2016年11月17日 第47号

私たち、第57回海外日系人大会(2016年10月24日〜26日開催)に世界各地から参集した日系人は、『21世紀の日系人像』を総合テーマに3日間にわたり討議した結果、以下の7項目からなる決議を採択し、本大会の成果として宣言いたします。

 

1.日系社会が急速に多様化している点を認識し、新たな共生の施策を必要としています

 世界に広がった日系社会は、明治以降の移住政策によって生み出されたものですが、一世の時代から二世、三世、四世中心の時代へと移り、国によっては五世、六世、七世誕生の時代を迎えています。多くの国で非日系人との結婚が当たり前となり、日本語を話さない世代が増え、意識の多様化が進んでいます。その一方で、外国人との結婚により国外に住む邦人や海外定住の邦人およびその子弟が増え、「新日系人」とも呼べる新たな日系人の創出が世界各地でみられます。さらに1990年代から雇用の機会を求め日本に在住する日系人とその子弟の存在も忘れることができません。

 私たちは、このように急速に拡大し多様化する日系社会の変化を確認し、「21世紀の日系人像」として捉え直す必要性を強く認識しました。それと同時に、グローバル化が進む今日、日系人および日系社会の存在は、日本の「外への国際化」「内なる国際化」のチャンネルとしての重要性を増すと同時に、日系人にとっても在住国内外でのネットワーク形成によって活動の範囲が格段に拡がることが、大会参加者によって確認されました。

 私たち日系人に対する日本側の取り組みとしては、こうした変化を踏まえた上で、「支援」から「共生」「協力」に比重を移した施策を強く望みます。国際協力における日系人のより一層の活用、国民体育大会やインターハイあるいは国民文化祭や全国高等学校総合文化祭への海外日系人(団体)の参加等がこの施策の一例になるものと考えます。

 

2.ビジネスや国際協力など多様な分野で「ヒューマン・パワー」として活用を

 「21世紀の日系人」は、在住国に根付いた存在です。この点は、リオ五輪(オリンピック・パラリンピック)で活躍する日系選手や日系指導者の存在が示したところでもあります。  在住国の言語や文化の知識はもとより、異なる人種、異なる民族と共生してきた私たち日系人は、独特の「ヒューマン・パワー」を身につけていると自覚しています。しかも移住の段階から父祖が培ってきた人的ネットワークや信頼を有しています。

 このような「ヒューマン・パワー」としての私たち日系人の存在が、日本、とりわけ日本のビジネス界では十分に認識されていないのは残念です。  日本企業のビジネス展開や日本政府による国際協力において、「ヒューマン・パワー」としての私たち日系人の総合的な能力を正当に評価し活用するよう望みます。イコール・パートナーとして扱われることによって初めて、日本を支援するソフトパワーがよりよく発揮されると確信します。

 

3.日系ユースは、多様性と柔軟性、ネットワークを武器に、グローバル人材として日本と在住国との橋渡しに努めます

 日系社会の中には、世代が変わるに従い日系としての意識が希薄化する傾向がみられます。留学等で日本に暮らす私たち日系ユースは、日系社会を再活性化させ、次の時代の日系社会を担う方策を検討しました。私たちの中には、母国で生まれ育った者、日本や第三国で育った者など、出身は多様です。それにも関わらず、日本語を学び、専門分野のみならず日本のよき習慣や伝統を吸収しようと日々活発に過ごしています。

 在日の日系社会からも、日本の受験戦争に勝ち抜き日本で就職する者、あるいは日本で中・高等教育を終え母国の大学を出て就職する者など、新たな人材の輩出がみられます。いずれもバイリンガルの素養を身につけた存在です。日系人集住地域における外国人児童・生徒に対する教育の整備が進められてきましたが、後続の在日日系二世、同三世が充実した生活を送れるよう日本語教育を含め日本社会の温かい支援をお願いします。

 私たちは「21世紀の日系人」としては、私たちが受けた教育をフルに活かし、多様性と柔軟性、ネットワークを武器に、日本との橋渡し役を務めつつ日本の優れた点を世界に広める努力をします。

 

4.4世以降にも在留資格で配慮を

 1990年を境に増えたいわゆる「デカセギ現象」は、日本での就労・生活機会のみならず、新たなタイプの人材育成、専門職業創出、文化交流などさまざまな副次効果を生みました。

 その結果として日本と母国間を行き来する人の流れが増え、移住者の途絶で消滅さえ危惧されていた一部の日系社会に新たな活気を呼び起こしたと言われます。さらに近年は、技術的・文化的・学術的に魅力を増す日本への関心が高まり、親族訪問を含め訪日の機会を求める若者が増えています。

 現在、三世世代まで特別な定住ビザが発給されていますが、これを含め在留資格面で、日本をルーツと考える四世以降の世代にも特別な施策を要請します。

 

5.日系社会で活動する非日系人の育成・活用を提案します

 日系社会の活動は日系人だけで行われているものではありません。年々活発化する「日本祭」、柔道、太鼓、茶道、華道、クールジャパンといった各種活動の担い手、さらには日本語教師として教壇に立つ非日系人が増え、これらの人たちを抜きには21世紀の日系社会は成り立たなくなっています。こうした彼らの役割と貢献を評価し、日系研修事業など日系を対象とした日本の事業の適用範囲を柔軟に拡大することによって、日系社会活性化の側面援助をお願いします。

 

6.重国籍者には、柔軟な国籍対応を認めるよう、日本政府に求めます

 日本の国籍法では「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と定め、厳格に運用されてきました。この規定によって、「日本人」として活躍したくても認められず、あるいは日本人を親に持つ子供にとって「日本人」としてのアイデンティティを奪われ、幸福追求権が侵害されるケースがみられます。人の移動が活発化する今日、世界各国の施策および「21世紀の日系人」の存在を十分に認識しながら、出生国や在住国の国籍を保持したままでも、日本国民として認めるよう重国籍の道を開くことを政府に求めます。

 

7.在外選挙権制度の簡素化を提案します

 昨年6月に改正公職選挙法が成立し、選挙年齢が18歳以上に引き下げられました。在外選挙が実施されて16年が経過し、海外移住の際に市・区役所で登録を可能とするなどの工夫が検討されてきていますが、市民としての権利・義務継続の観点から、投票通知の自動配布、FAXないしは電子投票の導入などの改善をさらに要望します。

 

 

今週の主な紙面
9月19日号 第38号

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