2019年10月17日 第42号

10月6日、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市にあるGoodLife Fitness Family Autism Hub(以下Hub)で、自閉症の人々をサポートする団体Autism Speaks Canada(ASC)がチャリティーウォークを開催した。フレーザー川のほとり、3〜5キロほどの距離を、家族や友人らと参加した人たちが思い思いのペースで歩いていた。このイベントに寄せられた寄付金は、自閉症の研究や啓もう活動、自閉症の人々へのサービス提供に使われるとのことだ。

 

Hubの広大な建物内はサポートグループなどが活動拠点としている

 

子どもの作品展示コーナーも

 Hubの建物はPacific Autism Family Network(PAFN)がGoodLife Fitnessの協力により、バンクーバー国際空港やBCIT航空学専門のキャンパスに近い場所に、2016年にオープンした。自閉症サポートグループやクリニックなどが、このセンターを活動拠点としている。

 チャリティーウォーク当日、このHub内で自閉症の子どものアート作品の展示がおこなわれた。その中でも目立っていたのは、14歳の庄司暉平さんがデザインしたTシャツだ。暉平さんは4歳半のときに自閉症と診断され、現在は高校に通う10年生。昨年に続き今年も、PAFNのスタッフから依頼されて出品したという。

 並べられた4枚のTシャツには、ローリングストーンズ、クイーン、レッドツェッペリンの曲や、イギリスのストリートアーティスト、バンクシーから構想を得た作品が描かれている。水彩画のような味わいは、色鉛筆で塗った後に筆で水をつけて作り上げているのだそうだ。最近は絵だけでなく写真を撮ったり、ギターを弾くことを始めたという。「写真はストリートフォトグラフといって、歩いている人や車を撮ったりします。ギターは、いまはビートルズなどの曲のコードを習ったり。どちらも始めたばかりで、まだまだ上手にできないですけど」と暉平さん。これからもこうした芸術活動を続けていきたいと考えている。今回展示されたTシャツはデザイン部分を多少改良したうえで、Hub内のギャラリーで販売される予定だそうだ。母親の千佳さんは、作品展を見に来る人たちがそれほど多くないのが残念だと話す。「もっと多くの自閉症の子どもが参加してほしい」と言う。展示される作品数、そして見に来る人も増えれば、自閉症に対する理解や認識ももっと高まっていくかもしれない。

 

楽しく参加して認知度向上へ

 チャリティーウォークではHubの駐車スペースに、自閉症サポートグループなどの団体がテントを設けて資料を配布したり、子ども向けのクラフトテント、ホットドッグやコーヒーなどスナックの無料配布テントが出ており、たくさんの人で賑わっていた。中央のステージでは、自閉症の子どもたちのタレントショーの他、ロックバンドの演奏などで盛り上がった。また、バットモービルに乗ったバットマンも会場に来ており、一緒に写真撮影をする人が途切れなく訪れて大人気だった。

 ASCといったサポート団体やHubのようなセンターでは自閉症の人たちやその家族に、さまざまな支援や情報提供をおこなっている。関心のある人はそれぞれのウェブサイトを参照してほしい。

 

Autism Speaks Canada
www.autismspeaks.ca

Pacific Autism Family Network
pacificautismfamily.com

(取材 大島多紀子)

 

川べりの景色を楽しみながら歩く人たち

 

庄司暉平さん。手にしている原画の上の方の絵がプリントされたTシャツも展示された

 

バンド演奏を楽しむ人たち

 

バットマンとバットモービルは大人気

 

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