日本のおもちゃ売り場

 

けん玉のデモンストレーション。右端の人は日本のけん玉大会で優勝した実力の持ち主とか

 

子どもテントで

 

建友会主催の風車づくり。羽の部分は木を薄くしたものに紙を貼ってあるのだそう

 

日系ガーデナーズ協会による日本のおもちゃ売り場。ヨーヨー釣りは子どもたちに大人気。同協会による日本庭園の展示も

 

コスプレコンテストの出場者たち

 

コスプレで優勝したモンスター

 

リトル・ステップ・ファクトリーのみなさんのパフォーマンスは大絶賛

 

和太鼓の笛木良彦さん(左)と津軽三味線の山口晃司さん。終始楽しそうに演奏していたのも印象的

 

BC州日本酒協会による酒セミナーでは、日本酒の基礎知識や食事とのペアリングのアイディアなどを紹介

 

様々なベンダーが出店したホール内もたくさんの人で

 

コスモスセミナー主催のゆかた着付け体験コーナー。コスモスセミナー代表の大河内南穂子さん(中央)とボランティアの方々

 

 

(取材 大島多紀子 写真撮影 中村みゆき) 


 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。