リンダさんはいつから日本でしたか?
7月1日のカナダデーに被災地にキルトを届けたいと考え、6月6日にカナダを出発して7日に到着しました。私は東北には知人がいませんでしたので、受け入れ先を探すのに苦労しました。被災地では復興がプライオリティです。行方不明者の捜索もまだまだ続いていましたし、“エキストラ”を行う余裕はありませんでした。
最初に宮城県名取市の閖上中学校に届けることが決まり、7月1日のカナダデーに子どもたちが、カナダのキルトへの返事として、カナダの子どもたちへのメッセージを描いてくれました。その布は、私の祖母の故郷、広島県尾道市の人々から送られました。また、被災地には絵の具やマーカーなどもありませんでしたから、カナダのスポンサーが送ってくれました。
名取市に届けることが決まるまで苦労しましたが、その後は、「次はこちらに届けて欲しい」と次々に連絡が入り、女川町をはじめ、被災地を次々に訪れることになりました。
昨年10月13日〜 12月13日までは東京のカナダ大使館で展示されていました。
大使館でも、キルトプロジェクトに賛同して、とても好意的に受け取ってくださっています。カナダ大使館の後は、広島県尾道市、1月4日から20日は名古屋、震災から1年の3月には、もう一度、東北に戻ります。そのほか、大阪、岐阜、神戸、鹿児島、広島と巡回展のコンファメーションが取れているほか、長崎、福岡、北海道などから問い合わせがきています。広島はピースディに合わせて展示を行う予定です。


その後、カナダで展示を行う予定はありますか?
カナダでも巡回展を行いたいので、今回の帰国中に活動します。大使館で好評をいただいていることもあり、オタワ、そしてトロントですね。私はロスのジャパニーズ・アメリカン・ミュージアムとも関係があるので、ロサンゼルスでも展示が実現しそうです。


バンクーバーは?
もちろんバンクーバーでも展示をしたいのですが、場所が問題です。キルトは巨大ですので、アートギャラリーのような大きな施設で、日系と限定せず、できるだけ多くの人に見ていただける場所が希望です。読者の皆さんでサポートいただけるようなら是非お願いします。


リンダさんは、被災地も訪れていますが、実際に目にしての印象について教えてください。
ショックでしたね。インターネットやテレビで被災地の様子を見ていましたが、それよりもっとひどい…報道されている以上の状況です。私は映画監督ということで、レスキューチームと一緒に、危険なため一般人の立ち入りを制限している場所にも入りましたが、魚や動物の死臭など、臭いも強烈でした。
沿岸地域、特に岩手県の状況はひどかったです。沿岸には小さい村や町が多数ありました。大きな市は海から少し離れている場合が多く、沿岸部の小さい村や町の被害のほうが甚大でした。でも、このような村や町では、村長や町長までも亡くなっていて、赤十字からの義援金の分配も十分に届いていない印象があります。


どのようにすれば、そういう小さなコミュニティに義援金なりを届けることができるでしょう?
インターネットで探してください。BC州の漁業コミュニティが8万ドルの義援金を集めて、被災した小さな二つの漁村に届けたと聞いています。この二つの村では漁船をはじめ、漁業を営むための、ほとんどのものを失くしてしまいましたので、漁船やクーラーを買い、残った人たちが順番に漁に出て、収益を村の人たちで分配しています。


1年という節目を迎えるにあたり、私たちは何ができるでしょう?
私は「復興は始まりでしかない」と考えています。何よりも大切なのは希望です。キルトプロジェクトで、太平洋を隔てたカナダの子どもたちも自分たちを応援していると感じてもらうことができます。キルトがカナダに戻ってくることで、日本の子どもたちがカナダからの支援をどう受け取ったのか、カナダの人たちが感じて、さらに大震災についての記憶を新たにして、継続して支援していきたいという気持ちが生まれます。そのためにも、バンクーバーでの展示について、読者の皆様の助力をお願いします。


(取材 西川桂子)

 

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