バンクーバー・スクール・ボードでグラフィックを受講してみたところ、とても楽しく、本格的にフルタイムでグラフィック、コンピューター3D、スペシャルエフェクトの勉強を始めた綾さん。そして、イタリアに歴史やファインアートを学びに行き、ギリシャではスタジオでひたすら絵を描いていたと言う。イタリア、ギリシャで学んだ後、バンクーバーに戻りグラフィックデザイナーとして活躍するようになった綾さんは、現在、グラフィックデザイナーの仕事をこなしながら、30 Days Projectの展示会を開催中。

 

 

30 Days Projectとは?

「学校に通っていた頃は、毎日、絵を描いていたのですが、仕事が始まると何も描かなくなりました。感受性を保つためにも、自分の限界を試してみるためにも、とにかく30日間、絵を描き続けようと思い7年前から始め、達成感、充実感、開放感から止められなくなりました。日々、仕事に追われ忙しくても、何かしたいことは出来るんだと言うことが実証できました。一日において自分の時間の使い方を振り返ることが出来るプロジェクトです。30日間、毎日、何か一作品仕上げるこのプロジェクトには、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、スウェーデンなど世界中からの参加もあり、一日、一曲作曲する方、エッセイを書く方、詩を書く方、ビデオゲームの解説をする方などがいます。ぜひ、皆さんもこのプロジェクトに参加して下さい」と話す綾さんの今年のテーマはインクを使い、墨絵っぽく。

 

久しぶりの紙とインク

「去年が詳細にこだわる作品でしたので、今年はとにかく細かくなく、大きく描きました。紙にインクを置いたらどうなるのか?久しぶりの紙とインク、水の偶然をとても楽しみました。偶然から生まれるライン、シェイプ、ドロップ。気に入ったところをプッシュしていき、ラインがなりたい形になり自然な作品が仕上がりました」と目を輝かせながら話す綾さんの作品は、オリジナルもコピーも購入可能だ。

 

 

創作活動において大切なこと

「インスピレーション。人工的、オーガニック的、些細なこと、身の回りにある何気ないものやどんなことからも、先入観なく自分に取り入れていくことが大切だと思います。仕事上、デジタルばかりなので、手を使い紙と鉛筆で描く感覚を忘れないようにしたいです。コンピューターを使いすぎると麻痺するので、初心の気持ちを忘れずに頑張って行きたいですね」と話す綾さんは、バンクーバーの街と人が心地良いので、今後もバンクーバーを拠点に活動していくとのこと。どんなに忙しくても、今ある環境の中でベストを尽くす綾さんに秘められた情熱が、常に自分への挑戦に駆り立てている。

(取材 門利容子)

 

2011年10月6日 第41号 掲載

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