2019年1月31日 第5号

 オンタリオ州の男性が、大量のニセ札を受け取ってしまったことから、自分と同じような目に遭わないよう、メディアを通して呼びかけている。

 この男性は、オンタリオ州トロント市の北、リッチモンドヒルに住むマイケル・ボビーさん。所有していた高額なiPhoneを個人売買した際、代金として受け取った20ドル紙幣63枚が偽造紙幣だったことに後から気がついた。

 売買は暗い場所で行われたため、紙幣の細かいところまでは注意がいかず、おおよそ本物らしく見えたので受け取った。しかし帰宅後に見直したところ、ポリマー製の紙幣の手触りが異なっていたり、盛り上がったインクで印刷されているべきところに盛り上がりがなかったりしたことに気がついた。さらに何枚かの紙幣は同じ連番だった。

 カナダ連邦警察(RCMP)によると、国内での偽造紙幣の流通は比較的少なかったものの、2015年頃から増加傾向にあるという。昨年春にはブリティッシュ・コロンビア州フレーザーバレー地区で、ニセ20ドル札が出回ったほか、オンタリオ州南西部のロンドン市でも同時期に何十枚ものニセ100ドル札が出回っていることが警察に通報されている。

 またカナダ中央銀行は、どのように偽造防止技術が使用されているかを紹介する小冊子を、インターネット上で公開している(『bankofcanada』『general』『public』で検索)。

 偽造防止として採用されているものには、20ドル札の場合、透明部分のホログラムや『Bank of Canada』の文字の盛り上がった印刷のほか、表面のメープルリーフの周囲の透明部分などがある。また新デザインの10ドル紙幣の場合は、盛り上がったインクが肖像画のほか算用数字の『10』と『Canada』の文字に使用されている。さらにこのインクで印刷されているワシの羽は、見る角度によって色が金色から緑に変化する。

 昨年の1月から9月の間には、3カ月に約8千枚のペースで偽造紙幣が発見されている。そのほとんどが20ドルと100ドル紙幣だったという。

 

2019年1月24日 第4号

 連邦自由党は19日、2月に実施されるバーナビー・サウス選挙区の補欠選挙に、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州議会元自由党議員リチャード・リー氏を擁立すると発表した。

 自由党はカレン・ウォン氏の擁立を決めていた。しかしスターメトロ・バンクーバー紙が、同氏が中国語のソーシャルメディアで同選挙区に立候補している連邦新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首に対して、彼はインド系カナダ人だから唯一の中国系カナダ人候補者である自分に投票した方がいいと民族的な違いを訴えていたと掲載。16日にウォン氏が立候補の取り止めを自由党に申し出て、こうした発言は党のポリシーに反すると党が了承したと発表した。

 しかし、17日になってウォン氏が自由党候補として立候補に再挑戦したいと党に訴えていたことが分かった。同日、記者会見を開いたウォン氏は、ソーシャルメディアへの投稿は自分が書いたものではなく、ボランティアスタッフがウォン氏のアカウントに書いたものだったと説明。しかし責任は自分にあると語ったが、これで自分が差別主義者のレッテルを貼られるのは納得がいかないと語った。

 自由党は17日、ウォン氏を擁立しないという党の決定は変わらないと発表。この時点では次の候補を擁立するかどうか未定と回答していた。

 というのも、対抗馬となるNDPシング党首が当選した方が今秋の総選挙で自由党に有利だとの公算が働いているという内部事情があると多くの専門家がメディアで解説した。

 現在シング党首のNDPは支持率がかなり低い。シング党首が党を率いて総選挙で戦ってくれた方が、補欠選挙でシング党首が敗けて新たな党首でNDPの支持率を回復させるよりは戦い易いとの思惑があり、2月4日の候補者締め切りまでに候補を立てない可能性もあるのではとの意見も出ていた。

 そうした中で19日にリー氏の擁立を発表した。リー氏はバーナビー・ノース選挙区でBC自由党議員を16年間務めたが、2017年の選挙で敗れた。

 今回のバーナビー・サウス選挙区の補欠選挙は、NDPシング党首が立候補していることから全国の注目が集まっている。この選挙区は2期連続で、元NDP議員で現バンクーバー市長のケネディ・ステュワート市長が当選してきた選挙区。今回もシング党首が有利と言われているが、厳しい戦いになると予想されている。

 争点は経済と環境と住宅問題。保守党からはジェイ・シン氏が、カナダ国民党からはローラ-リン・テイラー・トンプソン氏が立候補している。投票は2月25日に実施される。

 

