2016年9月22日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア市で2015年7月に起きたタクシー事故の原因は、運転していたモハメド・シャリフ・アブディさん(当時44歳)の飲酒と麻薬(コカインとマリファナ)摂取だったとする検死報告書が発表された。

 アブディさんはタクシー会社イエローキャブ・オブ・ビクトリアで夜間勤務の運転手として、2004年から働いていた。その日の深夜に彼が運転していたタクシーは、ビクトリアのゴージ・ロード・イーストを制限速度の2倍近い時速74キロメートルで走行、道路わきの電柱に激突した。

 アブディさんは即死、3人の若い乗客のうち2人が重傷を負う事故となった。またシートベルトは着用されていなかった。

 事故の前の午前1時40分ごろ、アブディさんはナイトクラブで3人の乗客と会い、一緒に酒を飲んでいるところが目撃されている。タクシー会社によると、アブディさんは午前2時に勤務を終了、その30分後に事故を起こしている。

 また、アブディさんにはアルコールと薬物濫用の経歴があったという。検死報告書は、検出されたコカインの濃度とアルコール、マリファナの影響下にあったアブディさんは正常に運転できる状態ではなかったと結論付けている。

 一方、タクシー会社の運行マネージャー、サーリンダー・カンさんは、アブディさんがそのような状態で運転していたことを初めて知り、驚いていると話している。

 毎年の犯罪歴チェックのほかにも、自主的に安全運行のためのチェック機能を働かせているタクシー業界では、運転手がアルコールや薬物を摂取しながら勤務していることは極めて稀であると、BC州タクシー協会会長のモーハン・キングさんは取材に説明している。

 しかし、ことし6月には、パーティーに向かうために呼んだタクシーの運転手が泥酔していたことに気がついた乗客が、警察に通報する事件が起きたばかり。

 BC州政府の旅客輸送課は今回の報告書を受けて、同タクシー会社がアブディさんがアルコールや薬物の影響下で勤務していたことを事前に知っていたかどうかの調査を始めた。結果によっては罰金、または営業許可の取り消しの措置を取ることになるという。

 

2016年9月22日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドの公共交通機関、スカイトレインの運行路線が10月22日より変更される。

 これは、スカイトレインの新路線、エバーグリーン・ラインが今年12月に開通することへの準備の一環。

 今まではVCC=クラーク駅を始点に、一部エキスポ・ラインに乗り入れループ状にウォーターフロント駅まで運行されていたミレニアム・ラインは、この日以降、ローヒード・タウンセンター駅までの往復運行となる。つまり、ミレニアム・ラインでは今後、ダウンタウンへはアクセスできなくなる。

 また、12月にエバーグリーン・ラインが開通した後は、ミレニアム・ラインはローヒード・タウンセンター駅から同線に乗り入れ、その終点ラファージ・ダグラス駅まで運行区間を延伸する。また、列車の運行間隔が現在の5〜6分から、3・5分に短縮される予定。

 スカイトレインを運行するトランスリンクは、エバーグリーン・ライン沿線の都市など(ポートムーディ、コキットラム、ポート・コキットラム)からバンクーバー中心部への通勤客の増加に対応するために、この変更が必要だと説明している。

 一方、ウォーターフロント駅からキングジョージ駅までの往復運行だったエキスポ・ラインの運行も変更される。ウォーターフロント駅を出発したエキスポ・ラインは、コロンビア駅で分岐し、キングジョージ駅行きと、旧ミレニアム・ラインに乗り入れるプロダクション・ウェイ=ユニバーシティ駅行きに分かれる。

 このため、エキスポ・ラインとミレニアム・ラインの乗り換えは次の3駅で可能となる。コマーシャル=ブロードウェイ駅、ローヒード・タウン・センター駅、およびプロダクション・ウェイ=ユニバーシティ駅。特に、プロダクション・ウェイ=ユニバーシティ駅では、両ラインが同じホームの向かい側に停車するため、乗り換え時間がほとんどかからずに済む。

 さらに、エキスポ・ラインには現在よりも長い車両の導入が予定されており、旅客輸送量を約10パーセント増加できるとトランスリンクでは予想している。またエバーグリーン・ライン開通にあわせ、50人の駅スタッフを含む170人が新規に採用され、利用客への対応にあたる。

 新線の具体的な開通日は、10月末に予定されている建設工事完了後、同線がトランスリンクに引き渡されてから決定される見込み。

 

2016年9月22日 第39号

 アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで18日開かれた、テレビ番組の表彰式エミー賞でカナダ出身の女優が主演女優賞を受賞した。

