2018年11月8日 第45号

 ケベック州モントリオールの旧市街で4日午後、観光用一頭立て馬車をひいていた馬が、道端に倒れ込み、そのまま死亡した。

 場所はオールド・モントリオールのセント・ジョン通り。石畳の道の上に倒れ、毛布を掛けられている馬の様子を撮った画像が、観光馬車に反対する団体により、ネット上で公開されている。倒れる前、馬はせき込んでいたという。また動物虐待防止協会(SPCA)が、この事故の調査に乗り出した。

 観光馬車が関係する事故は、この4年間の間に少なくとも4件が報告されている。

 今回の事故を受けてバレリー・プランテ・モントリオール市長は5日、観光馬車全面禁止の必要性を今までになく強く感じたと、取材に答えている。同市は6月に、その全面禁止を2019年末までに完了することを公表していた。ただ今回の事故によっても、その時期が早まることはないと、プランテ市長は付け加えていた。

 

2018年11月1日 第44号

 ジャスティン・トルドー首相は10月23日、連邦政府が来年1月から導入を目指している炭素税について、4州を名指しで連邦炭素税導入対象とすることを発表した。

 対象とされたのは、オンタリオ州、ニューブランズウィック州、マニトバ州、サスカチワン州。これらの州は、独自の環境対策を導入していない、もしくは導入を発表していないことから対象となった。マニトバ州は独自対策を発表していたが、連邦政府が同等の対策として認めないと不満を訴え、今月対策を撤回した。

 連邦政府の炭素税は、当初は2018年1月から導入される予定だったが、州政府への配慮から2019年に延期。その間に、各州政府は連邦政府が導入を進めている炭素税と同様、もしくは同等の環境対策課金制度を独自対策として導入するよう求めていた。

 炭素税が導入されると、2019年は1トンにつき20ドルが課され、1年に10ドルずつ引き上げられ、2022年には1トンにつき50ドルまで引き上げられる。

 トルドー首相は、炭素税の導入は「気候変動対策としては最善の方法」と記者を前に語った。環境対策と経済政策を両立させるというトルドー自由党政権の2016年に発表した肝いり政策でもある。

 しかし炭素税導入により、実際に温室効果ガスが削減されるかどうかの効果は依然不透明なまま。炭素税は、国民の生活や経済活動で排出される温室効果ガスに税金を課すことにより、その行動をより環境に優しい選択肢へと促すための政策で、直接排出量を減少させるというものではない。

 そのため、野党第一党の保守党は、国民の生活や経済活動を圧迫するだけの対策で効果は乏しいと炭素税導入を批判している。

 自由党政権は2015年のパリ協定で、2030年までに2005年比で30パーセントの温室効果ガスの削減を目標としている。しかし、環境省の試算では現在のままでは炭素税を導入しても、この目標を達成するのは難しいとの結果が出ている。

 すでに炭素税を導入しているブリティッシュ・コロンビア州やキャップ&トレード制度を導入しているケベック州は対象外。さらに、トランスマウンテン・パイプライン拡張計画の停止により炭素税率の引き上げを凍結すると発表したアルバータ州も、炭素税をすでに導入しているため、今回の対象州からは除外されている。一方で、前自由党政権下ではキャップ&トレード制度を導入していたオンタリオ州は、今年誕生した進歩保守党政権が同制度を廃止したため、今回の連邦炭素税導入の対象となった。

 連邦政府の炭素税は自由党政権によると、税収の90パーセントを州民に還元するという。残りの10パーセントは影響を受ける中小企業や学校などの公的機関に配分されるとしている。

 

2018年11月1日 第44号

 ジャスティン・トルドー首相が、現在空席となっている選挙区の補欠選挙の日程を明らかにした。10月28日に発表されたのは、オンタリオ州リーズ-グレンビル-サウザンドアイランズ&リデゥレイクス選挙区の補欠選挙。12月3日に実施される。

 この選挙区は保守党ゴード・ブラウン議員の選挙区。今年5月同議員が国会の自身の事務所で心臓発作を発症し、その後死亡したために空席となっていた。カナダ選挙管理委員会によれば、自由党政権はこの選挙区の補欠選挙は10月30日までに発表しなければならなかったという。

 しかし、現在空席となっているのは4選挙区。他の3選挙区のうち、新民主党(NDP)トーマス・マルケア前党首のケベック州アウトレモント選挙区と、ピーター・バン・ローン元議員のオンタリオ州ヨーク-シムコー選挙区は、両氏が政界を引退し辞職したために空席になっている。

 もう一つはブリティッシュ・コロンビア州バーナビー・サウス選挙区。ここは今月BC州で実施された地方選挙で、新バンクーバー市長に就任した元NDP議員ケネディ・ステュワート氏の選挙区。市長選に立候補するために連邦議員を辞職したため空席となっている。

 このバーナビー・サウス選挙区には、NDPジャグミード・シング党首が立候補することを表明している。

 今回1つの選挙区だけ補欠選挙の日程を発表し、他の3選挙区を実施しないのは狭量で操作的なトルドー首相のやり方だとNDPピーター・ジュリアン議員が29日の国会で非難した。シング党首は「ジャスティン・トルドー首相の狭量な政治的ゲームだ」と批判した。

 連邦政府は、今回補欠選挙を発表した以外の選挙区が空席になったのは最近のことと理由を説明した。選挙管理委員会によれば、空席になったのが最も遅いバーナビー・サウス選挙区は、来年3月18日までに補欠選挙日程を発表しなければならないことになっている。

 

2018年11月1日 第44号

 カナダ銀行は10月24日、翌日物金利を0.25パーセント引き上げ1.75パーセントとした。カナダ銀行の金利引き上げは2017年7月以降これで5回目。

 第3四半期の成長率も1.5パーセントから1.8パーセントに上方修正、第4四半期は2.3パーセントと発表した。

 スティーブン・ポロズ総裁は「カナダ経済はいい状態で回っている。もう経済刺激策は必要ない」と語り、過剰な状態になることを避けるのも中央銀行の役割で、この先インフレ率を抑えていくことも必要となると語った。

 今回のカナダ銀行の金利引き上げに応じて、大手金融機関、ロイヤルバンク、トロント・ドミニオン、バンク・オブ・モントリオールはプライムレートを3.95パーセントに引き上げると発表した。

 

2018年11月1日 第44号

 ブリティッシュ・コロンビア州で20日に実施された地方選挙で、同数となったピーチランド市長選は、くじ引きで現職市長の当選が10月29日に決まった。

 ピーチランド市長選は、20日の投開票では1票差で新人のハリー・ゴーフ氏が当選となった。しかし僅差の選挙区では再集計が行われ、ピーチランドでも再集計へ。

 その結果、2348票のうち両氏が804票ずつ獲得し引き分け。そのため規則により、2人の名前が書かれた紙を箱に入れ、再集計を監視したBC州裁判官エレン・バーレット氏によるくじ引きの結果、現職のシンディ・フォーティン氏が再選した。

 再選が決まると両者は握手し、フォーティン氏は「ごめんなさい、ハリー」と言って、ゴーフ氏のおめでとうに応えた。

 

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