コスモス・セミナーは大河内南穂子さんが中心になって、2000年7月に発足した。生涯学習の一環として、異なった場で活躍する人々と交流することにより知識を深め、自己を磨き、異文化での生活を有意義に過ごすことを目指している。毎月第二水曜日に開催しているセミナーは、昨年、10周年を迎えたのに続き、今回の『言葉で輝く』で100回目となった。

話し方だけでなく、トータルライフコーチングを行う大河内さんの講演は、とても実用的な内容だった。まず「これからのパーティーシーズンにすぐに役立つコツの紹介」として、グループに分かれて自己紹介を行い、その内容をさらに別の人に伝えるという実習を行った。パーティーなどで、自己紹介したり、誰かを紹介したりする際に役立つ練習だ。

大河内さんは、茶道、華道、日本舞踊などの心得がある人のような、美しい所作を組み入れる、表情、目線なども用いると美しいとアドバイスした。また、紹介のポイントとしては、「こちらは○○さんです」というように主語を入れること、その際にフルネームを覚えておくことを強調した。特にフルネームを覚えることはリーダーシップを取る人にとって重要という。出身地、趣味、今、一番熱中していることを話題に、ユニークな印象付けに努める。積極的に握手をするのも良い。

ほかにも人を訪ねる時のポイントとして、お土産を持っていくときには、日本の美しい文化でもある風呂敷を使うと美しいだけでなく、相手がカナダ人なら風呂敷について説明することで、さらに会話、交流が進む。日本人は謙遜して「つまらないものですが」などと挨拶する傾向があるが、堂々と、たとえば「今日作ってきました」「とても美味しいです」と言うほうが、もらった人も嬉しい。

「自分の話し方の癖を知る」ことも『言葉で輝く』ために役立つ。大河内さんは携帯電話から自宅の電話に伝言を残して、それを聞くことや、鏡の前で自分の話し方の表情に注目してみることも勧めている。「その人の人格そのものが話し方に現れます。麗しい、上品な話し方にするためにも、まず自分の人間性を磨きましょう」

言葉をわかりやすくするためには、口は縦に開く、間の取り方についても気をつけるほか、あいづちは前に乗り出すようにする。日本とカナダで話し方に関する多数のセミナー、コーチングを行っている大河内さんは、朝、昼、晩など、七色の声を使い分けるようにと呼びかけた。

話し方に表れる魅力の基本となるのは、退屈しない話し方と聞き方だ。目的を持ってバラエティのある話し方をする、相手を思いやって否定的にならないで、話のキャッチボールを大いに愉しもうと語った。
参考になるテレビ番組、小説などの紹介もあった。言葉の使い方に関しては、テレビの『にほんごであそぼ』『めざせ!会社の星』などはとても役に立つし、『徹子の部屋』も会話の流れの勉強になる。語彙を増やすためには、映画やテレビの台本がお勧めだ。森瑤子、林真理子、よしもとばななの短編、向田邦子の小説やエッセイを手本にして会話の妙を学びとる。

在バンクーバー日本国総領事伊藤秀樹氏は、「100回もセミナーが続いてきたのは大河内さんのリーダーシップと、周囲の人たちの献身的なサポートのおかげ」と、祝いの言葉を述べた。会員のエクルストン希子さんは、今回のセミナーについて「相手の話を聞くとか、今日の大河内さんのお話は全て、毎日の生活に役立つことです。それも、お金をかけず、自分で磨こうと思えば、どんどん磨くことのできる、プラクティカルなアドバイスが満載でした」として、「今日、学んだことをしっかり実践して、向上するようにします」との決意を語った。

また、以前、講師を務めたこともあるUBC名誉教授松本守隆氏は「楽しい話でした。実理的だし、処世術の勉強にもなりました。ほかの人とのコミュニケーションに役立てることができますね。大河内さんの魅力、チャーミングさがよく出たセミナーでした」との感想だった。矢野アカデミーの矢野修三校長は、「とてもよかったですね。大河内さんにカリスマ性があるから、これだけの人が集まるのでしょう。前向きだし、今日の話にあったとおり、聞き上手で話し上手です。でも、努力もする人。SFUで教えていらっしゃったとき、僕も一緒でしたが、教案づくりもきちんとしていました。今回もしっかり準備したのだと思います。だから講演も面白かったですね」と話した。

コスモス・セミナーウェブサイトhttp://www.cosmos-seminar.com



(取材 西川桂子)

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