 受賞したのは、サスカチワン州レジャイナ出身のタチアナ・マズラニー。SFドラマ『オーファン・ブラック暴走遺伝子』で主人公サラ役を演じている。マズラニーはノミネート2回目にして、ドラマシリーズ部門での主演女優賞を獲得した。

 名前が呼ばれて登壇したマズラニーは、まさかの受賞に驚きながらも、「女性がストーリーの中心の作品に出演できて幸運だった。これは本当に素晴らしいドリームジョブ」と、ドラマ製作スタッフに感謝の言葉を送っていた。

 『オーファン・ブラック暴走遺伝子』は、主人公のサラと同じクローン人間が世界中にいるという設定のドラマ。外見は同じだが、使う言葉や性格も異なる何人もの人物を、マズラニーは演じ分けた。

 

2016年9月22日 第39号

 永遠の愛の象徴として、南京錠を公共の場の構造物にかけたあと、鍵を捨てて再び開かなくする「愛の南京錠(love locks)」。

 今や世界各地で見られる儀式で、有名スポットのフェンスや橋などには、その構造物自体が耐えられない重量になるほどの南京錠がかけられて問題になるケースもある。

 そんな中、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのクィーンエリザベス公園に、このためのモニュメントが完成した。場所は同公園の頂上にあるブローデル植物園のそばで、「雨の中の愛(Love in the Rain)」と名づけられた鉄製モニュメントは、4組のカップルがそれぞれ、ひとつの傘の下で寄り添っている。胴体から下はワイヤーが複雑に絡み合わせて形作られており、ここに「愛の南京錠」をかけられる仕組み。

 4組のカップルはそれぞれ特徴があり、製作者の地元アーティスト、ブルース・ボイスさんは「様々な形の愛を表現している」と取材に応えている。また、1本の傘をカップルが共有するのは、日本の文化では愛の象徴とされていることから、このデザインを選んだと説明している。

 さらにボイスさんは、ひとつのモニュメントで数千個の南京錠がかけられるこの作品は、南京錠が全体につけられて初めて完成するとも語っている。

 ちなみに、このモニュメントに最初に南京錠をかけたのは、アービンダー・ギルさんとスクディープ・アッパールさんのカップル。ギルさんが、このモニュメントの前でアッパールさんにプロポーズしたのち、南京錠をかけて、その鍵をそばにある専用収容箱に入れ永遠の愛を誓い合った。

 なお、ここに入れられた鍵は、バンクーバー公園管理局が定期的に回収、溶かしてリサイクルする。

 

2016年9月15日 第38号

 ブラジルのリオデジャネイロで9月7日に開幕したリオ2016パラリンピック競技大会(第15回夏季パラリンピック大会)は5日目を終え、カナダはまずまずの滑り出しとなっている。

 カナダ初のメダルは大会2日目(9月9日)、自転車トラック男子個人追い抜き(運動機能障害C1、3000メートル)で決勝に進んだロス・ウィルソン選手。中国の選手に敗れはしたものの、銀メダルを獲得した。さらに同日、同競技C2、3000メートルでも決勝まで進んだトリステン・チャーノブ選手が銀メダル。自転車競技から好調に滑り出した。

 初金メダルは競泳。女子50m自由形(運動機能障害S10)でオーレリー・リバード選手が世界新記録で金メダル。また同日、陸上では男子100メートル(車いすT53)でブレント・ラコトス選手が金を獲得。この日カナダは金2、銀2、銅1の計5メダルを獲得、上々の滑り出しとなった。

 大会3日目(9月10日)には陸上女子400メートル(車いすT52)でミッシェル・スティルウェル選手がパラリンピック新記録で金メダル。同日、自転車トラックでは前日C2、3000メートルで銀メダルを獲得したチャーノブ選手が男子1000メートル・タイムトライアル(運動機能障害C1〜3)で銅メダルを獲得。今大会カナダチームで初めて1人で2個のメダルを獲得した。

 前大会ロンドンで金メダルを獲得し、今大会も金メダルが期待されていた車いすバスケットボール男子は、初戦のスペインに46‐80で大敗、続くオランダ戦でも前半はリードしていたものの32‐49の逆転負け、第3戦オーストラリア戦では53‐78、第4戦日本との対戦でも45‐76と惨敗し、この時点で1次リーグ敗退が決まった。1996年アトランタ大会以来、表彰台を逃したことがない車いすバスケットボール男子。今後は次回東京大会に向け立て直しが余儀なくされる。

 大会は5日目を終え、カナダは金3、銀7、銅2、計12で現在メダル数では12位。16位以上を目指すカナダにとって上々の前半戦となっている。160カ国以上、新競技としてトライアスロン、カヌーが加わり22競技528種目、参加選手4350人と史上最高の規模となった今大会は9月18日に閉幕する。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。