2017年3月16日 第11号

日系シニアズ・ヘルスケア&住宅協会理事長であるルース・翠・コールズ氏の、当地における日系コミュニティに対する献身的な活動と功績を称えて、在外公館長表彰が授与された。3月9日、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事公邸において、その表彰式がとり行われた。

 

式典に出席した家族や日系コミュニティ関係者の方々

 

■ 日系シニアのために尽力

 このたびのコールズ氏に対する在外公館長表彰式には、家族、友人、日系コミュニティ関係者など29人が出席した。コールズ氏はヘルスケアの分野に30年以上従事し、日系シニアズ・ヘルスケア&住宅協会(NSHCHS)の副理事長職を経て、2010年からは理事長を務めている。式典では岡井朝子在バンクーバー日本国総領事がコールズ氏の経歴や功績を紹介し、長年にわたる日系コミュニティへの貢献を称え表彰状を授与した。

 コールズ氏はケローナに近いウィンフィールド出身、ブリティッシュ・コロンビア大学とトロント大学でソーシャルワーク(社会福祉学)の学位を取得した。ソーシャルワーカーとして勤務する他、マネージメントや指導にも携わってきた。コールズ氏は特に高齢者に対する福祉に高い関心を寄せ、1986年、故ロバート・ニイミ氏が理事長となって発足したNSHCHSの副理事長に就任した。1998年には新さくら荘がバーナビー市にオープン、手頃な家賃で安全性の高い快適な住環境で高齢者が自立した生活を送っている。新さくら荘の向かい側に2002年に建てられた日系ホームでは、入居者に日常生活の手助けなどのケアが必要に応じて提供される。日系ホームの隣には日系文化センター・博物館があり、日本の文化を継承し、幅広い世代やさまざまな人種の市民をつなげる役割を担っている。1980年代に始まった、日系コミュニティ独自の文化施設やケア施設を伴ったセンターを作りたいという動きが実を結んだといえるだろう。そうした活動の中心人物の一人としてコールズ氏も貢献してきた。

 

■ 思いやりの心と強い意志を持って

 コールズ氏はスピーチで、この栄誉は現在および過去のNSHCHS理事会メンバーやスタッフなどの尽力のたまものであると語った。特にNSHCHSで長年理事長を務めた故ロバート・ニイミ氏とその家族による、日系シニアズだけでなく日系プレース全体へのたゆまなき貢献に感謝の意を述べた。また、両親が地域のコミュニティに尽くしてきた姿から学んだことが、自身のボランティア活動の源になっていると話し、長きにわたるこうした活動に理解を示し支えてくれた家族にも感謝の意を表した。続いて、NSHCHSのエグゼクティブディレクターであるキャシー・マキハラ氏が挨拶に立った。コールズ氏について、リスクを取ることを恐れないと表現。新しいことを始めるときや変化を起こすときにリスクはつきものだが、コールズ氏は情熱と固い決意をもってそれらに取り組んできたと語る。高齢者のケアに関する政府の規定が変更されるたびに、それに対応するための取り組みが生じるが、今後もコールズ氏をはじめとするNSHCHS理事会やスタッフがより良いシニアの生活のために尽力したいと述べた。そしてコールズ氏の素晴らしい貢献と今後のますますの活躍を祈って乾杯の音頭を取った。式典後のレセプションでは、コールズ氏を囲み和やかに歓談のひと時を楽しんだ。

(取材 大島 多紀子)

 

在外公館長表彰を受賞したルース・翠・コールズ氏(右)と岡井朝子在バンクーバー日本国総領事

 

受賞の挨拶をするルース・翠・コールズ氏

 

祝辞を述べるキャシー・マキハラ氏

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。