2019年5月9日 第19号

隣組シニアライフセミナーは2008年にスタートし、2014年からは月1回のペースで実施されてきた。同セミナーの目的は、「人生の最終章をもっと積極的に楽しみ、幸せをつかみ取りましょう! 隣組スタッフもそのお手伝いをします」…というもの。各セミナーのタイトルの最近のものをピックアップしてみると、『心を健康に保つ方法』、『シニアの安全な財産管理法』、『健康に生きるための食の楽しみ方』、『サービスカナダ、政府による補助金』といった実用的なテーマや、『いざというときのための準備』、『遺品整理、生前整理について』といった“終活”をテーマにしたものなど、それぞれの専門家を招きセミナーを開催。さらに、『いきいきシニアライフ〜充実の秘訣〜』では、“おしゃれをしよう”、“恋をしよう”、そのスパイスが人生の最終章に大きな役割を果たすことが知られている…手軽で具体的な方法としてSNSなどのITを使う「オンラインデート」で老若男女の区別なく交際のネットワークを広げようという提案のセミナーも行った。こうしたこれまでタブーとされてきたことであっても積極人生のためにテーマに取り上げチャレンジした。

そして、今回のシニアライフセミナーに選んだテーマが『大麻のチカラ』であった。(メディアスポンサー:バンクーバー新報)

 

講師の佐藤厚さん

 

これだけは知っておきたい薬の話 『大麻のチカラ』

 4月26日、日本とカナダの薬剤師免許を持ち、また本紙コラム「お薬の時間ですよ」でおなじみの佐藤厚さんが、これだけは知っておきたい薬の話『大麻のチカラ』と題して講演した。

 アメリカのカリフォルニア州では1996年以降、またカナダでは2001年から医療用大麻が合法化されていたが、最近では世界的に医療用大麻の解禁の波が押し寄せている。

 そして、2018年10月17日、カナダで嗜好用大麻も解禁された。これはウルグアイに続き世界で2番目、また、先進国では初めてのことで、世界の注目を集めている。大麻の所持や吸引は日本ではれっきとした犯罪であるのに対し、北米では、「若者のサブカルチャー」のような位置づけで使用が蔓延してきた。しかし、今のアメリカでは大麻の鎮静効果からシニア世代でも使用者が増えているという。

 日本人にとっては大麻は、ほとんどの人がまったく無縁のものでなじみがない。そもそも大麻とは、どういうものなのか?医療用と嗜好用の違いは? 大麻と薬の相互作用、旅行時の注意点などについて、佐藤さんがていねいに解説した。

 隣組のスタッフは、日頃接するシニア世代のひとたちが「体の痛みや、気分のすぐれなさを我慢している」と、よく見聞きすることが多い。そこで、「もっと手軽に取り除き、そして余生をもっと楽しんでいただけるお手伝いをできないものか」という思いから大麻に着眼し、薬剤師の佐藤先生に相談したところ、快諾を得て今回のセミナーが実現した。参加者の大麻への関心は予想以上に高く、セミナー終了後の質問時間には、個別の悩みを交えた相談に列をなしていた。そのセミナーの内容は、本紙で連載されている『お薬の時間ですよ』(掲載予定日は、5月16日号以降)に掲載予定なので、ご期待いただきたい。  

 

●講師プロフィール 佐藤厚(さとうあつし)
・新潟県出身
・薬剤師(日本・カナダ)
・渡航医学の国際認定(CTH)
・認定糖尿病指導士(CDE)
・認定禁煙指導士(CTE) 

(取材 笹川守)

 

講演に聞き入る参加者

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。