真のバイリンガルの育成が着々と進んでいる。

「人の前で思ったこと、経験したことを発表できる、日本語で上手にお話ができる、12校の日本語教育振興会加盟校の交流、この3点を目的に『お話発表会』を開催します」と、JALTA日本語教育振興会、副会長の中本優子先生の開会の挨拶で始まった。
来賓代表として挨拶をした在バンクーバー日本国総領事伊藤秀樹氏から、「日本語の勉強は日本の文化を学ぶことにもなる、日ごろからご家庭や、例えば学校への送迎の車中でも日本語に親しむなど、ご父兄の方々のご支援がなにより大切です。毎年、この『お話発表会』に参加させていただいていますが、楽しく、興味深いお話が多いので、今年はどんなお話が発表されるのだろうとワクワクしています」との挨拶があった後、いよいよ小学科から発表がスタート。
壇上へ上がってからのお辞儀、スピーチの間の姿勢なども背筋が伸びて実に美しい。お話の内容は、創作童話あり、ペットや家族との交流、日本へ里帰りした時、おじいさん、おばあさんと過ごした思い出など“ほっこり”するような話。心に浮かぶ素直な思いを題材にして、きちんとした日本語で発表する姿に会場からは「かわいい!」との声が飛んでいた。
中高・初級科になると、題材が日本文化論になり、描写も比喩などを上手に使い高度化していた。現代の日本文化の代表ともいえる「アニメ」をモチーフに、日本語への意欲を触発されたことや、将来への夢につながったこと、また、「たこ焼き」が焼きあがる時の削り節の動きを“ワルツ”や“ベートベンの第九”にたとえるなど、レトリックの豊かさには感心しきりであった。日本の歴史や文化についても正しい日本語で、堂々と自分の言葉で述べる姿は頼もしくさえ思える。

 

思いを伝える正しい言葉は子供たちにとって大切な資産。

総評をしたJALTA日本語教育振興会会長の江川元明先生は、正しい言葉で表現することの大切さをわかりやすく解説した。「人は生まれて最初に憶えるのが、“感情語”。そして家庭や社会、学校で言語訓練をして進歩していきます。この時、いかに論理的に、つまり、順序だったわかりやすい言葉で表現できるように訓練することが、家庭でも社会でもコミュニケーションをより深めることになります。その意味でも今日、発表した全員が一等賞です」と、日本語教育振興会会長としてもご満悦の様子。会場の父兄たちも子供たちの成長ぶりを確信したのではないだろうか。
いま、日本では英語教育の早期スタートが議論され、さまざまな取り組みがされているが成果を挙げにくいのが現実のようだ。一方、ここカナダで成長する子供たちにとって、英語は自然と身につくのはいうまでもないが、日本語もきちんと学び、身につければ、最強のバイリンガル育成となり、グローバル社会での活躍の期待を担うことになるだろう。
最後に、劇団“座だいこん”による「ヤダ君」の小劇、また、ブライアン氏による弓道の模範演技で武士道に通じる礼儀作法、精神統一の流れを示し、“お話発表会”に花を添えた。
(取材 笹川 守)

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