2017年5月25日 第21号

 日本では、年間8万点を超える多様な分野の新刊が発行されています。出版市場が低迷するとはいえ、日本は依然として世界でも有数の出版大国です。マンガや村上春樹の小説などはすでに世界的に有名で、日本以外の国でも熱心なファンがいますが、日本にはそれ以外にも広く世界で読まれるに相応しい素晴らしい本がたくさんあります。しかし、言語の壁があり、海外で読まれる機会が非常に少ないのが現状です。

 

紀伊國屋書店SF店での販売の様子

 

 そこで、日本の良書をもっと世界の人々に読んでもらいたい、との思いから、2014年、Japan Libraryシリーズの刊行が始まり、今春、新たに16冊が刊行されました。Japan Libraryは「日本の魅力を世界に発信する」、「多様で重層的な日本の姿や思想を提示する」、そして「『日本の知』が『世界の知』の創造に貢献する」ことを目指し、日本という土壌に根付く独自の思想、芸術、また技術を伝えるものから、社会学・歴史学におけるアカデミックなものまで、これまであまり翻訳されてこなかったノンフィクション分野の書籍を積極的に取り上げています。

 例えば、既刊書の『Tree-Ring Management』の著者は、寒天のトップメーカー長野県伊那市の伊那食品工業株式会社の塚越寛取締役会長で、創業以来48年連続増収増益という実績を打ち出した経営者の企業戦略、経営哲学について紹介した本です。日本の様々なメディアでも取り上げられ、日本を代表する企業トヨタも同社に視察に訪れるほどです。また、日本各地の木造建築を素晴らしい写真とエッセイで紹介する『Japan's Wooden Heritage』、明治を思想的にリードした福澤諭吉の生涯とそのビジョン、哲学を追った『Self-Respect and Independence of Mind: The Challenge of Fukuzawa Yukichi』。更には2015年8月に発表された戦後70年談話を安倍首相が起草するにあたり、有識者会議においてどのような議論がなされたのか、その議論の過程をまとめた『Toward the Abe Statement on the 70th Anniversary of the End of World War II』。いずれの本も、日本をより深く理解するのに役立つもので、マンガやアニメをきっかけに日本について関心を持ち始めた人たちがもっと日本を知るために、また、日本文化を海外の方々に紹介する際にもお薦めの本です。

 Amazon.comや日本の成田・羽田・関西国際空港にある一部書店でも購入可能で、6月中には電子書籍版(kindle版、iBooks版等)も購入可能となります。来年3月には更に15タイトルが発行予定で、英語で読める日本の魅力的なタイトルが増えることに期待ください。

2017年5月

Japan Library

JAPAN LIBRARYの詳細は、以下のホームページで確認ください
▶︎http://www.jpic.or.jp/japanlibrary/
問い合わせ先▶ This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. 出版文化産業振興財団(JPIC)

 

 

読者の皆様へ

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