2019年11月28日 第48号

 たまたま図書館で見かけた不安に関する絵本特集。小学校低学年を対象に、不安とは何か、またその感情とどう向き合ったらいいのかという興味深い内容だ。大人の私でさえ、不安とうまく向き合えないことがあるだけに、親の立場となった今、子供たちに、どうやって不安について説明しようか考えていたところだった。  

 まず、誤解してはいけないのが、人間である以上、不安は誰もが抱く感情で、決して悪い感情ではない。不安があってこそ、救われることもある。横断歩道を渡る時に左右安全確認するのもその一例である。問題なのは、不安が自分をコントロールしてしまうことにある。

 不安が必要以上に膨らんでしまった場合、「自分を不安にさせている原因が何であるか考えよう」という対処法が紹介されていた。例えば、算数のテストに不安を感じている子供がいるとする。テストの何がその子を不安にさせているのか。算数が理解できていないことに不安を感じているのか、それとも悪い点数を取って親や先生から怒られることなのか、原因を探ってみる。

 不安の原因を見つけたら、次は解決策を考える。算数のテストを例にすると、わからない箇所があるなら勉強したら良いだろう。親や先生から怒られるのが不安の原因なら、怒られることがその子にとってどういう意味を持つのか(自分はダメな人間だと思ってしまうのか? 親から拒絶されると思うのか? 親が自分のことを愛してくれないと思うのか? そして、誰がその判断を下しているのか?)考えたら良いかもしれない。

 解決策を考えて、不安がなくなる場合もある。でも、解決策を考えても、不安な気持ちが、まだ残る場合もある。そんな時は、「トマトを思い出して」という。トマトを植えたとする。毎日水をやり、毎日トマトの世話をしたら、トマトはグングン成長する。不安もそれと同様で、毎日気にかけていたら、グングン成長する。だから、考えないように努力してみる。

 人は、不安を覚えると、脳にある不安機能がフル回転して、物事をロジカルに考える機能が低下するらしい。不安にコントロールされないように、トマトを思い出す(考えないようにする)、走ってみる、ジャンプしてみる、数を100、97、94、91、と3つ飛ばしで数えてみるなど、気を紛らわすのがいちばんのようだ。

 最後に「悩んでもいい時間」を1日15分だけ作ってみるのも手だという。それ以外の時に悩みたくなったら、「悩んでいいのは、あとで!」と言い聞かせ、頭の中で箱をイメージし、その中に悩み事を入れて、鍵を閉める。あるいは、悩み事を紙に書いて破って捨てるなど、どの絵本も、ユニークな対処法が盛り沢山だ。

 私が学生の頃は、不安とどうやって向き合うかなど、考えたこともなければ、教わったこともない。だが、情報時代を生きる今の子供たちは、メンタルヘルスの一環として、Anxiety(不安)という言葉さえ、聞き慣れている。それだけに、言葉だけが一人歩きしないように(不安を抱くことで自分は精神病を患っているのかと誤解しないためにも!)学校や家できちんと話し合う機会の必要性を私は感じている。

 

 


■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。www.makoogura.com

 

 

 

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