2018年5月31日 第22号

「曲げようと思ったら曲がらないよ。そうじゃなくて真実を見ようとしなきゃ」

 映画『マトリックス』で、スプーン曲げをする子供がキアヌ・リーブス演じる主人公のネオにスプーンの曲げ方を説明します。

 「スプーンはないんだ。曲がるのはスプーンじゃなくて、自分自身だよ」

 これは、目の前の現実は、単に意識を映している鏡なので、現実を変えたかったら鏡の中を変えようとしても変わらないから自分の意識を変えてみて!ということなのです。

 では、その真実とはどこにあるのでしょうか?意識の9割以上が潜在意識だということを考えると、潜在意識に秘密がありそうです。潜在意識にあるものは、何かのきっかけで顕在意識に上がってきます。ノベル・セラピーは受講者に即興で物語を作っていただき、 潜在意識から必要なものを顕在意識まで引き出すきっかけを作り、見えやすくするというセラピーです。

 今月は千葉県でエステティシャン(全身美容)のお仕事をされている22 歳のカリンさんが作られた物語、『新しい旅立ち』の全文をご紹介します。 庭に咲くタンポポの綿毛が主人公。

 

 わたしには名前もないし、友達もいない。

 ずうっとお庭の隅っこに暮らしている。

 みんなわたしのことに気づかない。

 綿毛がいっぱいになった時、どこへ飛んでいくのかな?

 気づかれないままひっそり、それが隅っこに生まれたわたしにはお似合いなのかな? そう思うと、少しだけ寂しくなった。

 ある雨の日、女の子がわたしに近づいてきた。

「ワタゲさん、風邪引いちゃうね」そう言って、わたしに傘をさしかけてくれた。とってもビックリした。でもなんだかうれしくて、少し恥ずかしい 。

 次の日の晴れた気持ちのいい朝、女の子がまたわたしのところへ来て、今度はたくさんの話を聞かせてくれた。学校のことや、大好きなお母さんのこと、お父さんはいなくて寂しいこと。

 女の子はわたしを、ワタゲさんと呼んだり、白(しろ)ちゃんと呼んだりいろんな名前で呼ぶ。それもうれしかった。どんな呼び方でも初めて名前をつけてもらえた。そして初めての友達だから。

 わたしはずっとここでひっそりと生きていくのだと思っていた。でももうさびしくないよ。見つけてくれてありがとう。

 綿毛でいっぱいになったわたしに、女の子がフッと息を吹きかけた。気持ちのいい青空に飛んでいく。一つ一つの種は私で、女の子がつけてくれたいろんな名前のいろんな私がいる。これからどんな旅になるのだろう? 楽しみでワクワクする。

 あなたが見つけてくれたからわたしは幸せ。どこかへたどりついて花になってまた綿毛になったとき、あなたのところへ飛んできていっぱいのありがとうでお庭の隅っこにタンポポ畑を作るね。

 

 カリンさんは、この物語を作ったことで、自分に向き合うことが増えて、以前よりも自分のことを認めてあげられるようになった、とセラピーについて語ってくれました。

 ノベル・セラピーがきっかけとなって、意識下にあった自分の本当の真実である、たくさんの可能性が見えてきて、そこで得られた自信が、目の前の現実を変えることを知ったのです。

「大事な人を許したり、感謝したりもできるようになって、なにより、“幸せの見栄”を張らなくなりました!」

 というカリンさんの爽やかな率直さは、彼女自身の人生に『新しい旅立ち』が訪れていることを示していました。カリンさんはその後、アロマテラピーの勉強を始めて職域を広げることに挑戦しているそうです。

 


Ojha Emu Goto ノベルセラピスト

 日本で雑誌,広告制作者として活躍していたが、98 年にカナダに移民。光の色波動を用いるZenith Omega Healing( ゼニス・オメガ・ヒーリング)のマスターティーチャーヒーラー。月刊ウェブ・マガジン “Cradle Our Sprit! ” www.ojha-angel-vancouver.net / 編集長。しらゆきのゆめ出版代表。

 著書に「アカシック・レコードの扉を開ける〜光の鍵」明窓出版(2010 年)。 ノベル・セラピーのテキストを兼ねた小説集「しらゆきのゆめ」を昨年末出版した。同時に 『しらゆきのゆめ』出版を設立し、バンクーバーの日系社会のみなさまの自費出版をお手伝いさせていただいている。

 今春3月に日本縦断ノベル・セラピーワークショップツアーを行い、現在ノベル・セラピーで誕生した物語を Pod Cast での世界に向けたインターネット配信を準備中。ノベル・セラピーワークショップは随時開催している。自費出版及ノベル・セラピーのお問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. まで。 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。