気楽に歌える集まり!歌声喫茶10周年記念パーティーが開催!

43年前にカナダへ移住したいのこしひろみ(猪腰洋三)さん。仲間の皆さんと共に「気楽に歌える集まり」を求め、2001年6月に活動を開始してから今年で10周年を迎えた歌声喫茶。活動のきっかけ、活動内容、そして10周年記念パーティの様子を聞いた。

児玉克子さん、前田多枝さん、アルバート勝子さんと共に始めた歌声喫茶は今年で10周年。当時の日本では、ハーモニカ、アコーディオン、オルガンやピアノに合わせ、みんなで歌を楽しむ歌声喫茶が流行していたという。今やカラオケが登場し、1人で歌うのが普通となったが、歌声喫茶の良さは個人ではなくみんなで一緒に歌うことにある。「年を重ねて余裕が出てきたので、何か趣味を作って楽しもうと思って」と話すいのこしさんは、「1人で歌うほど上手じゃない、みんなで歌えば運動にもなるし仲間も増えます。歌にまつわる話から昔話へとつながるので、若い頃に沁み付いた歌を波長の合う同世代と共に歌いたかった」と続け、歌声喫茶誕生のきっかけを話す。


50歳以上の約26人のメンバーから成る歌声喫茶は、月1で年10回(1・8月はお休み)の集まり。3月なら「春よこい」など、その月を考慮したシーズンものの曲、メンバーからの希望などから歌が決められる。毎回の集まりは、「カナダの国家:O’ Canada」で始まり、「今日の日はサヨウナラ」で終わると言う。毎月プログラムが発行され、2時から4時半の2時間半の間に、なんと28曲も歌いこなす歌声喫茶。「1曲1曲、しっかりと歌うので終わる頃は喉が痛くなりますね」と笑ういのこしさんは、「ビートルズなど英語の歌もありますよ」と付け加えた。


昔を振り返るいのこしさんは、1999年に「サヨナラ1999バンクーバー」をマイケル・J・フォックスシアターで開催。20人の歌手、ピアノ、ハープ、フルート、ダンス、フラメンコ、無言劇、エアロビクスなどのパフォーマンス満載の楽しいイベントは、満員で大成功に終わった。また、5年前にも同シアターで、シアトルから大城清子さん、ロサンゼルスから加賀美ケンさんを招待し、紅白歌合戦を思わせる「歌の祭典 2006」を開催。バラエティーに富んだ歌謡ステージが、華々しく繰り広げられたのはまだ記憶に新しい。また、10周年を迎えた6月・7月の集まりでは、派手ではなく、とにかく楽しむことを趣旨にした「10周年記念パーティー」を開催。38人が参加した6月に行われた記念パーティーでは、元バンクーバー交響楽団のバイオリニスト、松本昌子さんを招待。松本さんの奏でる素敵な音色に聞き入るメンバーの中から、リクエストの出た石川さゆりの「津軽海峡冬景色」なども演奏され大盛況。また、7月の記念パーティーでは、「秋田谷リックの語りと迷歌手によるステージ」をテーマに、底抜けに楽しいパーティーに。ポットラックで皆がさまざまな食べ物を持ち寄る中、メンバーの1人である高井孝子さんが大きなケーキを持参し、皆でケーキカットをしてのお祝いとなった。


「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉がある。まさに歌はその時代を反映し、歌を聞くとその頃の思い出が鮮明に蘇り、その時代を再現してくれるものだ。時代の流れと共に歌も変化していき、そのとき、そのときで、好きになる歌も変わっていく。しかし、不思議なもので昔大好きだった歌はいつまでたっても心の中で生き続ける。いのこしさんの思い出の曲は数え切れず、「無縁坂」、「北国の春」、「思い出のサンフランシスコ」、「青い山脈」など次から次へと浮かんでくる。「今後の目標は、とにかくずっと歌声喫茶を続けること。家にじっとしているよりも、みんなで集まって歌うと本当に楽しく、何よりも健康的」と話し、「高齢化社会の今では、男性のメンバーも少しずつ増えてきました。もっと男性の方にも来て欲しいです。音楽を通して輪を広げ、まさに手作りの会ですよ」と締めくくるいのこしさんの目は輝いており、歌声喫茶がいかに楽しい場であるかが伝わってきた。集まりに興味のある方は、聞きに行くだけでも可能なので、下記まで連絡を。9月には100回記念を控えている歌声喫茶に、ぜひ顔を出されてはいかがだろうか。

(取材 門利容子)

歌声喫茶
問い合わせ先:604-435-3404
(いのこしさんまで)

 

2011年7月21日 第30号 掲載

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