2019年1月17日 第3号

佐藤会、新年恒例の稽古始めが、1月12日バンクーバー・イングリッシュベイで行われた。冬の海中に入り鍛錬することは、年に一度、心身を清めるような感覚。「ここから、新年が始まる」とは、参加者共通の思いのようだ。今年は、好天に恵まれ例年にはない暖かさ。散歩、ウォーキング、サイクリングの人も多く、多数の観客も集まった。43人の稽古参加者も陽気と観覧の人々の目に押され盛り上がっていた。

今年は、佐藤派糸東流空手道国際連合の『道場訓』も新たに定められ、例年以上に気合が入ったようだ。また、佐藤会は、国際化がますます進んでいて、その一端を見てみたい。

 

全員の体から熱気の湯気が立つ

 

佐藤派糸東流空手道国際連合の『道場訓』完成
その真に目指すものは、精神の鍛錬
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一、礼儀を重んじる事
一、正しい精神を持って正拳とする事
一、節度ある言動、行為を心がける事
一、お互いに信じ合い、協調し合う事
一、努力と忍耐の精神を養う事
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 通常、道場訓は、道場主の独断で上意下達に設定されている場合が多いものだが、佐藤会の場合は違っていた。いったん、佐藤代表が、新しい時代に、そして世界に通用する道場訓の概念を示し、これに、さまざまな文化背景を持つ門下生たちから意見を求め集約する方法をとった。

 佐藤代表は、今回、道場訓を策定するに当たり、自らの人生、空手人生を振り返って見て、先輩のさまざまな言葉や教えを思いおこしながら、「節目の都度、彼らが幾多の示唆を与えてくれたか」を改めて思ったという。そして同時に世界各地をめぐるうち、日本の文化、精神性が、数多くの異なる文化のなかにも素直に迎え、受け入れられるかを知った。ともに語り合い、体と体をぶっつけ合い、共に汗を流せば『心も浸透し合うものだ』ということを知った。道場訓も『ルール』ではなく、みんなが人間として高め合う、尊厳を認め合う、そんな『目標』を定めよう、ということで着手したという。さらに、これは、硬直した不変のものではなく、文化背景や価値感に相応する柔軟さもあわせ持つ。したがって、英訳されたものが24カ国に配布され、さらに、自国語に翻訳される。その過程で、理解されやすいようにさらに熟考が重ねられていく。

 

世界25国に根を張る佐藤会の心

 例年継続されている「佐藤カップ」は、今年20回目を迎える一方、新たな歩みも始まった。今年2019年8月24日には、インド洋に浮かぶスリランカで、「佐藤カップ」が開催される。カナダ、日本、インド、ヨーロッパなどからの参加が見込まれている。今後、カナダでの恒例の大会は、もちろん行われるが、2年に一度は、他国での大会も予定されている。ちなみに次回2021年には、日本の徳島で開催の予定という。

(取材 笹川守)

 

準備体操の一環に相撲を、 全員賑やかに楽しんだ

 

気合を込めて型の練習

 

佐藤代表を先頭に、いざ海へ

 

(左)ワーキングホリデーで来ている二本木信一君も参加 (右)UBC空手クラブ・インストラクターのリンダさん

 

 

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