2019年1月24日 第4号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州メトロバンクーバーの公共交通機関を管轄するトランスリンク社は21日、バンクーバー市にあるスカイトレインのコマーシャル-ブロードウェイ駅の改築工事を終え2月2日に新しいプラットホームを披露すると発表した。

 新しくなった同駅は、これまでとは全く違った使い勝手のいい駅になっているという。ダウンタウンのウォーターフロント駅からサレー市のキングジョージ駅までのエキスポラインと、バンクーバー市VCC-クラーク駅からコキットラム市のラファージ・レイク-ダグラス駅までのミレニアムラインが交わるコマーシャル-ブロードウェイ駅は、スカイトレイン全駅の中でも最も利用者数が多い駅で、一日約15万人が利用している。一日に同駅を通過するスカイトレイン数は約9万本、連絡しているバス停からの99Bラインを含むバスの便数は約6万本となっている。

 こうした最大利用者数の利便性を向上するために2015年春から第2次アップグレード工事を開始。総工費6千万ドルの工事が今回ようやく完成した。

 広々としたプラットホーム、ミレニアムラインへの容易なアクセス、ブロードウェイ通りの上に架けられた歩道、さらに70台分の駐輪場所も確保されている。

 今後はミレニアムラインが西へと延長される計画で、同駅はその拠点となり、ますます利用客が増加すると見込まれている。

 

2019年1月24日 第4号

 アフリカのブルキナファソで16日、カナダ人男性カーク・ウッドマンさんが殺害されていたことが分かった。15日に複数の銃を持った男たちに誘拐され、翌日に数発撃たれた姿で見つかったという。ブルキナファソの公安省の発表によると、発見されたのはウッドマンさんが働いていた場所から100キロメートル離れた場所で、これまでのところ犯行声明などは出されていないという。

 ウッドマンさんはノバスコシア州ハリファックス出身で、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーに本社のあるプログレッシブ・ミネラルズ社に約30年勤め、地質学者であり、探査部副社長を務めていたという。西アフリカで約20年過ごした経験があり、ハリファックスの同業者の間ではよく知られていた人物だったとの友人の言葉が紹介されている。

 ケベック州シェアブルックで行われていた自由党閣僚会議に出席していたカナダ連邦政府クリスティア・フリーランド外相は、「今回の凶悪な犯行を非難する」と語り、「カナダはブルキナファソの当局と協力して犯罪者を必ず法で裁くよう尽力する」と語った。

 ブルキナファソは西アフリカに位置し、最近カナダを含む欧米諸国から鉱山への投資が増加している。北はマリ、東はニジェール、南はガーナ、南西はコートジボワールと接し、最近はマリやニジェールからアルカイダやイスラム国と繋がっているグループによる暴力の影響が深刻化しているという。

 ブルキナファソではケベック州出身カナダ人女性エディス・ブライスさんが一緒にいたイタリア人男性とともに昨年12月15日から連絡が取れない状況になっていることが分かっている。同国公安省は今月17日に2人の消息不明を誘拐として認識しているとの声明を発表している。

 トルドー首相は記者会見でブライスさんは生きている可能性が高いとみている、と記者の質問に答えて語っている。

 

2019年1月24日 第4号

 ケベック州モントリオールの高級シニアホームで93歳の女性が凍死しているのが21日発見された。女性はヘレン・ロウリー・ホッテさん。ケベック連合党の元党首ジル・デュセッペ氏の母親であることが分かった。

 警察当局は事件性はないと発表、聴覚障害が要因だったのではないかと説明している。

 警察によると同日午前4時15分に、ロウリー・ホッテさんの暮らす棟ではない棟で火災報知器が作動。ロウリー・ホッテさんのいる棟には関係がなかったため、その棟の入居者は避難する必要がないことが伝えられた。

 しかし、ロウリー・ホッテさんは聴覚が衰えていたため避難の必要がないことを知らずに外に出たのではないかとみられている。このビルでは非常時にはドアのロックは解除されるが、非常ベルが解除されると通常は外から侵入できないように自動的にロックがかかるようになっているという。

 非常ベルを聞いて一度外に出たロウリー・ホッテさんは、ビルに入ろうとすると鍵がかかって入れず、そのまま低体温症で死亡したのではと警察は説明している。警察に女性が倒れているとの一報が入ったのは非常ベルが鳴ってから7時間後だった。

 カナダ環境省によれば、この日のモントリオールはオンタリオ州からケベック州南部を襲った激しい冬の嵐のせいで零下20度まで気温が下がり、体感温度は零下30度だったという。

 今回の訃報にジャスティン・トルドー首相は、デュセッペ氏と家族にお悔やみを申しあげますと語った。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。