2018年2月22日 第8号

 連邦新民主党(NDP)は17日にオタワで全国党大会を開き、昨年就任したジャグミード・シング党首の党員投票による評価を行った。結果は支持が90・7パーセント。再選挙という事態は免れた。

 投票の前には、党員を前に演説。NDPとしての方向性を語った。主に不平等な状況を改善する項目をあげ、住宅問題、納税、健康保険、時給、小選挙区制などは、カナダ人の中に格差を作る制度となっていると訴えた。

 また先住民問題、女性に対する性的不適切行為の横行、人種差別など、性別や人種による差別に言及し、NDPは弱い立場にある人々を取り残さないと語った。

 気候変動に対する環境問題対策にも言及。CBCのインタビューでは持続可能な社会を目指す構造が必要と語り、科学と事実に基づく調査基準を設けることが必要と語った。

 現在続いているブリティッシュ・コロンビア州とアルバータ州のトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を巡ってのBC対アルバータ両NDP党首の応酬については、どちら側の方にもつかず、態度を保留。アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相も、BC州ジョン・ホーガン州首相も、各州民に約束したことを実行していると語るにとどめた。

 しかし連邦NDPはパイプライン反対を表明し、環境基準でも厳格化を求めるとしている。党の中にはどちらか態度をはっきりした方が党のためになるとの意見も出ている。

 全国州政府の中でNDP政権は、BC州とアルバータ州のみ。しかしこの2州がパイプライン建設に対して真逆な主張を繰り返しているため、連邦NDP党首としてはどちらにもつけない苦しい事情があると語る議員もいる。一方で、どちらかに態度を決めなければ、党にとって次の選挙に響くという声も上がっている。

 2019年に行われる連邦選挙では公約で自由党との差を明確にしなければ選挙に勝てないとの危機感がある。2011年選挙では野党第1党となったものの、2015年では大きく議席を減らした。自由党にジャスティン・トルドー党首が誕生し、自由党との差を明確にできなかったNDPが自由党に票を取られたとの見方が強く、より左寄りな党の方針を明確にするべきという主張も党内から出始めている。

 

 

2018年2月22日 第8号

 食用のために、年間約250万匹の犬が屠殺されているという韓国。この状況を改善する活動を行っている保護団体に、冬季五輪大会で活躍したカナダ選手が協力している。

 犬肉を提供するレストランは同国内に多数存在し、例えば五輪大会のアイススケートとホッケー会場がある人口約21万人の都市、江陵(カンヌン)市だけでも、その数は10を超えるという。主要な調理法はスープだが、特に暑さが最も厳しくなるとされる3日間(ボクナル)には、滋養強壮のためとして好まれているという。

 また同国内には、こうした食用のための犬を劣悪な環境で飼育・屠殺する養犬施設が1万7千カ所ほどあるとされているが、世界的な動物福祉団体ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)は、そのような犬たちを救う活動を続けている。養犬施設のオーナーに業種転換のための補助金を支給することで、今までに10軒の施設を閉鎖させている。そして11軒目も、来月いっぱいで閉鎖することになった。養犬業に魅力を感じなくなったというオーナーは、HSIの補助金でキノコ栽培を始めるつもりだと、メディアに語っていた。

 この施設の犬87匹については、今月初めにHSIのスタッフが予防接種を行い、30日の検疫期間を置いたあと10匹程度のグループにまとめてカナダに搬送される予定だ。

 また今回の搬送には、今冬季五輪大会のフィギュアスケート(ペア)で銅メダルを獲得したミーガン・デュアメルさんも一役買っている。大会終了後、彼女は養犬施設からの犬を一匹連れて帰る予定だ。実はデュアメルさん、昨年韓国を訪れた際も、現地の仏教徒が救い出したミニチュア・ダックスフントの里親となり、ムー・テと名付けカナダに連れて帰ってきている。

 夫のブルーノ・マルコッテさんと小さなコンドミニアム暮らしの彼女には、すでに犬2匹と猫1匹がいるため、今回の新しい犬は同居できそうもないが、大きな家に引っ越すまでは両親のところに預かってもらうつもりだと、取材に話していた。

 

 

2018年2月22日 第8号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は19日、アルバータ州政府がBC州産ワインの購入を禁止したことについて、カナダ・フリー・トレード・アグリーメントでの調停を訴えたと発表した。

 カナダ・フリー・トレード・アグリーメントは、それまでは禁止されていた国内州・準州間での商品の自由売買を可能にした合意で、全州・準州が合意した。これにより、それまでは禁止されていたBC州産ワインのBC州以外での販売も可能になった。

 BC州ブルース・ラルストン貿易相はアルバータ州政府のBC州産ワイン購入禁止は、全州・準州が署名したこの合意に反すると主張。これは全ての州に影響するもので、連邦レベルの問題と記者会見で語った。

