表現アーツセラピーセラピスト

加藤夕貴さん

 

Life As Expressive Artsと題したウェブサイトで情報も発信中の夕貴さん

 

人生に現れる課題は大事なメッセージ
自分を解き放ち、気付きを促す

「自分の心と体が感じていることを、全身で、どんどん大きく表現してみましょう」夕貴さんが促すままに体を動かした後は、感じたもの、感じたいものを絵の具やペンで自由に描いてみる。約20人が参加したメトロタウンでの表現アーツワークショップ。ここで自分の中の何かが変化したのを感じた。ワークショップ後、加藤夕貴さんに話を聞いた。

 

―夕貴さんの表現アーツワークショップは、自然な行為の連続なのですが、終わった後に爽快感がありました。

 人って自分の心を何らかの形で表現するだけで気持ちがすっきりしますよね。

 

―アート表現の中で、自分の感じたままに表現することにはどんな意味があるんですか?

  日頃自分の感じたままに行動するのは、案外勇気がいるものです。いろんな失敗を経験すると誰でも自信がなくなりますから。けれど、失敗という概念のないアート表現の枠の中ではリスクを取りやすく、さまざまな試みができることで、自分の制限を広げやすくなる。それをちょっとずつ練習するだけで、自分も目の前の状況も変わっていくんですね。

 

―何か具体的な事例を聞かせてくれますか?

 わたしが小学校のカウンセラーとして、遊びを通じたセラピーをした際の話を紹介しますね。クラスに友達ができないということで、学校から依頼がありました。その少年はブロックを1個積み上げるときでも、たくさんのピースを使って周りを支えるんです。とても評価を気にしていて、リスクを取ることが怖いんですね。そこで私から「支えのピースが少なくても立つかもしれないよ」と促したり、「倒れてしまっても大丈夫だよ」と伝えながら試して行き、何度もそうした経験を積むうちに、彼自身が進んでリスクを取っていけるようになりました。

 

―自信がついてきたわけですね。ワークショップの話に戻ると、参加者から互いの作品への感想のシェアがよかったという声が聞かれました。

 そうなんです。先日のワークショップでは言葉で感想を伝え合いましたが、他の方の作品から感じたことを、さらに絵に描いたりと、作品にしてフィードバックするという方法もあって、これが心に染みるんですよ。

 

―自分の作品を見て感じとったことを、作品にしてくれるなんて感激でしょうね!受け止めてほしいという欲求は誰にでもありますもんね。

 言われる通り、一人ひとりの表層にある問題が何であれ、コアでは、受け入れてもらいたい、愛がほしい、つながりたいなどは、誰しもが持つ自然な欲求です。そしてアートを通じて、人からしっかり受け止められる体験を重ねることも自信につながりますね。

 

―ワークショップ形式にするのは、そうした意義もあるんですね。

 自分がその時に感じる事を、その場で(即興)で表現するというのは、直感につながる時間でもありますし、自分を知る機会でもあります。どんな問題の答えも、その人の中にあるものです。自分の中の叡智とつながって、その答えを見いだすことをアートによる表現活動は手助けしてくれますね。

 

―夕貴さんは、紙や粘土を使ったアートワークやダンス、またムーブメントを通じたワークショップを開催していますが、子育てのワークショップも行っているそうですね。夕貴さんのワーク全般で目指していることはどんなことですか?

 生きていくことって、幸せになって「はい、終わり」でなく、その時々にやってくる課題がありますから、問題が生じたときに、そこから何が学べるか?という悩む力をつけ、より自分に合うものを選択する力、人生を創造(クリエイト)する力をつける事がセラピーだと思っています。

 

加藤夕貴(かとう・ゆうき)さん

BC州認定臨床心理士、表現アーツセラピスト。米国の高校・大学に進学し、日本で就職後、さらに米国で心理学の修士課程に進み、2007年夫の拠点であるカナダへ。個人や家族に向けた表現アーツ、心理療法・カウンセリングの対面セッションほか、表現アーツを使ったワークショップや子育てにフォーカスした親子のプレイセッションも実施。UBCに交換留学中の立命館大学学生に向けたワークショップ、カウンセリングにも当たっている。

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(取材 平野香利)

 

スキルも経験も不要。作品の質ではなく、表現するプロセス、自分から出てくるイメージとの対話に意味がある

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