2018年11月22日 第47号

ウィスラーの秋の風物詩、「牡蠣の早あけ世界大会」。今年もコーノコピア(ワインと食の祭典)最終日の締めを飾るメインイベントとして、ベアフットビストロ(リステルホスピタリティグループ)主催により、11月18日ウィスラーカンファレンスセンターにて開催された。

バンクーバー島の北にあるリードアイランドのソーミルベイ社からこの日の朝に届けられたばかりの新鮮な牡蠣を一番の目当てに、850名を超す人々が続々と集った。

 

競技中の会場

 

 DJによる音楽が会場を盛り上げ、同時に開催されていたブラッディーシーザー・バトルのカクテル、BC州産ワインとともに、今年は日本酒が初登場し、話題の的となっていた。人々は目の前で次々と開けられていく新鮮でおいしい牡蠣とベアフットビストロによる創作料理を堪能し、コーノコピアのクライマックスにふさわしい豪華で盛大なイベントとなった。

 今大会には、日本、デンマーク、アイルランド、アメリカ、そしてカナダ国内はモントリオール、トロント、ニューブランズウィック、バンクーバーより選ばれた総勢19名のシャッカー(牡蠣あけ師)が華麗な技と速さを競い合った。日本からは2017年の「日本牡蠣早むき選手権」を制し、今年9月のアイルランドの「ゴールウェイ国際オイスターフェスティバル 牡蠣早あけ大会」で大健闘をした、日本チャンピオンの栗原奏成さんが初出場した。

 「今回、夢の一つであったベアフットビストロ主催の大会への出場を叶えることができて大変うれしい」と語る栗原さんと牡蠣早あけ大会との出会いは、北海道厚岸町と漁師の皆さんをPRしたいとの思いから始まった。厚岸とはアイヌ語で「牡蠣の採れるところ」との説があり、日本で唯一、一年中牡蠣が味わえる。海水の温度が低く、牡蠣がじっくり成長するため、栄養を十分に取り込み、コクがあってうまみが凝縮した牡蠣に成長する。「BC州産の牡蠣も同様、大変うまみがあり、そのおいしさにすっかり魅せられた」と、栗原さんは目を輝かせた。アイルランドの大会にて、地元漁師の方から譲り受けた思いが詰まったナイフを手に、その雄姿を会場の人々の目に焼き付けた。

 大会は3種類、計30個の牡蠣を「速さ」だけではなく、「牡蠣の外観」「殻が混じっていないこと」「適度な海水が残っていること」「貝柱を殻から外して食べやすいこと」といった項目全てが審査される。審査員はチョッピーノレストランのピノ・ポステラロ氏、第5回大会の準優勝者、シアトルのテイラーシェルフィッシュ社のトム・ストックス氏、カナダのベストシェフにも選ばれたベアフットビストロの総料理長メリッサ・クレイグ氏が務め、速さとあでやかさ全ての審査項目を厳正に審査した。

 惜しくも決勝進出を逃した栗原さんは、「来年も日本代表として、アイルランドの大会を足掛かりに、今大会に再び出場できるようがんばりたい」と語った。

 1位の優勝賞金5,000ドルを獲得したのは、トロントのロドニーズ・オイスターハウスのクリス・モノキオさん。同時開催のバーテンダーたちが腕を競うブラッディーシーザー・バトルの優勝は、デビン・マッケガンさん(エリサ・ステーキハウス)に輝いた。

 例年を超える大盛況のうち、幕を閉じた第8回牡蠣の早あけ世界大会。今大会の収益金30,400ドルは、すべて「ウィスラー・ブラッコム財団」へ寄付され、シー・トゥー・スカイ・コリドー地域のメンタルヘルスをサポートする活動へと役立てられる。

 主催者であるリステルホスピタリティグループ副社長の上遠野和彦氏は、「今年8年目となる今大会。例年を上回る多くの方々に、世界に誇るBC州産の牡蠣とワインの魅力を発信でき大変うれしく思います。日本代表シャッカーもあこがれとする大会と伺い、世界的知名度も広がりつつあることを確信いたしました。今年は、初めて、日本酒“八海山”(新潟県)“天狗舞”(石川県)も協賛いただき、牡蠣と日本酒を楽しむ地元の人々の姿が印象的でした。やはり、日本由来の牡蠣と日本酒の相性は抜群です。今後も、食とワインを楽しむ食文化を通じて、多彩なウィスラーの魅力を発信していきたいと思います」と語った。

(記事提供 中條和可奈/写真 YUSHiiN)

 

健闘を称え合う栗原奏成さんと優勝したクリス・モノキオさん

 

収益金30,400ドルは全て 「ウィスラー・ブラッコム財団」へ寄付

 

審査員の3名

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。