 BC州政府とアルバータ州政府の間では、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を巡って抗争が勃発している。

 きっかけは先月、BC州政府が州内を通るビチューメンの輸送に関して環境基準の強化を適用することを検討していると発表したことだった。

 これにアルバータ州政府が反応。アルバータ州で生産されたビチューメンをBC州バーナビー市まで運ぶトランスマウンテン・パイプラインの拡張工事がこれ以上遅れた場合は、アルバータ州経済と雇用に悪影響を及ぼし、さらに国内全体の経済にも影響すると反論。そして報復措置としてBC州産ワインのアルバータ州への流入を禁止すると発表した。連邦自由党政権は2016年11月に同パイプライン計画を承認している。

 BC州でも前自由党政権がすでに承認している。しかし、昨年のBC州選挙で新民主党(NDP)に政権が交代。NDPはグリーン党の協力を得て政権を実現、NDP、グリーン党ともパイプライン工事の停止を公約として掲げていた。

 ラルストン貿易相は「BC州政府にとって、BC州ワイン産業、BC州ビジネス、雇用を守るために立ち上がることは重要だと考えている」と語っている。

 

 

2018年2月22日 第8号

 ブリティッシュ・コロンビア州の作家が描いた一枚のイラストが、インターネット上で予想外の共感を呼び話題となっている。

 17人が殺害された、米フロリダ州南部のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の銃乱射事件。この悲劇に突き動かされるようにイラストを描いたのは、同州バンクーバーのイラスト作家ピア・ゲラさん。これまでもブライアン・K・ボーガン原作のSFコミック『Y・最後の男(Y: The Last Man)』の作画を担当するなど、プロのイラスト作家として活躍してきた。

 そんなゲラさんは、犠牲者の一人で同高校のフットボール・チームのアシスタント・コーチかつ警備スペシャリストだったアーロン・フェイスさんをモチーフに一枚のイラストを作成した。フェイスさんは同校の元生徒で、在学中はフットボール・チームの選手だった。

 事件当日、高校内で使用されていた無線システムを通じ、爆竹のような音の正体の確認依頼がなされた際、「爆竹ではない」と応答したのがフェイスさんだった。彼は生徒を銃撃からかばおうとして、凶弾に倒れた。

 『ヒーローを迎えて(Hero's Welcome)』とタイトルが付けられた、ゲラさんのイラストには、大勢の若者たちがこちらを見てたたずんでいる前に、彼らと向き合っている、大柄なフェイスさんの後ろ姿が描かれている。そして幼い女の子がフェイスさんの手を取り、「フェイスさん、こっち。ほんとに多くの人が、あなたに会いたがってるわ」と語りかけ、若者たちに引き合わせようとしている。

 この大勢の若者たちは、いままでに起きた学校での銃乱射事件の犠牲者たちだ。

 このアイデアを思いついた時、ネット上で注目されるほどのインパクトはないだろうと思っていたと、ゲラさんは取材に語っている。ところが公開されるやいなや、このイラストに心を打たれた、涙が止まらなかったなど、彼女のもとには多くのコメントが寄せられ続けている。

 なおゲラさんのイラストが世間から注目されたのは今回が初めてではない。昨年は、幼児体形のトランプ大統領が、バノン元主席戦略官の膝の上に抱かれながら「自分は大人さ(I'm a big boy)」とうそぶく様子を描いたイラストが話題となった。ゲラさんは、トランプ大統領が選出されて以来、こうした主張を述べるイラストを描く必要性を感じるようになったと、取材に語っている。

 

 

2018年2月22日 第8号

 毎年この時期、コーヒーチェーン大手のティムホートンズが展開するくじ『ロ・ロ・ロールアップ・ザ・リム(RRRoll Up the Rim)』。コーヒーなどが入れられた紙コップの縁をめくると、当たり外れがわかるという仕組みだが、そこに何もかかれていない紙コップが混入していることがわかった。

 この『無表記コップ』が出回ったのは、東海岸諸州とアルバータ州のコーヒー店。ティムホートンズが15日メディアに語ったところによると、XLサイズのコップの製造ロットいくつかで、はずれくじを意味する『次回に期待(Please play again)』が印刷されないミスが発生したという。同社は外部コンサルタントに紙コップ製造についての監査を依頼、くじの公正性には影響なしとの報告を受けたとしている。しかし、具体的に何個の紙コップでミスプリントが発生したのか、というメディアの問いに対しては回答していない。

 なお、この『無表記コップ』を「ひいてしまった」場合は、これを店に持ち込めば別の紙コップと交換すると、ティムホートンズでは話している。またその際、好みの飲み物を注文することができるという。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。