2018年7月26日 第30号

神輿を中心とした活動を行っているNPO文化団体 晩香坡櫻會(以下櫻會)が日加修好90周年を記念して、日本の夏祭りで交流を行ってきた。ここにその様子を記す。 

 

 

 7/15(土)横浜『須賀神社例大祭』に、昨年のカナダデーパレードで来加した原岡誠さんが會長を務める横濱信睦會の神輿渡御に参加した。現在日本で英語教師をしているバンクーバー出身のNavjit Sidhhoさんが、これに合流。Navjitさんは昨年、バンクーバーでの神輿に参加して以来すっかり神輿ファンになり、本場日本での神輿に感激をしていた様子だった。

 その後、一行は『浜降祭(はまおりさい)』が行われる茅ヶ崎へと向かった。

 神奈川県無形民俗文化財の浜降祭は、江戸時代に寒川神社神輿渡御の際に紛失した御神体を地元の漁師が海で発見して届けた事へのお礼から、浜での禊神事(みそぎしんじ)を行う様になったと言われる関東でも有数の祭りである。

 34の神社から総勢39基の神輿が明け方の茅ヶ崎西浜海岸に集まる光景は圧巻で、別名“暁の祭典”とも言われている。

 昨年バンクーバーに神輿を寄贈した中里康則さんが會長を務める松尾大神(まつおおおかみ)神輿渡御に、日本とカナダの国旗がデザインされた櫻會の半纏を着た6名が加わった。

 松尾大神の神輿は今年で新調から40周年という節目の年で、関東各地や京都などからも多くの方々が参加をしていた。

 各神輿は夜中にそれぞれの神社を出発して海岸を目指して進んでいくのだが、海岸が近づくにつれ辻々で各神社の神輿が合流していき、その熱気は一層高まっていく。午前7時前には殆どの神輿が海岸に到着して、朝日に照らされた各神輿が練りあいながら自慢の担ぎを披露しあう光景は、この祭り一番のハイライトで、その熱気は最高潮に達した。

 その後、寒川神社の筆頭宮司による神事が執り行われた。天皇陛下御在位三十周年の今年は、各神輿に記念の社名旗と幟(のぼり)が掲げられている。

 禊神事を終えた神輿は幾つかの場所に立ち寄りながら神社へと戻っていくのだが、道中とても印象的な光景を目にする事となった。

 近隣の特別養護老人施設で沢山の入居者の方々が手拍子等で神輿を迎えてくれる中に、両手で顔を覆って涙を流す入居者の姿があった。『神輿を見て涙を流して貰える、なんと素晴らしい事だろう!』印象的なこの光景は、参加した人々に大きな感動を残すエピソードとなった。

 午前11時過ぎに松尾大神境内に到着した神輿は宮入りとなり、熱気を帯びた担ぎはいつまでも続いた。

 そして、最後の三本締めで多くの人々に支えられて約10時間続いたこの宴は、感動的なフィナーレとなった。

 浜降祭での興奮冷めやらぬ一行は、今年のカナダデーにも参加をした静岡県御殿場市の田代一教さんと共に、その足で『こがし祭り』参加の為に熱海へと向かった。

 観光地熱海の夏の風物詩こがし祭りは沢山の山車や神輿が参加する事でも有名で、一行が到着した時は最終日という事もあり各所から響いてくるお囃子は、街を祭りムード一色に染めていた。

 午後6時半頃に海岸通りを出発した勢輿會の神輿に櫻會メンバーも加わった。豪華な山車や神輿に、ここでも多くの方々が声援を送りカメラを向けていた。そして、祭りの最後を飾る海岸での大玉二尺花火と共に櫻會の交流は終了した。

 多くの感動が生まれた今回の交流を櫻會代表の清野健二さんは、こう振り返る。『日本の祭りは人々の心を一つにします。各地で祭りや神輿を通した素晴らしい日加交流が出来ました。この経験をカナダで生かしていける様に頑張っていきたいです。』

 次の櫻會の神輿は8月5日、カナダプレースで行われるアニメレボリューションで行われる。

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(記事提供 晩香坡櫻會)

 

 

 

 

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