2019年10月24日 第43号

 「きな粉を一緒に作ろう!」と友人が誘ってくれた。きな粉を作る?! なんてハードルの高そうな響き…。私は、きな粉を作ろうなんて思ったことがなければ、きな粉の原料が一体何なのかさえ知らないレベルだ。彼女は、普段から、味噌や納豆といった手間のかかる日本の伝統食品をなんでもパパッと作ってしまうので、きな粉作りにしても、どうってことないのだろう。珍しい体験をさせてもらえることにワクワクしながら、彼女の自宅へ向かった。

 きな粉は、大豆からできていた! そう、節分の時に鬼に向かって投げる、あの乾燥した肌色の豆である。それを、フライパンの上で20分くらい煎って、冷めたら、その後、製粉機に入れて、あっという間にできあがりだ。

 彼女は、きな粉を作っている際に、「大豆って、すごいのよ!」と、その魅力を語る。大豆は、いろんな日本食に姿を変えて食卓に登場しているのだ。味噌に納豆、醤油に豆腐、豆乳に油揚げ、湯葉にもやし、そしておせち料理に欠かせない黒豆、これら全て、大豆が原料となっているという。そして大豆が乾燥する前、すなわち未熟な時に収穫して食べるのが枝豆である。カナダの日本食レストランでは定番メニューである、あの緑色の枝豆だ。まさか、枝豆と大豆が、同品種で、収穫時期が違っていただけだったとは。

 大豆の汎用性の高さには、驚きだ。出来立てホヤホヤのきな粉の香ばしい匂いに包まれながら、私もすっかり大豆に惹かれてしまった。

 

大豆を製粉機に入れたら、あっという間にきな粉になった

 

 


■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。フェイスブックで繋がれたら嬉しいです。エッセイ等のご意見もお気軽に
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