2019年1月24日 第4号

 西アジアの遺跡から土器が出てくるのは、紀元前六千年前の頃であり、最初の縄文土器がつくられたより、ずっと後のことであるから、縄文土器に製法が伝播していく過程で、アフリカからはひょうたんなどの植物が日本まで伝わったのではないかと思われても不思議はない。しかし、なぜ小麦は伝わらなかったのか?畑作の小麦は平地に直に捲いても生命力の強い雑草に負けて栽培が日本では難しかったのかもしれない。一説には、日本での焼き畑農法では肥料となる灰が流されてしまい、毎年栽培を続けることが困難だったのではという話もある。その点、弥生時代から本格的となったと思われる稲作は水の多い日本の風土には合っていたらしい。

 三内丸山遺跡のこの時期には、水田による稲作農法はなかったと思われるが、この集落のまわりには栗の木が栽培されていたことは栗の遺伝子の研究でわかっている。この集落には五百人くらいが共同生活をしていたのではといわれ、集落の一角にはそれらの人が集まれるような大きな建物が再現されてある。ちょっとしたコミュニティーセンターのような大集会場のようでもあり、土器や糸をつぐむ加工工場のようにも見えるが詳しくはわかってはいない。

 ここカナダ西海岸のインディアンの村にも昔は大きな集会場のような建物があり、彼らは冬の雪や雨で外で活動ができない日には、この大きな建物中で火をたき、インディアンダンスなどをしたり、老人の語り話(ばなし)を聞いたようであることは、三内丸山遺跡の大きな建造物からも想像できる。このようなインディアンの生活は白人がこの地に来るまでの1800年頃まで続いていたらしい。

 以前、西海岸トフィーノに行ったことを本紙に書いたことがあるが、そこの近くの島々にインディアンの集落が海岸線にあるが、裏手は険しい山ばかりで、道らしき道もなく交通手段もないような世界でどのように生活をしているのか思いをめぐらす。

 ここ(西海岸)に住む土着(インディアン)の人々の祖先は、一万年ぐらい前からこの地に住み始めたとガイドの人が言う。マンモスを求めてアメリカ大陸を南下してたどり着いた狩猟民族は、ひょっとして日本の縄文人と繋がっているかもしれない。バンクーバー島の西海岸で自給自足の生活を続けてきた人々の遺伝子を調べれば、アメリカの古代人と同じく縄文人であるアイヌの人々と同じ遺伝子が見つかるかもしれない?

 島と島をつなぐ交通手段は船である。今はエンジンボートでトフィーノの学校に子供達は通学をして、親達はここで生活物資を手に入れているのだと言う。

 ガイドの説明によれば、昔は海岸線にある大きなレッドシダー(杉の木で水に強く、腐りにくい)で直径が1メートル以上大きなものの根元のまわりに焼いた石を積み上げて、何日もかけて、少しずつ焼き焦がしてゆくうちに、大風で倒れた大木をくりぬいて丸木舟を作ったという。10人ぐらいは乗れるもので、両側を男達が櫂でこいで島と島を行き来したようである。

 古代から船と共に生活してきた人々縄文人も、黒曜石を求めて伊豆半島の先にある八丈島まで行ったという痕跡があるわけだから、縄文人もカナダ西海岸の土着人と同じように航海にたくみであったのではないのだろうか?

 そのように考えれば、縄文時代には東南アジアや中国大陸と交流があったことが想像させられるのである。でなければ、日本の遺跡から南方のひょうたんや米があったことが理解できないのでは、と思うのはぼくの私見である。

 昔、中国で旅人が橋の無い河川を渡るときに、水筒がわりにぶら下げていたひょうたんの水を抜いて浮き輪の代わりにして、危険な河を渡ったということを聞いたことがある。ひょっとして縄文人も丸木船に乗る時は、浮がわりのひょうたんに水を入れて魚をとりに出かけたり、かなり遠くの島や海岸まで丸木船で海に漕ぎ出していたように想像できる。

 モダンなもの(ネット産業)は、すべてが表面的で、現実的にはニヒリズムがあるという話もある。たしかに、電車の中で多くの人が下を向きスマートフォンを見ながら一人でニンマリ笑っているのも気味が悪いかもしれない。

 新しいものが溢れる社会の中で、真に自由なもの、真に解放された自由な心が必要であり、それが人であり人間の生きる道かもしれない。

 「馬鹿な生活(モダンでない生活)、古い家だけれど自然のある生活から抜け出せない、やめられない」というのは写真家小松義夫氏の言葉である。

 


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