2018年4月5日 第14号

3月24日、バンクーバー市内の発達障害協会(Developmental Disabilities Association、通称DDA)で、日系サポートグループ『Twinkle Stars』主催によるRegistered Disability Savings Plan(障害者の積立基金。以下 RDSP)を学ぶワークショップが開かれた(メディアスポンサー:バンクーバー新報)。

RDSPの対象者や手続き方法などをファイナンシャル・プランナーのデビッド・チェンさんが説明し、発達障害児を持つ保護者10人が聞き入った。

 

ファイナンシャル・プランナーのデビッド・チェンさん(DC Complete Financial代表)。RDSPの仕組みについて説明した

 

親としてできること

 講師のデビッド・チェンさんは14年の経験を持つファイナンシャル・プランナー。特に障害者対象のサービスに関わっており、自閉症の子供を持つ。「お子さまの障害はどの程度の助けが必要ですか? お子さまに資産を残すための計画、あなたがいなくなったときに、信頼できる受託者がいますか?」など、現実的な課題を投げかけた。

 発達障害の種類や難度はさまざま。医学的診断を基準に、心理学者や行動療法士、言語療法士など専門家によるアセスメントを受けて認定されるが、自閉症の診断はきわめて複雑である。

 発達障害協会(DDA)はバンクーバーとリッチモンド地区に、50以上の機関を持つ発達障害支援団体。ワークショップなどのイベント開催やニュースレター発行、『幼児期〜成人期プログラム』提供を通して、毎年1600人以上の障害者本人や家族をサポートしている。

 

RDSPとは

 2008年にカナダ政府が導入した障害者の積立基金RDSP。

 障害者税額控除(Disability Tax Credit)はカナダ国税局のT2201 Eフォームに記入し申請する。その際、医師や資格のある専門家の署名が必要。

 RDSP申請には有効な社会保険番号SINを持つカナダ居住者で、障害者税額控除を持つ59歳以下であることが必要。基本的に1ドルの預金に対してカナダ政府が3ドル加算するシステム。誰でも贈与として口座に寄付することができるが、プラン保有者である障害者が亡くなった場合、血縁がないと返金資格はない。

 教育積立基金(Registered Educational Savings Plan、以下RESP)は高等教育のみに使用しなければいけないが、RDSPで引き出したお金は受益者の利益のために使うことができる(例えば家族旅行など)。子供が発達障害と認定された場合、それまでのRESPからRDSPの口座に移行することも可能。

 障害のある子供にRDSPの口座の存在を知らせる必要があるが、それを管理する方法を知らないためにトラブルが起こりやすい。安定した資産を保障するためにはアドバイザーと相談することが大事である。

 

日系サポートグループ『Twinkle Stars』

 自閉症・学習障害・対人コミュニケーション障害など、いろいろな形で現れる発達障害は、いまや子供50〜100人に1人の割合で発症するといわれ、年々増加の傾向をたどっている。

 2010年に行われた『自閉症とその他の発達障害・家族に対するBC州政府出資プログラムとサービス説明会』(日加ヘルスケア協会主催)をきっかけに、日系サポートグループが誕生。2017年に前サポートグループから独立し、発達障害協会の傘下として名称を『Twinkle Stars』と改名した。

「同じ状況にいる人たちと情報交換したり気持ちを分かち合ったりして、ニーズに応えられる活動をしています」と自閉症の息子さんを持つバーンズちぐささん。問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.まで。

 

日系サポートグループ『Twinkle Stars』
連絡先メール:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
発達障害協会(Developmental Disabilities Association、通称DDA)
電話:(604) 273-9778 (テリーさんまで) 
www.develop.bc.ca

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

(左から)日系サポートグループ『Twinkle Stars』のバーンズちぐささん。講師のデビッド・チェンさん

 

 

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