2019年4月4日 第14号

 前回の冷え性シリーズ③の“気”に続いて、今回は“血 けつ”と冷え性について、進めて行きたいと思います。その前に少しだけ前回の内容を振り返ってみたいと思います。“気”は端的に言えば、生命を維持するエネルギーの事です。このエネルギーは絶えず全身に、淀みなく、滑らかに、身体の隅々まで供給されます。しかし、何らかの原因によって、“気”が不足した状態(気虚)や、淀んで流れが滞ってしまったり(気滞、又は気鬱)、或いは反対向きのベクトルを持ってしまったり(気逆)すると、身体の不調を来します。これらの不調について、治療薬を含め症状・状態を説明して参りました。

 今回は、更に一歩進めて、“血けつ”について話を進めて参りましょう。血が行き渡らなかったり、不足する状態を“血虚”と呼び、血の流れが淀んでいる状態を“瘀血(おけつ)”と呼んでいます。血けつは西洋医学でいう血ちを含んで更に機能を有する物として捉えます。血けつの異常には血虚と血瘀が有ります。先ず、血虚ですが、血が少ないのですから、貧血症の症状が現れます。めまいや立ちくらみ、顔色不良などが特徴的な症状です。血虚の方の冷え性に関してですが、冷える場所は、身体全体の冷えよりも、手や足の先端の冷えが目立ちます。貧血症と言っても、あまりに強い貧血症が有ったり慢性的な貧血が有れば、血液の検査を含め、貧血を起こす原因を見極め、治療する事は言うまでも有りませんが、近年、偏った食生活による貧血症や無理なダイエットによる貧血症の頻度が増してきています。

 食生活を見直すことはとても大切な事です。ともすると、食生活は毎日行われる事なのでついつい見逃されてしまい、結果、偏った食生活であることや、極端に低いカロリーしか摂取していない事などを見逃してしまいがちなのです。食生活はすべて生活の基本ですので、是非今一度、冷静に見直す必要が有ると思います。そのうえで、バランスのとれた食事内容とともに、ご自分の身体に似合った摂取量を見極める事が大切でしょう。食事内容や必要な栄養素やビタミン、食材やサプリメントなどの摂取法は、他の成書を参考にして頂きたいと思います。ご参考までに、東洋医学的な血虚証の治療法の原則ですが、当帰や芍薬、川芎、地黄などを含む処方が考えられますが、東洋医学で用いられる独特な診察法(四診(ししん))によって、その方の状態に適した処方が選択されますので、必ずしも、上記の生薬が適応になるとは限りませんが…。

 次に、血の停滞による瘀血についてですが、血の流れを悪くする原因は大きく二つに分けられます。一つ目は、気に起因するもの。例えば、抑鬱傾向、腹部膨満感、咽や胸のつかえ感、だるい、やる気にならない、(気滞血瘀・気虚血瘀)などによって生じるものと、二つ目は、冷飲食、保温性の低い服装や軽装、過度の冷房(血寒血瘀)などによって、いつも、常に身体を冷やす傾向の物を好む生活を知らず知らずの内に行っている場合が多く見受けられます。瘀血に対して用いられる生薬は、牡丹皮、桃仁、牛膝、桃花、当帰、芍薬、川芎など多くの生薬が有ります。更に、気が関連している場合には必要に応じて、必要な気剤(気を補う生薬や気鬱を改善させる生薬)が追加されることも有ります。また、日常的に身体を冷やしてしまいがちな生活を送っている(勿論、当人は自らによって、自らの身体を冷やしているとは全く思ってもいない)方には、身体を温める処方が考慮される事になりますが、処方薬の選択に当たっても、四診(上記)によって診断、処方が決定されます。

 次回の冷え性シリーズ⑤ は“水・津液”と冷え性との関連や、使用生薬などに触れて行きたいと思います。

 


杉原 義信(すぎはら よしのぶ)

1948年横浜市生まれ。名古屋市立大学卒業後慶応大学病院、東海大学病院、東海大学大磯病院を経て、杉原産婦人科医院を開設。 妊娠・出産や婦人科疾患を主体に地域医療に従事。2009年1月、大自然に抱かれたカナダ・バンクーバーに遊学。

 

 

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