2019年1月1日 第1号

 1986年にチリで出版され世界中でベストセラーになった『アミ小さな宇宙人』の一節です。世界11カ国語に翻訳されており、日本語版は挿絵をさくらももこが担当したことで注目されたファンタジーで、不安の渦巻く地球社会に対するやさしさと強さのこもった言葉に、コアなアミファンを作り続けている本です。

 この本の主人公アミは宇宙人という設定ですが、混沌としたこの人間界に天使が使命を持って子供の姿で降りて来たら…人々はどう対応するでしょうか!?

 今回は東京で金融業に従事されているミッチさんが作られた『フェニックスとその仲間たち』をご紹介します。

 

 この物語の主人公の名前はフェニックス。彼は天上界で天使として神様に仕える天使の一人。とても明るく人懐っこい性格で天使界でもとても人気者。そんな彼にある日、神様から指令が下りました。

 それは地球の人間界へ行って、笑顔の人を増やすこと! 天使の彼にとっては、笑顔でいることはとても当然のことです。神さまはそんな当たり前のことをどうしていうのだろう…そんな疑問を持ちながら、フェニックスは他の仲間の天使たちと共に地球へと降り立ちました。

 彼らが降り立ったのは、オンタリオ湖周辺。工場が立ち並び煙をモクモク、汚れた水を湖へと流しているそんな環境でした。そこで暮らす者たちにとって決してやさしいとはいえない環境で、毎日生きるために仕事をこなす人間たち。そこで暮らす大人たちは日々生きることに必死。笑顔も消えていました。そして、彼らに育てられる子供たちからももちろん笑顔は見えません。人間界はなんて悲しいの? それがフェニックスが地球に来て感じた最初のことでした。

 フェニックスたちは、プレハブ小屋のような質素な建物に住み、ひっそりと地球での生活を始めました。彼らのミッションは、そこに住む人たちの笑顔を増やすこと。彼らのミッションが一つ成功するたびに、人々の心に赤いハートがキラリと輝きます。それが見えたら、天上界にいる神様に報告がいくしくみです。どうしたら笑顔を増やせるのか…仲間と一緒に考え、まずは街の中に落ちているゴミ拾いから始めようということになりました。やはり綺麗なきもちのよい環境にいるとそれだけでうれしくなりますから。

 しかし、しだいにフェニックスたちは人間界で笑顔をみることは簡単なことではないのかもしれないと感じ始めました。ここでやっと神様のくだしたミッションの意味がわかってきたのです。でも彼らはくじけません。自分たちの存在意義がわかった今では‎俄然やる気が出てきたようです。ますます元気に活動するフェニックスたち、そして彼らに辛くあたるまわりの人々…

 そのうち施設でのお手伝いを頼まれるようにもなり、閉じ込められたかのように生活し、暗い表情をしていたお年寄りたちも、フェニックスたちのあどけない笑顔につられ、どんどん笑顔が増えます。黙々とミッションを続けていたある日、彼らにとってうれしい出来事が起こります。朝いつものように、ゴミ拾いをしようと町に行くと、なんとそれまで彼らの邪魔ばかりしていた、いじめっこたちがゴミ拾いをしているのです。 ここで一気に心が交流しました。いじめっこたちの胸の辺りには赤のハートがキラキラ輝いています。

 もちろん天上界の神様のもとへ、嬉しい報告が届けられました。その日以降、笑顔が笑顔を呼ぶ嬉しい連鎖が輪をかけて広がっていきます。この町でのフェニックスたちのミッションは完成したようです。フェニックスたちは、町に明るい笑顔と活気が戻ったことをみてひっそりと戻っていきました。フェニックスたちがいつの間にかいなくなってしまったことに気づいた町の人たちは、とても悲しみました。でも町の人たちの心の中には赤いハートと共にフェニックスたちの姿もしっかりとやきついています。フェニックスたちが教えてくれた笑顔ミッションの大切さを忘れないよう、彼らが住んでいた家を、スマイル&ハッピー記念館として後々まで大切にしたそうです。

 

 ミッチさんは、自分が生まれてきた使命は人々を幸せにすることだと、小さいときから考えていたそうです。でも現実の生活の中で仕事をしながらどうやったらそれができるのかいつも途方に暮れていたといいます。ノベル・セラピーワークショップでこの物語ができてみたら、自分の使命は、“幼い子供のように微笑むことかもしれない”と気づいたと語ってくれました。

 『小さな宇宙人アミ』のシンボル、翼のついたハートの意味は、“人に許可を求めずとも、自分で自分自身になれること”。

 微笑んでいることがミッションであり、自分自身だというミッチさんの笑顔は、いま職場のひとたちにも広がっています。

 


Ojha Emu Goto ノベルセラピスト

 日本で雑誌,広告制作者として活躍していたが、98 年にカナダに移民。光の色波動を用いるZenith Omega Healing( ゼニス・オメガ・ヒーリング)のマスターティーチャーヒーラー。月刊ウェブ・マガジン “Cradle Our Sprit! ” www.ojha-angel-vancouver.net / 編集長。しらゆきのゆめ出版代表。

 著書に「アカシック・レコードの扉を開ける〜光の鍵」明窓出版(2010 年)。 ノベル・セラピーのテキストを兼ねた小説集「しらゆきのゆめ」を昨年末出版した。同時に 『しらゆきのゆめ』出版を設立し、バンクーバーの日系社会のみなさまの自費出版をお手伝いさせていただいている。

 今春3月に日本縦断ノベル・セラピーワークショップツアーを行い、現在ノベル・セラピーで誕生した物語を Pod Cast での世界に向けたインターネット配信を準備中。ノベル・セラピーワークショップは随時開催している。自費出版及ノベル・セラピーのお問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. まで。 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。